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2010年7月

2010年7月31日 (土)

「エイジ」 著者 重松清  を読んで

 先日、「ぼくは こう生きている 君はどうか」 著者 鶴見俊輔、重松清 を読んで、重松氏の本を読んでみたくなった。そこで、息子が持っていた「エイジ」を借りて読んでみた。

 「ぼくは こう生きている 君はどうか」の中で、「エイジ」について次のように語られていた。

鶴見 きょうは重松さんのこの本(「エイジ」)を下読みしてきたんです。とても面白く読みました。「エイジ」というのは二重の意味を持っているんですね。主人公の「栄司」と、世代・時代という意味の英語の「エイジ=age」と。

重松 そうです、はい。

鶴見 この小説には、悪人性を付加された少年の問題は出てきませんね。

重松 ええ。この小説に登場する中学生たちに悪人性を付与していないのは、僕は少年の友情というのは時代背景を無視できないと思うんですね。「エイジ」を発表したときはちょうどニュータウンで酒鬼薔薇事件1997年の「神戸児童連続殺傷事件」)が起き、少年の心の闇うんぬんということがいろいろいわれて、まさに世代としてひとくくりにされてしまう状況だったわけです。だけど僕は実際の中学生というのは、「酒鬼薔薇」に対して、あるいはそこから敷衍(おし広げること)して「いまどきの中学生」に対して大人が持っているものとは微妙に違うんじゃないかなと。

「エイジ」の本の解説でも、「当時の事件の中で生きていかなければいけない中学生への応援歌。彼らを勇気づけ、励ますことになる。」と記述されている。

「エイジ」の中で気に入ったところは、エイジが「ぼくは相沢志穂が好きで、大好きで、善意は悪意に負けっぱなしだけど、「好き」は善意とも悪意とも違って、正しいも間違ってるも、カッコいいも悪いも関係なくて、ただこんなに気持ちがいい。」であったり、「負けてらんねーよ」も良かった。

「ぼくは こう生きている 君はどうか」の中で、重松氏と鶴見氏の次の会話があった。

重松 僕は、小学生、中学生たちに、きみたちのいちばん仲のいい友達との思い出をエピソードで、つまり「いい人」とか「優しい人」とかという観念じゃなくて、「この友達とこんなことがあった。あの友達とあんなことがあった」というのをたくさん書けるようになってほしいなと思っているんです。そういう意味で、僕は自分の小説は読者自身の思い出がよみがえるための『呼び水』だと言っているんです。

鶴見 「自分の小説は呼び水だ」というのはいいですねえ。それは私の手法と通い合うところがあるんですよ。というのは、「自分はこういうふうにいきている」「きみはどうか」、それが私にとって哲学なんです。

重松 「自分はこう生きている」と言える人は、相手の生き方を認められる人ですよね。「自分はこう生きている。きみはどうか」という、自分を支え、相手を認める。お互いにそう思いあえる仲こそが、本当の友達なんでしょうね。

重松氏の本は、読み始めると止まらなくなるので、少しセーブしながらにしたいと思います。

仕事多いし、家族サービス、そして試験勉強も本腰入れないとナ~。どれも中途半端にならないようにっと。

組織が大きく変わる「最高の報酬」 著者 石田淳 を読んで

 先日、「行動科学マネジメント-短期間で組織が変わる」を読んだが、今回、同じ著者で「組織が大きく変わる「最高の報酬」」を借りることができたので、読んでみた。

内容が重なる箇所もあるので、重ならない所を中心に整理をしてみる。

新しい報酬のかたち「トータル・リワード」とは、金銭では得ることのできないさまざまな「報われ感」も報酬として与えられるという考え方である。「この会社で働いてきてよかった」、「この人たちと仕事ができて嬉しい」社員が心からそう思えるような組織かどうか、が問われてくる。

