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2010年9月18日 (土)

生命保険の新商品開発-日本の場合

最初に戦後からの金融状況を俯瞰してみる。

日本では第二次大戦後、日本経済の復興を目指して、長らく厳格な金利規制が行われていた。
これは、各金融機関の金利を一定にすることにより、安定的な金融体制を作り上げるための政策であった。

金利自由化

復興がされて、経済構造の変化に伴い、規制はかえって金融の効率性を損なうと考えられるようになり、1970年代後半から金利自由化が推進された。

1980年代に、日本において個人金融資産の増加や、海外との相互依存関係の深まりなどによって、金融の自由化が進んだ。

金利自由化の流れ

1947金利規制の導入

政府は臨時金利調整法を定め、金利規制体制を築いた。米国は大恐慌に対処する為、1930年代からレギュレーションQFRBによる預金金利に関する規制。米国の預金金利規制の総称。1933年銀行法を受け、金利規制が定められた。1986年以降は金利の自由化により、実質的意義を失っている。)という預金金利上限規制を導入しており、これを手本とした。

1975国債の大量発行

第一次石油危機による不況から脱出する為に、政府は1975年に国債の大量発行を行った。国債を購入した民間金融機関は、国債を流通市場で売却する必要が生じ、転売価格が自由に形成されるようになった。こうして規制金利の一角が崩れた。

1978短期金融市場金利の自由化

日本銀行は市場レートの弾力化方針を発表し、コールレートと手形売買レートに、日銀の意向を反映させていた建値制度を廃止するなどの具体策を打ち出した。
譲渡性預金が1979年に導入され、無担保コール市場が1985年に創設されるなど、短期金融市場の自由化が進んだ。

1985定期性預金金利の自由化がはじまる金利自由化は、短期金融市場から預金金利にも波及した。

ü  1985
1,000
万円以上の大口定期預金金利の自由化の開始

ü  1989
1,000
万円未満の小口定期預金金利の自由化の開始

ü  1993
定期性預金金利の自由化の完了

1994無利子の当座預金を除く、全ての流動性預金金利の自由化

金融機関の業務分野規制の緩和

金融機関の業務の多様化が進展した。日本の金融制度は、金融機関の業務が業態ごとに分離されていたが、銀行法や証券取引法の改正など“金融制度の改革”により、銀行・信託・証券が、それぞれ業態別の子会社を設立することができるようになった。業務分野規制の緩和は、現在もさらに進展している。

国内外の資本取引の自由化

1980年の外為法の改正などを契機として、日本企業が海外から資金を調達したり、外国証券に投資をしたりすることが活発化した。

派生商品市場の拡大

日本の証券・金融市場の拡大と、その国際化を背景に、証券取引所で派生証券が扱われるようになった。

生命保険事業に関する参入規制の緩和について

1.      平成8年の保険業法改正から平成12年の日米保険協議を経て第三分野商品に対する生損保双方による相互参入が解禁となった。

    外国保険事業者等の中に、この分野への依存度が高い会社が多く存在することから、これらの会社の経営環境が激変することを避けるため、生損保本体による第三分野への乗り入れについては段階的に進むような措置が講じられることになった。そして、平成12年の『日米保険協議』の決着により2001年(平成13年)1月には子会社による相互参入が、続いて7月には本体による相互参入が解禁となった。

    『日米保険協議』とは、1993年9月から協議が始まり、翌年10月にいったん合意に達した。保険料の自由化は大企業向けを対象に段階的に進めるとされる一方、外資の強い第3分野への本体相互乗り入れを当面認めないなど、規制を強く残す内容だった。しかし、子会社による第3分野参入へアメリカが危機感を高めたことなどから協議が再開された。両国政府は96年12月、損害保険料率の完全自由化を98年7月までに実施したうえで、第3分野への乗り入れを2001年(平成13年)に全面解禁することで合意した。

2.      平成8年4月の保険業法改正において、保険ブローカー(保険仲介人)制度が導入された。

3.      保険会社間における「業務の代理・事務の代行」の範囲拡大では、平成12年に「業務の代理」に「保険募集の代理」が含まれることを明確化したことから保険会社が他保険会社と代理店契約を結んで他保険会社商品を販売することが可能となった。ここには、業務効率化、コスト削減への寄与への期待がある。

