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2010年8月 8日 (日)

論述試験対策3-相互会社と株式会社

まず、相互会社について、日本に影響を与えたドイツから始めてみたい。

ドイツの相互会社は1827年エルンスト・ウイルヘルム・アーノルディーによるドイツ生命保険銀行(1902年に、ゴーダ生命保険相互会社に改称)の設立に始まるとされている。

アーノルディーは自助、自治及び自決を特徴とする。相互会社の設立の第一の目的は、保険相互会社は利益獲得の目的で営業をおこなうのではなく、社員に対し、可能な限り保険料の有利な保険保護を提供すること、第二の目的は、保険相互会社は営利目的の保険会社の市場支配を打ち破らなければならない、とされていた。アーノルディーはそのいずれにも成功したといわれる。

ゴーダ社の経営理念は、相互主義と公開主義の二大原則である。アーノルディーの相互主義による「非営利」、「非利己」は、当時のイギリスの営利万能主義とは、経営者の意識において相当の距離があったとされる。

現在の社会保障制度に大きな影響を与えたビスマルクの国というのが、偶然なのか、必然なのか。

また、現代のドイツでは、相互会社よりも、株式会社が圧倒的に多くなっている。

次に日本では、1897年ドイツから帰朝した矢野恒太氏が、1898年農商務省の嘱託となり、当時、帝国大学教授であった岡野敬次郎博士が日本の保険業法の起草に携わる過程で、保険学の分野に関してこれに参画した。この草案編纂にあたっては、当時新たに公布されたドイツ保険業法がモデルとなり、この中で相互会社の規定についてはゴーダ生命の組織に倣うところが多かったとされている。

その後、平成8年の保険業法改正までの、相互会社における「社員権」について。

旧保険業法第46条は、相互会社の社員について、剰余金が発生したときはそれを社員配当金として享受できることの代わりに、損失となったときの補填は社員自らが負う、という、株式会社において株主に対し減資が求められる場合と同様の、相互組織の社員権に係る規定であったが、第2次大戦後の適用例は無いようである。 

これが、平成8年の保険業法改正時に削除された。

旧保険業法第46条は、保険契約上の権利義務に関しては、できるだけ、保険株式会社の保険契約者と同等にすべきとの考え方や、この規定の目的である、会社の倒産防止については、内部留保の充実やソルベンシー・マージン基準の導入などにより間接的に担保することなどから、削除されている。また、憲法29条(財産権)との関係も引き合いにあり、やむを得なかったこともあるらしい。

理想は高くて良かったのだが、その後の生保破綻により、「生命保険契約者保護機構」、「支払保証制度」の設定では後手になってしまっている。

更に、保険業法では平成8年の改正により、それまで相互会社化の規定はあったが、新たに相互会社の株式会社化が規定された。

≪相互会社の存在意義≫

相互会社においては、社員が「実費主義の理念に基づく可及的に安い費用での保険の保護の提供」を受けると言う事が制度的に期待されている。これを実現していくことが相互会社の存在意義と考えられる。

≪相互会社の現代的意義≫  

社員は保険事業継続に必要な内部留保への貢献がもとめられるため、社員に分配される剰余金はその分減少することになる。一方、相互会社において損失が生じた場合には、その損失は保険加入者である社員に帰属する。

しかし、そのために保険料を追徴や保険金を削減することは、社員に事前に予測しえない不利益をもたらすものであって、保険加入の意義を大幅に失わせることになる。そこで、事業の損失のリスクに対しては保険事業継続に必要なものとして準備された内部留保により対応すべきであり、会社損失の社員への帰属は、原則として内部留保に対する社員の貢献分を限度とする。

継続企業として社員に対して確実な保険給付をなすという相互会社の理念に照らした(現代的)意義となっている。

ここで、株式会社化についての成功のポイント

Ø  株式会社化前に「戦略的施策」を実行に移した場合に最良の結果となることが多い。

Ø  成功した会社のほとんどは、多様な金融サービス会社となっている。

Ø  大規模な会社にとっては強力な成長を実現するため国際的展開が必要である。

Ø  小規模な会社にとっては、国際的展開よりも中核事業ラインの市場シェア増加により成長を実現できる。

Ø  ニッチを持たない中規模な会社は、株式会社化による改善は得られなかった。

≪日本の株式会社化より≫

第一生命の場合-2010年4月1日【第一生命Hp 経営方針より】

既存の事業分野での生産性を大幅に高めるとともに、成長分野への取組を強化することで、企業価値の持続的な成長を実現していくことが不可欠です。
これらの戦略遂行のスピードアップと柔軟な事業再編や資本市場へのアクセスを目的として株式会社化・上場を行いました。

2010年度は、株式会社化後の新創業の年 

三井生命の場合-平成16年4月1日【三井生命Hp より】

株式会社化の目的は、経営環境に左右されることのない盤石な経営基盤を確立し、より一層「信頼され・選ばれる会社」となることです。

株式を発行して出資を受けることにより自己資本の充実を図り、あわせてリスク資産(価格変動のリスクが高い資産)を減らすことなどにより信用力を向上させます。これにより、お客様に今まで以上に信頼・安心いただけると考えています。

お客さまからのご期待に沿うべく、さらなる経営の効率化を通じて、収益力向上を図り、よりよい商品・サービスを提供してまいります。

振り返ってみると、「相互会社」の理念は、それはそれで素晴らしいなと思ってしまう。矢野恒太氏、スゴイ。鉄血宰相ビスマルク、保険でも侮れない。

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

ありがとうございます。

是非、また遊びに来てください。

・・・・・ブログ更新は遅くて恐縮ですが・・・

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