論述試験対策について
なんの試験かは書きませんが(すぐに分かると思いますが)、s_iwkさん、mathさん、まいすさんがブログで書いていただけているので、それらのアドバイスに基づき、自分自身のために、論述試験対策を整理をしてみました。
「♪」は自分のコメントとなります。
2010年5月30日 (日) s_iwkさんのブログより
濃い鉛筆を使う
なお言うまでもないが、「鉛筆」と書いているが「シャープペンシルではダメ」という意味ではない。
♪「B」を使っています。受験最初の頃は、普通のシャープペンでしたが、その後、鉛筆1ダース、そして、今は産学協同の疲れないシャープペンを使ってみていますが、どれも試験終了時に手が痛い状況は変わらず、ハードに関しての決めては得られていませんが、芯は同じく濃い方が良いと思っています。
考えているものをはっきりさせる
「第三分野保険」と聞いて、どのような保険を思い浮かべるか。おそらく、人によって違うだろう。三大疾病保険を想像する人もいれば、医療保険を考える人もいるだろうし、介護保険をイメージするかもしれない。
だから、「第三分野保険の商品開発について」のような問題が出たときに「どのような保険を想定して解答しているのか」をはっきりさせないと、自分では三大疾病保険を思い浮かべながら書いたにもかかわらず、採点者は医療保険を念頭においており、うまく解答が伝わってない、といったことが起こることが考えられる。
最近はそういった漠然としたテーマでの出題はあまりないが、意識はしておいたほうがいいように思う。
例えば「標準より死亡率が低い被保険者を対象とした保険を複数列挙し、それぞれの違いを書く」というのをやってみるといいかもしれない。
答案を見る以上、「おもしろい論述」が読みたい。少なくともつまらないものは読みたくない。といっても、別に抱腹絶倒のネタとか、斬新なアイデアを期待していない。普通に考えを述べたものであれば、「おお、そういう考え方もあるのか!」と、十分興味深いものになる。
しかし、ときどき事実だけを延々と書いている答案を見る。考えが書いていなければ、興味の持ちようがないし、講評のしようもない。ソルベンシーについての所見を問う問題で現行ソルベンシー・マージン比率の計算方法について長々と書かれても、おもしろいとは感じられない。
♪肝に銘じます!ソルベンシーに関するポイントは、mathさんも書いていただけているので、参考にします。また、mathさんも書かれていましたが、ソルベンシーについては、昨年の大問題で出題されて、「経済価値ベースの評価」が模範解答で記載されていました。Mathさんの論点と模範解答の論点は合っていたと言えます。自分も他の問題で「論点を外さないようにしなければ」と思いました。今年の生保では、昨年ソルベンシーが大問題で出題されたので、別の問題を予想して、まずは対応してみようと思います。
2010年6月 2日 (水)
アクチュアリー2次試験について何か書いてみる(2)
前エントリに対して、むしまん(@mushiman2)さん(この方も正会員)からTwitterでコメントをいただいた。
お二方の二次試験ブログ拝見しました。面白い所見が読みたいや、能動的に情報を集める、はミスリードな気がしました。私の勉強範囲はテキスト等の試験範囲のみ、所見は無難にプラスアルファ程度で十分、と考えています。
こういうコメントは歓迎したい。勉強の仕方はいろいろなので、たまたまブログを書いているアクチュアリーというだけで、たかだか2~3人の言っている勉強法を鵜呑みにしてはいけない。
♪むしまんさんのご意見もなるほどと思います。自分の場合、まいすさんは暗記が重要と言われる中で、その前後の流れや歴史を理解できないと、なかなか覚えられないタイプでもあるので、人それぞれに勉強の方法があるようにも思いました。でも、覚えないと!!