「トータル・リワード」とは、「非金銭的報酬」である。具体的に次のABCDEF6つの方法がある。

A-Acknowledgement-感謝と認知

 例えば、中外製薬工業では、「サンキューカード」を全社展開している。

B-Balance of work and life-仕事と私生活の両立

C-Culture-企業文化や組織の体質

 例えば、足を引っ張り合ったり、派閥で争っていたりと言うような陰険な組織に忠誠を尽くす人はいないだろうし、成果を上げようと積極的になる人も少ないはずだ。

D-Development Career/Professional-成長機会の提供

E-Environment Work place-労働環境の整備

F-Frame-具体的行動の明確な指示

 仕事とは、あいまいに指示されるものであってはならない。結果を出すために何をどのようにすべきかをきちんと示してあげることが重要。正しい仕事の進め方を教えてあげること、そして結果につながるのか、つながらないのか分からないムダな仕事をさせないことは、リーダーがメンバーに与えなければならない最も重要な報酬である。

 リーダーのもっとも重要な仕事は、業績を上げる方法を具体的にきちんと示して、そのための行動をメンバーにとらせることに他ならない。

 できるリーダーは皆、指示が具体的で明確である。

人は、「自分を大事に考えてくれている人」のために、高い能力を発揮できるのである。

また、人は、自分が望んでいることのために働いている。全ての従業員には、一人一人違った「働く理由」がある。いまの会社で出世していきたいと考えている人もいれば、数年働いて経験を積み独立したいと考えている人もいる。家族をサポートすることを第一に考え、残業は絶対にしたくないという人もいる。優秀な人材のなかにも、金銭よりも時間の自由度を大事にしたという人は大勢いるのである。

ハーバード大学への留学経験を持ち、アメリカとの開戦に最後まで反対した山本五十六の言葉は、行動科学マネジメントにおけるトータル・リワードの精神を見事に言い得ている。

「やってみせ、言って聞かせて、させて見せ、ほめてやらねば、人は動かじ。

 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。

 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

「トータル・リワード」、小さな金銭なら自腹が一番。ゲーム感覚で競争させて、年に2回優秀な成績のグループを食事に招待している。その時は、フロア長は自腹で支払い、自分でおいしそうな店を見つけてくると言う。フロア長はフロアの売上によってフロア長のボーナスが大きく変わるので、自腹を切っても、痛くもなんともないからである。

業績アップの共有として、終了したタスク一つ一つの効果を、数字で検証することも大事なことである。例えば、「サイトのページビュー」の回数が増えていれば効果があるのであれば、効果が確認されたら、みんなで喜び、褒め合って、更にそのタスクを強化していく。逆に、効果が見いだせなければ、やり方を再検討するのである。

無駄な会議は行わないこと。会議案内に際して、出席者が当日までに何をすべきか、会議では何を発言すべきかが分かるようにしておく必要がある。

コミュニケーションは質より量である。リーダーが率先して「おはよう!」しかない。

マネジメントは、不定期に情緒的なことをあれこれ思い悩むのでははく、定期的にオープンに部下たちとコミュニケーションをとることが重要である。

「コスト削減のために残業を減らすように」、これでは具体的ではない。徹底して数字を見せることが必要である。売上、人件費のみならず、光熱費にいたるまで、きちんと数字で説明し、いかに効率を上げることが求められているかを具体的に伝えていこう。

一つの方法として、効率のいい仕事ができるトッププレーヤーの仕事を徹底的に分解し、ピンポイント行動がなんであるかを把握し、その行動を繰り返してもらうように導いていくというのもいいだろう。

更に、チームそのものを自走させるためには、トッププレイヤーの仕事を分解してピンポイント行動をメンバーに提示するだけでなく、みんなでその行動をとることが楽しいと感じられる仕組みを作ることも大切だ。

また、「クリアできるスモールゴールを明確に提示してまかせ」「それをほめて成功体験を積ませる」ことがポイントである。

とても読みやすい本である。考え方もシンプルで共感できるが、少し思ったのは、大企業が全社的に導入しようとする場合に、大変かもしれないと少し感じている。理由としては、マネジメントは部下が成長し、企業が成長するための行動を把握しておく必要があるが、人事異動も相応にある大企業において難しい場面もあるように感じたからである。

