「アドラー心理学入門」-岸見 一郎 著 について
第1章、アドラーはどんな人だったのか。
第5章、人生の意味を求めて。
この2つの章は、ある程度理解をできたように思うのですが、第2章~第4章は、まだ読み込みが足りていないようです。
アドラーは人間の悩みはすべて対人関係の悩みである、と言っています。(P44)
アドラー心理学では、縦の人間関係は精神的な健康を損なうもっとも大きな要因である、と考え、横の対人関係を築くことを提唱します。(P89)
縦社会である会社員を24年やってきていると、『納得です!』と思いました。
一方、自分の力だけで生きていけるかと言うとそうではありません。他の人との協力がなければ生きていくことはできません。自分ができることは自分で解決して決して依存しない、しかし自分だけで解決が困難なことは他者からの協力を得てもいいですし、逆に私たちもそういう場合に初めて他者に協力して援助することができるのです。
対等の横の関係になって初めて援助し、協力し、勇気づけることは可能なのであって、それ以外の対人関係において援助することは不可能なことです。実際には横の関係に立つということは言葉では理解できるかもしれませんが、困難なことです。人と向き合う時、瞬時に自分が上なのか下なのかを判断する習性があると言っていいくらいです。(P94)
“育児と教育”については、罰しない、叱らない、ほめるのでもない、「勇気づけ」が大切である。(第二章)
困難は克服できない障害ではなく、それに立ち向かい征服する課題です。たしかに忍耐も地道な努力もいるかもしれませんが、自分には課題を達成できる能力があるという自信を持つように援助することができれば勇気づけができた、ということができます。それは、ほめるのとは違って、すなわち、評価するのではなく、喜びを共有すること、自分の気持ちを伝えることは勇気づけになります。当たり前だと思って見逃しがちな行為に対して「ありがとう」とか、「うれしい」とか、「助かった」といってみます。実際には、多くの親がそんなことは当たり前だと思って見逃してしまうことが多いのです。当たり前だと思って見逃しがちな行為に対して「ありがとう」とか「うれしい」とか「助かった」というような言葉をかけることから始めます。
力で押さえず根気よく話し合います。優しいというのはこういう意味です。他方、課題を分離し、自分で課題に立ち向かえるのであれば、不必要な介入はしないという意味できっぱりと接するのです。
精神的に健康であるとはどういうことか、それは、自己受容(いまの自分をそのままで受け入れること)、他者信頼(他の人も信頼できる)、そして他者貢献(人から受けるだけでなく他の人に与える、あるいは、他の人から受けるだけでなく返すという事がなければなりません)、どれ一つ欠くことができません。健康なパーソナリティー、幸福であることの大きな条件です。これをアドラーは「共同体感覚」という言葉で表しています。
そもそも人と人とは分かり合えないということをアドラーは前提にしているのですが、だからこそ話し合うしかない、と考えるのです。ここで、言葉によって問題解決を図らないことの背景には、相手を自分よりも劣ったものと見なしていて、話しても分からないだろうという思い込みがあるという事です。(P88)
そもそも相手を理解することは不可能である、とアドラーは考えているのです。だからこそ言葉を使うコミュニケーションが重要であることを強調するのです。(P169)
10人の人が居れば、付き合っていきたいと思えるのは2人の人です。(P151)
「たった一人でも私のメッセージを理解して、それを他の人に伝えてくれれば、私は満足だ」(P184)
無理に全員と分かり合おうとすると、精神的負担が大きくなるのですが、自分ができる範囲でよいのかもしれない、と思えると、ほっと感じるところでした。
一方で、「他人を気にしない(P149)」、「普通であることの勇気(P67)」は、不景気な中での、縦社会の会社員(これは、劣等コンプレックス(P64)、人生の嘘(P135)かも?)をしていると、収入を維持したいと考えるのか、行動が伴っていないところがあると思っています。
でも、「楽観主義(P173)」、「できることから始めよう(P179)」と心にとめて、これからも生きていきたいと思います。
お薦めの一冊です!
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