***
【まいすさん】
actuary_mathさんが書かれているように、最低限の知識がなければそもそも論述は書けないと思います。
前半の知識問題が出来ている人は、ほとんどがそれなりの論文を書くし、逆に前半の知識問題が出来ない人が、合格点に達するような論文を書くことはできない」という話を聞かされました。
おそらく論文は自分が思っている以上に得点はとれていないと思います。
ちなみに私の昨年の損保1の自己採点では前半の知識問題で
大問1:20/25点(4問完答)
大問2:20強/35点(3問完答+α)
と、40点強は得点していたものと思われます。
なお、論述については商品部ではありませんが料率改定等には多少関わっていたので、その知識をもとに記述しています。しかし、地域による料率格差の制限など、重要な法令上の規制の記載などをしておらず、十分な内容とは思えません。(使用した解答用紙は(1)(2)ともに2枚でした)
2.知識について
最低限の知識として、教科書の内容については(損保1の範囲は)ほぼ丸暗記のレベルまで覚えました。特に4章(再保険)や付録A(リスクモデル)などは実務とあまりにかけ離れているため苦労しましたが、教科書の内容から出題されれば、教科書の内容をそのまま書けるレベルで暗記を行いました。
このように足りない業務知識については、かなり力技ではありますが丸暗記で補うことにしました。
近年の損保1では監督指針からも毎年出題されており、これについても基本的には丸暗記です。なお、検査マニュアルは過去に出題されていなかったためノーマークでした。
(一応何かしら書いていますが、ほとんど点数はないと思います)
論述については当然業務知識が少ないというハンディキャップはあるのですが、最低限教科書に書かれている事実は記載するようにすること。その上で設問に対して「アクチュアリーとしてどうするか」という観点を意識して記載するように心がけていました。
昨年であれば
(1)の損害率法は教科書にかなりの記述がある
(2)は数字が与えられているので、その数字を基に考える
ことなどを考えつつ、数理的な観点を特に意識しました。
3.論述(知識以外)
お二人共に書かれているように、試験中は3時間文字を書き続けることになります。試験時間の後半になると腕が攣りそうになりますが、それでも時間はギリギリでしょう。私自身の反省点でもありますが、試験に近付くにつれて暗記が中心になります。その際にも書いて覚えるなど、とにかく手を動かして腕力をつけておかないと試験時に苦労することになります。
4.その他
とにかく尋常でない暗記量があるため、自分にあった暗記方法を見つけることも必要です。私の場合は基本的ですが、チェックペンで教科書を塗りつぶして繰り返し暗記をしました。
あとは理系にありがちで文章が非常に苦手でしたので、「文章の書き方」の本を読んだり、とかいう地味なこともしています。これも意外に役に立ったかもしれません。
♪暗記法を考えてみます。マインドマップを行ってみよかナ。文章の書き方では、齋藤孝氏の「原稿用紙10枚を書く力」を読みました。
2010/05 31(Mon) 22:23:50 アクチュアリー
*****
【Mathさん】 2010/5/31 (損保の)アクチュアリー2次試験について
■1.論述までの準備(知識面)
2次試験は上腕三頭筋が痛くなったりした記憶がある*1ほどの記述量があるのは確かで、どうしても「論述」に光があたってしまいがちですが、実は論述以前に知識面を充実すべきと考えます。
いくら論述問題ができても知識問題ができなければアウトということになります。もっとも、これはほとんどナンセンスな話で、以下で述べるように、知識の裏付けがあってはじめていい論述ができると考えます。したがって、問題は知識をどう身につけるのかということになります。
2次試験で必要とされる知識は日々進化・拡大しており(近年進化のスピードが更に加速)、過去問・教科書の記述が文字通り過去のものになり、ときには間違いにすらなる可能性もあるからです。
そのような意味で、日々の知識のアップデートが必要になってきます。当然(損害)保険会社に所属していればいろいろな情報が流れてくる(回覧等)のですが、それだけでは必ずしも十分とはいえず、例えば以下のようなサイトや書籍を能動的に訪問・購読することが望ましいと考えます。
♪URLはMathさんのブログを参照下さい。
(1)論述の時間と得点について
しばしば忘れがちなこととして論述にかけられる時間の問題があります。
御存じのとおり、試験時間は3時間ですが、上記のとおり知識問題(といっても単なる語句の穴埋めだけではなく、計算や短文記述などバラエティーに富む)もあるので、論述にかけられる時間はせいぜい70~80分がいいところです。
この時間内で題意の把握→論理の構成→実際の書き込み→推敲まで行わなければならず、実際に鉛筆(シャープペンシル含む。以下同じ)をつかって書ける時間はせいぜい1時間がいいところです。
一旦書き始めたら大きく構成を変更できないのはもちろんですが、そもそも、これだけの短時間で真に斬新なアイデアを生み出すことが極めて困難です。
つまり、ごく穏当な論述になってしまうことが少なくありません(あまりに独自のものをと考え過ぎると、独りよがりの論述になり試験官の心証を大いに損ねる危険性が極めて高いです)。
よくできる方は別として、論述では穏当な内容でせいぜい5割(20点/40点)程度で、そのかわり知識問題では7割(42点/60点)以上得点し、合計で60点を少し上回るというのが、合格者の平均的な姿ではないかと考えます。(もちろん「普通」といってもそれほど簡単ではないのですが…)