ここにおいても、一歩ずつスモールゴールを置いて、考えていけばよいのかもしれないが。

2010年7月25日 (日)

「ぼくはこう生きている 君はどうか」 鶴見俊輔、重松清 著 を読んで

鶴見俊輔氏について知りたいと思い読んでみた。個性的であるが、素敵な方であるように思った。

ここには、アドラーが言うところの「共同体感覚」と同様に「共同体」、「ゲマインシャフト」という言葉が書かれていた。

「ゲマインシャフト」について、情緒の通う「共同体」と書かれていた。

そういうものが1905年までの日本には機能していた、と言う。日本は日露戦争に勝ってから、おかしくなった、日本の「本当の教育」は終わった、と言う。それまでには、坂本竜馬、高杉晋作、横井小楠、西郷隆盛、勝海舟、大久保利通、木戸孝允、乃木希助と児玉源太郎、伊藤博文と井上馨、夏目漱石、森鴎外、長井長義、長岡半太郎、若槻礼次郎と浜口雄幸、無着成恭の「山びこ学校」、渡辺崋山、小村寿太郎、小栗上野介、陸奥宗光、井上成美、など、これらの人々は共同体・ゲマインシャフトにより育った人物達だと言う。

松下村塾、緒方洪庵の適塾、幕末にはそういう私塾から優れた人材が生まれたというのも示唆的であるし、明治維新の時の薩摩の活力は横丁の路地と言う共同体から生まれた、と言う。

一人の人間の育成に必要な周囲の力。

「弱さ」「弱点」の自覚から師弟関係は始まる。

陸奥宗光は「蹇蹇録」を書かれているが、これは、弱い日本がどうしたら列強につぶされないで済むかと言うことを研究したノートである。彼は自分たちの弱さを自覚している。

内村鑑三は、日本よりも、地上の理想国・デンマークについて書く。

「弟子の方、教え子のほうは自分の弱いところを知ることで師を求める。師の方、先生のほうも自分自身の弱さを認めることでその言葉が説得力を持つ。師弟関係というのは、お互いに自信の「弱さ」、「弱点」を自覚することから始まる」。

鶴見俊輔氏の祖父は後藤新平であり、父親は鶴見祐輔(政治家)である。

祖父を抜いたといえるものが一つだけあると言う。それは勲章をもらわない事。祖父は勲章をもらうのが好きでね。どんどんもらっちゃうんだよ、と言う。

バートランド・ラッセルとアインシュタインは協力して原爆反対の座り込みを行った。ラッセル94歳の時。

老年になってからも何事かはできる!と言う。

重松清氏の本もいくつか紹介がされていた。「自分の小説は読者自身の思い出がよみがえるための「呼び水」だと言われていた。印象に残る言葉であった。紹介されていた本は、機会を見つけて読んでみたいと思った。

生命保険会社の人間として、「デンマーク」が気になった。デンマークは社会保障制度において、現在もなお、日本の先を行っている国である。共同体・ゲマインシャフトが、日本の社会保障制度を見直すキーワードなのかもしれない!?

デンマークアクチュアリーも100周年超えている。貢献しているんだな~。

「後藤新平氏」が祖父と言うのも興味深かった。

後藤新平と言えば、優れた医師であり、優れた官僚であり、優れた政治家であり、ボーイスカウトを日本に普及した人でもある。児玉源太郎とも関係がある。

また、ドイツに留学した時に、鉄血宰相として有名なビスマルクが作り上げた「社会保障政策」を学び、逓信相の時に、日本に導入をしようと尽力をしている。当時においては実現できなかったが、簡易生命保険事業の発足を手掛けている。生命保険会社の人間としては、すごいな、と思う。