4.      金融システム改革法』とは、フリー・フェア・グローバルの理念をもとに日本の金融システムを自由で公正なものに改編することを目的として、1998年(H10) 6月に成立した金融・証券制度の改革を実施するための法律の通称。24の関係法律を一括して改正する内容であった。一部を除いて199812月に施行された。
正式名称は『金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律』。投資者の多様化するニーズに応え、より有利な資産運用を可能にするために、以下のような内容が盛り込まれている。
1.投資法人や私募投資信託の導入、銀行による投資信託商品の窓口販売の解禁、有価証券店頭デリバティブの解禁など、投資信託制度の改善がなされた
2.投資家が仲介業者から良質のサービスを受けることができるように、証券会社の専業義務が廃止された
3.証券業録制とすることで、競争を促進させた
4.子会社を通じた銀行・証券・保険業務への相互参入を以前よりも容易にした
5.企業が多様な資金調達を行えるように、取引所集中義務の徹廃や、私的取引システムの導入などの証券市場の整備が図られた
6.利用者が安心して取引を行うための枠組みとして、ディスクロージャーの整備(連結ベースでの開示など)、公正取引を確保するための規制強化(インサイダー取引規制の充実など)が図られた
7.仲介業者が破綻した場合に備えて、投資者保護基金保険契約者保護機構が設立された
8.委託売買手数料が廃止された

    平成103月施行の金融持株会社法によって、すでに保険持株会社(保険会社を子会社とする持株会社)の設立は可能となっている。

    論点とは異なるが同時に「生命保険契約者保護機構の発足」、「早期是正措置制度の導入」が講じられている。

5.      証券会社については、平成101998)年の証券取引法改正(現在の金融商品取引法)により、本業以外の業務範囲が大幅に拡大され、保険募集を業務とする事が認められた。

199812月に、証券取引法(旧43条)が改正され、証券会社による保険商品販売が解禁されたが、これを契機として、生命保険各社は変額年金保険の発売を開始した。

(つまり解禁はされたが、代理店形式ですね)

6.      銀行等による保険商品の販売について  

利用者利便の向上、販売チャネルの多様化、効率化、保険業における競争促進を通じた保険商品の多様化・高度化等に資することから基本的に認めることが適当である、と示された。

平成12年の保険業法改正により、“保険契約者等の保護に欠けるおそれが少ない場合”に保険募集を行うことが認められた。

その後、順次、販売対象商品が拡大され、2007H19)年12月より、全ての保険契約の募集が行うことができることとなった。

2002H14)年10月個人年金の銀行窓販が解禁されたとき、変額年金保険は市場を大きく拡大した。

生命保険事業に関する料率規制の緩和について

1.      標準責任準備金制度の導入

2.      保険料及び責任準備金の算出方法書の記載事項の一部削除(H18/4/1施行、H19.2(1)

3.      認可制から届出制への移行 

ü  新保険業法での基礎書類の変更は、原則として認可制を維持しつつも、契約者保護等の観点から問題が少ないと考えられる事項については、認可ではなく届出で良いこととされた。(法第123条)

ü  責任準備金については、標準責任準備金対象契約について、大蔵大臣が定めた積立方法・基礎率に基づく標準責任準備金以上の金額となる責任準備金を積み立てる場合、即ち追加の責任準備金を積み立てる場合は、届け出で良いこととなった。(規則83条第2号)

ü  危険準備金の取り崩しは「届出事項」である。

ü  施行規則第85条「届出事項等」 に定められている。

4.      生命保険会社の配当について

   保険業法施行規則第30条の6(積立割合)において、当期未処分剰余金のうち一定の比率を乗じる対象となる金額(施行規則第30条の4)の20%以上の額を社員配当準備金又は社員配当平衡積立金に積み立てる旨を「定款(剰余金の分配の方法)」に定めることと規定している。また、保険業法第55条の2では、20%を下回る場合は、内閣総理大臣の認可を受け、かつ、定款を変更する、とある。

   相互会社の内部留保をより充実させる観点からいわゆる80%ルール(当期剰余のうち契約者配当に充当すべき割合。1995年の保険業法の全面改正以前は90%以上と法令で定められていた)は、2002年に20%まで“緩和”された。

ここで、順次緩和された「20%」という数値は、生保各社へ裁量を与えていると考えているが、これは他の様々な規制緩和によって、会社経営の健全性を維持・高めるための措置とも捉えている。

このような戦後の金融の状況を踏まえて、少子高齢化の進む日本において、今後、どのような新商品が望まれるのか、考えてみたい。

続く・・・続けられるか・・・難しくなってきた。

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

ありがとうございます。

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