(2)「論」を述べる前に論述問題は、「評論」が求められているわけではないことに注意する必要があります。
ブログ(書籍も?)ではときどき、保険に関してあまり造詣が深くないと思しき方が、十分な知識の裏付けのない「評論」を展開されているのを見かけます。
これと同じことをアクチュアリー試験でやるのはまずいと考えます。
つまり、正確でできれば豊富な*8な知識の裏付けを試験官に示してから論を進めるべきだし、当事者としてその問題に取り組むつもりで(実現可能な)「解」を提示する必要があると考えます。
いわきさんが上記のブログエントリーで述べられている
「ソルベンシーについての所見を問う問題」
を例にとると、もちろん「現行ソルベンシー・マージン比率の計算方法について長々と書かれ」るのは論外ですが、かといってそういう知識を飛ばして、いきなり「(日本の)ソルベンシー・マージンについてはかくあるべし…」といった実現性の乏しい「評論」を並びたてられても試験官は困惑すると考えます。
この問題だと、例えば
(a)知識面
○ソルベンシーとは何か
○日本におけるソルベンシー・マージン規制制定(平成8年の保険業法改正)の経緯
○現行ソルベンシー・マージン基準の概要と課題
○ソルベンシー・マージン規制の改正の概要
○欧州のソルベンシーIIの概要
等を踏まえた(書いた)上で、
(b)論述
◎保険計理人の関与(上記の改正により平成24年3月期より保険計理人の確認対象)
◎自然災害リスクの管理
◎経済価値(時価)ベースの評価
◎内部モデルの使用
等について
○それぞれの(簡単な)説明
○必要性やメリット
○実現にあたっての課題
○アクチュアリーとして何ができるか何をすべきか
を述べるといった流れになるのではないかと思います。
(3)論述の具体的な対策
(a)論述テーマの予想と論点の整理
知識の習得の過程において、最近の法令の改正動向その他については自ずとキャッチしているはずなので、論述テーマについては、ある程度予想がつくと思います。
それら予想されたテーマについて自分で論点を考えてみて実際に論述してみることをお勧めします。
もちろん上記のように前提となる知識を踏まえなければならないため、それなりに準備が必要になります。
例えば上記のソルベンシーについては本番でも出題が予測される内容の一つで、それぞれの項目を列挙するのは簡単ですが、細かい中身については、いろいろと調べる必要が出てくると思います。
(b)論点の複数人での検討
以上のような項目の検討については、可能であれば複数の受験生で行うとよいと思います。私も他社の人とそういう論点検討を行い、自分の思ってもみなかった論点を気づかされたことが多々ありました。
(c)実際に書いてみる練習
以上の個人(&グループでの)論点整理を踏まえ、答案を自分の手で書いてみる(PCのキーボードを打鍵するのではなく)必要があります。
上記のようにいくら出題内容が予測でき、論点が整理できたとしても70~80分で書ける量は限られている(模範解答を「そのまま」書くと絶対に時間が足りない!)ので、どこまでの内容が書けるのかを自分の手で把握することが必要だと考えます。
また、(自分も含めてですが…)普段鉛筆で文字を書く機会はほとんどなくなっていると思うので、忘れている漢字等を思い出すいい機会でもあります。
(d)その他
表記面についてはいわきさんのブログでも述べられていますが、その他、九州大学の田口雄一郎先生が書かれている「採点について
***採点について***
期末試験などの採点に於いて、今後は 「芸術点」も考慮することにしました。
答案を見てゐると、単にきちんと書けてゐないとか読みづらいとかいふレヴェルを越えて、
やる気が無いのでは?
とか、
他人に見てもらふために書いてゐるといふことを全くわかつてゐないのでは?
とか、思ひたくなるものが散見されます。典型的な特徴は
・ 薄い (筆圧が弱い)、
・ くにゃくにゃしてゐる、
・ 何やら式は書いてあるが文章になつてゐない、
など。
これでは採点者を惑はして部分点をもらふための「戦略」と取られても仕方ないでせう。
入学試験ならいざしらず、一つぐらい単位を落としたとしても
(大抵の場合は) 人生の一大事でもないでせう。
この半年なり一年なり 勉強して来たことの達成度を計る試験で
その様な態度に出るのは 卑怯でござらう。
よつて、採点に当たつては、見た目の快・不快も十分に考慮させてもらふことにします。
もちろん 「文字が美しいか」 とかはこの際 問いません。
しかし 「読み易いか」 は 本人の努力でどうにでもなることですし、
何よりも 「数学的によくわかつてゐるか」 と密接に関係すると思ひますので、「採点」 します。
余計なことをごちやごちや書くなどして「数学的美観」 を損ねてゐるものも減点の対象です。
http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~taguchi/nihongo/gakusei/grading.html より
4.文章を「作る」訓練
あと前回書き忘れたのですが、文章を書く訓練と共に文章を「作る」訓練をされるとよいかも知れません。
鉛筆(シャープペンシル)を使って書く訓練の必要性は前回のとおりですが、これだけでは文章を「作る」量が不足しがちです。
「作る」訓練は、鉛筆を使う必要はなくPCのキーボードをたたけば十分です。
具体的な訓練の場としては、例えば、社内外の研究会等の報告書、ブログ等が考えられます。
♪いろいろと考えさせられます。ブログは継続していきたいと思います。
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