その中で、勲章好きであり、また、派手好き、大風呂敷とも言われていたところは、ある意味で後藤新平の魅力を高めているように思う。

さあ、もっと勉強しなくては!自己研鑽がまだまだ必要だな~。

2010年7月24日 (土)

論述試験対策1-ソルベンシー・マージン

Mathさんの以前のブログより

「ソルベンシーについての所見を問う問題」だと、例えば

(a)知識面

ソルベンシーとは何か

日本におけるソルベンシー・マージン規制制定(平成8年の保険業法改正)の経緯

現行ソルベンシー・マージン基準の概要と課題

ソルベンシー・マージン規制の改正の概要

欧州のソルベンシーIIの概要

等を踏まえた(書いた)上で、

(b)論述

保険計理人の関与(上記の改正により平成24年3月期より保険計理人の確認対象)

経済価値(時価)ベースの評価

内部モデルの使用

等について

それぞれの(簡単な)説明

必要性やメリット

実現にあたっての課題

アクチュアリーとして何ができるか何をすべきか

を述べるといった流れになるのではないかと思います。

昨年(H21)の3 (1) では次の問題が出題されている。

(問題)

将来的に会社のソルベンシー評価をどのように行うかの所見。所見は、下記のA-Cに沿って解答を整理する。その際、「経済価値ベースでのソルベンシー評価」等、昨今の動向について言及してもよい。

A. ソルベンシー評価の意義

B. 現在の日本の法令に基づくソルベンシー評価の課題

C. 将来的な貴社におけるソルベンシー評価の在り方

Mathさんの論点は、正しいと思う。

ここには、「知識面」として、H15に出題のある、静的なソルベンシーの検証・動的なソルベンシーの検証も必要になると思う。

現在進められているソルベンシー・マージン比率の見直し(H24/3/31施行予定)においても、「趣旨」に、短期的な取り組みとしてリスク係数の見直し、中期的には「経済価値ベースでのソルベンシー評価」を目指すとされており、論述におけるキーワードとなる「経済価値ベース」があった。

さて、今年はどこがTopicとなるのだろうか?

2010年7月19日 (月)

金融工学とアクチュアリー

「金融工学」とは「将来の不確実なキャッシュフローの計算と制御」である。

不確定な未来に対して、「分散投資」によって、リスクを回避する必要があることは、ポートフォリオ理論によって明らかにされた事実である。

「一つのかごにすべての卵を盛るな」ともある。

「アクチュアリー」とは「将来の出来事の発生確率を評価し、望まれない出来事の発生確率を減らすように知恵を絞り、起こってしまった出来事の影響を軽減することを考える専門家である。

「金融工学」とほとんど同じ意味に捉えることができる。

よって、アクチュアリーは「金融工学」を十分に身につける必要があり、正しい方向に導かなければならないのだと考えている。

また、別冊226号には次の記述があった。市場/ポートフォリオ・リスク管理の専門技術は、アクチュアリーではない他の専門職グループが開発をしていたりする。このことは、アクチュアリー専門職に「脅威」と「チャンス」を提示している。これらの新しいリスク管理専門職グループを受け入れるためにアクチュアリー専門職の職務範囲を拡大するチャンスである。

金融、数学、および経済の専門知識の優れた融合を進めるべきである。

身につけなければならない事は多いんだな~。

「アドラー人生を生き抜く心理学」 岸見 一郎著 を読んで

アドラーは、フロイトとは「人間の本性」について、まったく反対の考えにある。

フロイトは、攻撃欲求、性的欲求により、破壊的、攻撃的な行動へと帰結するとしている。

フロイトは、戦争を目の当たりにして、死の本能を着想している。これは自己破壊衝動であり、外に向かうと攻撃性になる。フロイトはこの攻撃性を「人間に生まれつき備わる他者を攻撃する傾向」と言う。

アドラーは破壊的、攻撃的な欲求は、有用な行動、資質を引出し、社会的に有用なチャネルに変容されることまでも視野に収めている。これを「文化」、「生まれつきの共同体感覚」に置き換えている。それを目指すのが人のあり方であると考えている。

共同体感覚は、他者の存在を認め、他者にどれだけ関心を持っているかの尺度である。そこで、アドラーは「共感」を重視する。共感ができるためには、相手と自分を同一視し、この人ならこの場合どうするだろう、と言わば相手に関心に関心を持たなければならない。「他の人の目で見て、他の人の耳で聞き、他の人の心で感じる」は共同体感覚の許容しうる定義であると思える。

実際には、自分のライフスタイルからしか他者をみることはできないけれども、少なくとも自分の見方、感じ方、考え方が唯一絶対のものではない事を知っていなければ、他者を理解知ることは出来ない。他者のことはわからない、と思って、そのことを前提に人を理解することに努める方が、他者の理解に近づく。

人生において最大の困難に遭い、他者に最も大きな害を与えるのは、仲間に関心を持っていない人である。人間のあらゆる失敗が生じるのは、このような人の中からである。

「三歳の時に私は怒るのをやめる決心をした。その日から、私は一度も怒ったことはない」、

叱るということに、怒りの感情が伴わない人はないだろう。アドラーは、怒りは人と人を引き離す感情である、といっている。

叱る人は、相手を自分と対等とは見ていない。対等だと見ていれば、そもそも叱ることなどできないはずである。たとえ何か行動を改めてほしいことがあっても、相手が自分と対等だと思っていれば、叱る必要を感じないし、できないだろう。自分よりも下だと思っているからこそ叱れるのであって、その際、対人関係で下に置かれた人はそのことを嬉しくは思わないだろう。

また、日本語では、叱ると怒るは違うとみており、「人を叱る」というのは、相手のためを思って心に余裕があって行えることであり。「怒る」というのは、感情の赴くままに感情を爆発させた状態である、と書かれているが、アドラーは「叱る」の中にも怒りはあるとしている。

ついつい子供を叱ることがある。また、大人は会社の縦社会の中では、怒られることがある。なかなか難しいナ。

アドラーは対人関係を回避しようとするライフスタイルを斥けている。対人関係を回避する方向での自分や世界、他者についての意味づけを斥け、そのことを目的にする行為を認めていないと言える。

人間は一人では生きられない。人は他者との関係を回避できないからであれ、回避できないのは、人の本来的なあり方が他者との関係を離れてはあり得ないからである。

人の悩みは対人関係を巡るものばかりと言っていいくらいなのだが、それにもかかわらず、アドラーが他者を「仲間」であり、「敵」とは見ていないと言うことである。この「仲間」から「共同体感覚」という言葉が作られた。

神経症からの脱却、正しい方向の、即ち共同体感覚を伴った優越性の追求は、

1.      他者を支配しない

2.      他者に依存しない(自立する)

3.      人生の課題を解決する

健康なライフスタイル

1.      私には能力がある、と思う

2.      人々は私の仲間である、と思う  

アドラーは「私は自分に価値があると思う時にだけ、勇気を持てる。そして、私に価値があると思えるのは、私の行動が共同体にとって有益であるときだけである」

試験を受けた直後に、答え合わせをすることができる人は、次回は同じ失敗をすることを回避できるだろうが、悪い点だったという事実を直視することを恐れて見直さなければ、同じことが繰り返されることになる。 

アドラーの人生に向ける姿勢は、楽観主義という言葉で特徴づけられる。アドラーは、自分に与えられた課題を円滑に解決できると信じる楽観主義を持った子どもについて、そのような子どもは自分の中に「自分の課題を解決できると見なす人に特徴的な性格特性を発達させる」とし、「勇気、率直さ、信頼、勤勉」などを、必ずその性格特性としてあげている。ときには自分の課題を解決できない事はあるだろう。しかし、アドラーが楽観主義に立つ時、強調したいことは、解決に向けて何もせずに初めから断念すること、そしてその際、何か口実を設けて課題に立ち向かおうとしない事があってはならないと言う事である。

「大切なことは、何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかだ」といっていることは、生の問題全般にあてはまると言える。

人生も同じではないだろうか。よく生きることに専念していれば、先のことは気にかからなくなる。死後どうなるのだろうということが気になるとすれば、この生をよく生ききれていないからであるといえるだろう。

アドラーは、しばしば、「生きる喜び」という言葉を使っている。生きることが大変であるのは本当だが、深刻にならず生きることに喜びを感じたい。常に快適なことばかりが待ち受けているわけではないとしても、である。常に息詰まるような緊張感の中に生きる必要はない。

アドラーの考え方は、好きである。

2010年7月10日 (土)

行動科学マネジメント-短期間で組織が変わる  著者 石田淳 について

少し内容を更新したので、あらためてブログに掲載します。

行動分析学は、行動を基準にして物事を見る。

行動分析では、結果をリインフォース(強化、行動を繰り返させるための行為)するのはもちろん、結果を出すまでの行動に対してもリインフォースすることを大原則としている。

行動分析、7つのメリット 

1.      実用的なメソッドである

2.      すぐに成果が得られる

3.      『こころ』の学問や訓練は不要

4.      あらゆるパフォーマンスを最大限にする

5.      職場が楽しくなる

6.      職場、家庭、コミュニティーの関係を高められる

7.      オープンなシステムである

近年、わが国では「成果主義」と言われ、結果のみで評価し、その過程でどういう行動をとったかは評価項目に入っていないのが一般的である。このような環境下では、いわゆる「2割8割の法則」が作用する。

「成果主義」は個人の成果を重視するため、チームワークを落とすことになる。

「チーム制」が効果を上げている。

また、効果に対する報酬は非金銭的報酬でよい。非金銭的報酬は無限に工夫をする事ができるから。(また、工夫をし続けることも必要)

生産性は作業内容ではなく「環境」が決める。

行動したくなるような(「行動自発率」と言う。Want-to-do)環境を整える(楽しくやる工夫)。怒鳴ってやらせる(Have-to-do)のとでは、生産性が4倍違う。

「何でも言える」風通しの良い職場が良い。

行動は、徐々に変えないと定着していかない。“できることから少しずつ”がポイントである。

行動科学マネジメントでは、80年代にアメリカが日本から輸入して、「ミッション」、「ビジョン」、「チームワーク」等として公式化したもの。逆に、日本は90年代のバブル崩壊の頃から、アメリカの良くなかった「成果主義」を輸入してしまった。

行動科学マネジメントでは、「2割8割の法則」における8割の人の生産性をより向上させることに主眼をおいている。結果として、3、4割、生産性が違ってくる。

また、リーダーは、この8割の人をいかに伸ばすかが、リーダーの力量となる。

※できる2割の人は、抽象的な言葉を具体的に落とし込むことができる。しかし、8割の人はそうではない。

一人の社員にMVPを与えてはいけない。会社全体の生産性は落ちることになる。なぜなら、「2割8割の法則」で言う、2割だけに的を絞っているため。ある基準を設けて、それを超えたら全員に与えるようなものが良い。

「やらなくていいこと」は徹底的に排除する。1~10の仕事があれば、2~3を明確にして、後は切り捨てること(劣後順位)。1つ1つを定着化させていくことが大事である。

「行動」においても、行動を分解し、優先順位、劣後順位をつけていく。成果の上がる行動を3つに絞って継続すること。

「コミュニケーション」は質より量である。その量を計測して下さい。

(例1) Pride-cardThank-you-card、ためらわず沢山渡す。もらう方よりも渡すことの方が大事。

   このCardは、毎月勉強している・ゴミを拾っていた・あの一言に勇気づけられた・などちょっとした出来事に感動した時に相手に贈るものです。

   xxxxさんへ (2、3行でよい)   xxxxxより

(例2) 日立では、「ビジネス顕微鏡」というタグを首にかけておき、誰といつ、どの位話をしたかのログを取っている。

部下はなぜ仕事ができないのか 

1.      仕事のやり方が分かっていない場合(ほとんどのケースはこちら)

ü  行動を分解し、「チェックリスト」にする 

(例) “待ち合わせに遅れない”の行動を分解してみると・・・

²  10分前に来る。同行者と行き先を確認する

²  身だしなみを確認する

²  名刺を出せるか相互に確認する

²  想定問答を確認する

ü  反復トレーニング。系統的脱感作(徐々に慣れていくためのステップを作ること)

ü  実証-行動を変えたら売り上げが伸びた:(例)アップセールスの実施 

ü  マネジメントでは褒めることが大切だと言われるが、無条件に褒めても意味は無い。大切なことは、目標達成や問題解決に必要な行動が一体なんなのか、できれば5つ見つけることだ。その中でもとくに重要な、二つあるいは三つの行動をリーダーがピックアップし、そこに改善を加えるのである。 

ü  行動とは何か MORSの法則(「具体性の原則」とも言う) 

²  Measured(計測できる)

²  Observable(観察できる)

²  Reliable(信頼できる)

²  Specific(明確化されている)

2.      仕事のやり方は分かっているのだが継続できない場合(禁煙、ダイエットができないなど「セルフマネジメント」によるケースはこちら)

ü  よくできる一部の社員を大事に扱うよりも、下の八割を引き上げたほうが生産性ははるかに高くなる。

パフォーマンス改善ポテンシャル(Performance Improvement Potential)=

 We(トップの成績の価値)÷Wt(平均的な成績の価値)

ü  消極的リインフォース(罰、ペナルティー)は行動を増やすことは無い。

ü  望ましい結果が得られることを学習したとき、人は同じ行動を繰り返そうとする。また、育成をしていくためには、大きなゴールの前に、「サブゴール(スモールゴール)」をいくつも用意する。

ü  最も行動が継続しやすい条件とは、PSTである。Positive、即時(Sokuji)、確か(Tashika)。即時には「60秒ルール」がある。人は60秒以内に起きたことに左右される。禁煙ができ難いのは、60秒以内にリラックスできるから。

良いタイミングで確実に評価を与えること

結果を出すための五つのステップ

1.      「ピンポイント」を見つけること。ピンポイントとは、望んでいる結果に直結する行動を言う。売り上げに直接結びついている行動、顧客増加に直接結びついている行動などをピンポイントと呼ぶ。

2.      「メジャーメント」。ここでは行動の数を調べるのだが、調べる方法は二つある。実際に行動が起きたかどうか目に見える場合は測定する。また、顧客満足度のように数として測定できないものは「判断」する。測定不可能なものを判断する方法としては「クオリティー評価法(Best-Better-Normal-Bad-Worst)」がある。

3.      「フィードバック」。一般的な情報やデータをフィードバックするのとは異なり、最適に働くための情報、すなわちパフォーマンスを調整するための情報を本人にフィードバックする。一言で表すなら、効果を実感して自発的意欲を維持するための方法である。

フィードバックの方法には、「言葉にする」、「態度で示す」、「グラフ化して随時提示する」が大切である。しかし、罰を与えるようなフィードバックは最悪である。

4.      「リインフォースR+(積極的な強化)」。動機づけ条件。行動を繰り返させるときに大事なのは、本人が望む結果を与えることである。お金である必要はなく、高価である必要もない。

ただし、リインフォース因子は飽きられることがあるので、リインフォースも測定によって、それを防ぐことが可能になる。

5.      「評価」。評価は数字上の評価で構わない。行動科学マネジメントを始めたのに、1、2回やって結果が出ないからやめてしまうケースが結構ある。最初のうちこそある程度の時間はかかる。しかし、その段階を越えると習慣化して楽になる。よって、最初は連続リインフォースとし、慣れてきたら分化リインフォースに切り替える。あとは自然と習慣化していく。

ダイエットを例に取ると、①ピンポイントは一日3キロ走る。②メジャーメントは一日3キロのジョギングを1週間実行し、体重が少しでも減っているかどうか測定する。効果が確認できたらジョギングを続ける。③フィードバックは測定結果をグラフにする。④リインフォースは1週間継続できたら好きなCDを買う。⑤評価はどれだけ体重が落ちたかを検証する。

行動科学マネジメントは、人の行動を支配しようと考える人や、ロボットのように動かしてやろうと考える人に対しては適さない。

「マイクロマネジメント」は生産性を落とす。⇒山本五十六の言葉へ

行動分析が目指すのはどういう会社かというと、スポーツを楽しむ感覚で仕事をする会社である。

所感として、自発的な行動を引き起こし、継続させて、習慣化させていくことは、「企業は人なり」と言う中で、良い「考え方」と思いました。

2010年7月 4日 (日)

「その数学が戦略を決める」 イアン・エアーズ著者 を読んで

仕事で、マーケティング的なことも考える必要があるので、読んでみた。

英語名でのタイトルはSuper Crunchers、サブタイトルとして、Why thinking-by-numbers is the new way to be smart とある。crunchという単語はあまり聞かないが、コンピュータで計算するという意味があるそうだ。

次に本の内容(概要)を紹介する。

「絶対計算(thinking-by-numbers)」とは、現実世界の意志決定を左右する統計分析。「絶対計算」による予測は、通常は規模、速度、影響力を兼ね備えている。データ集合の規模はとんでもなくでかい。

メガバイトやギガバイトではなく、テラバイト単位になりつつある。テラとはギリシャ語で化け物を指す言葉からきている。まさに化け物じみた大量データだ。アメリカ議会図書館全体でも、文字量は20テラバイトだ。そしていまやペタバイト(1000テラバイト)単位になりつつある。

「回帰分析」は強力だが、過去の大量の実績データが必要。だがそれがなくても、リアルタイムで必要データを作り出す方法がある。それが「無作為抽出」である。

アメリカノ企業、キャピタル・ワンが抜きんでているのは、彼らが文字通り実験を恐れないからだ。消費者行動の過去データ分析で満足せずに、キャピタル・ワンは無作為実験をやって市場に積極的に介入するのだ。

また、グーグルの人々がこの無作為化の波に乗っているというのも不思議でもなんでもないだろう。彼らも顧客にちがった広告を見せて、どの広告が、一番人気があるかを調べさせてくれる。

また、「ググる」や「マッシュアップ(混合)」も大量データを用いた分析の一つとして、紹介をしている。

無作為化の力は単にマーケティングにだけ有効かと思うかもしれない-ダイレクトメールの効力を最大化したりウエブ広告の効果を上げたり。だが、それ以上にも使う事ができる。 

アメリカ政府による負の所得税についての無作為抽出テスト、メキシコの教育・健康・栄養状態のためのプログレッサ計画、などを紹介している。 

ムーアの法則-計算能力は2年ごとに倍増するという現象-のおかげで、絶対計算はCPUの不足に足を引っ張られることはない。 

クライダーの法則-ハードディスクの容量は2年ごとに倍増するという法則-のおかげで、データベース技術の進歩が止まると考えるべき理由は全くない。 

「絶対計算」の結果には、第三者確認が重要なことも紹介している。 

最後にツールとして、それまでの本の流れから、少し突飛に思えたが、「2標準偏差ルール(日本では3σの法則が一般的な使い方に思います)」と「ベイズ理論」が紹介されている。 

また、「訳者解説」では、大量データ解析-特に異なるデータを連結・クロスした解析-にとっての大きな障害が日本にはある。それが「個人情報保護法」や、データの目的外使用の禁止という規制だ。それとは、上手く折り合っていく必要があると記されている。

最後に感想としては、「大量データ」、あるいは「無作為抽出」に基づくデータ(できるだけ大量のデータで)を収集し、そして、データ分析(回帰分析など)を行い、そこに、これまでの経験、直観も合わせて、よりよい選択肢を生みだすことが大事である、ということかなと感じました。

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