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2010年11月

2010年11月28日 (日)

日本の公的医療保険制度と民間生命保険会社の役割について

総務省の統計によれば、日本の就業人口約6200万人のうち、その約9割が、会杜・団体・個人や官公庁に雇用されている「雇用者」となります。そこで、その9割に該当する「雇用者」を例にして、現在の社会保障制度を概観してみたい。

 もし、雇用者が、病気、あるいは事故により、長期(例えば1年超)に入院をすることになった場合に、現在の社会保障制度からどのような給付が為されるのか。

1.      健康保険制度の「高額療養費制度」からの給付(一般的な収入(標準報酬月額53万円以下)の場合で例示)

1か月の医療費総額に対して、一般的な3割負担で自己負担額が8100円を超えた場合、実際の自己負担額は次式で求めることになります。

 (自己負担額)= 8100円+{(1か月の医療費-267000円)×0.01 }

 仮に、「1か月の医療費」が100万円かかったとしても、上式より「自己負担額」は87430円となります。

 この自己負担額は、最初の3カ月までであり、4か月以降は44400円に下がります。

 また、平成194月からは、入院などにかかる高額療養費を現物給付化して、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができるようにもなっています。 この制度を利用するには、事前に社会保険事務所に健康保険限度額適用認定申請書を提出し健康保険限度額適用認定証の交付を受けて、これを医療機関の窓口に提出すればよい。

 一方、「高額療養費制度」の留意点もあります。高額療養費に該当するかどうかは、暦の1日から末日までの1か月ごとに判断されるということです。入院日数と医療費総額は同じでも、入院の仕方によって自己負担額が変わることになります。例えば、30日間入院した場合、同じ30日間の入院でも、81日に入院して830日に退院したとしたら、高額療養費によって支払わなくよい医療費が増え、自己負担額は少なくて済んだとしても、逆に、入院が7月半ばだった場合には、7月も8月も高額療養費に該当せず、自己負担額が増える可能性があることです。

 また、「自己負担額」は、病院、診療所ごとに計算されます。複数の病院、診療所で診察を受けた場合は、それぞれ別計算になります。 同一病院であっても、医科、歯科両方を利用した場合、別計算になります。入院と外来も別計算になります。ただし、処方箋による調剤処方箋により薬局で調剤を受けた場合、支払った金額は処方箋を発行した病院での医療費として計算できます。

2.      一般の雇用者が加入する“国民健康保険以外の健康保険制度”からの「傷病手当金」による給付

 病気やけがで会社を休み(入院に限定されない)、会社から報酬が受けられなくなる場合、会社を休んだ日が連続して3日間あった上で、4日目以降、休んだ日に対して支給されます(最長1年6カ月まで)。

 支給される金額は、1日当たり、標準報酬日額の3分の2となります。

 この「傷病手当金」にも留意点があります。同じ病気であっても、完全に治った後に再発した場合、支給期間はあらためて計算され、再度、傷病手当金を受けることはできますが、傷病が治癒していない場合には、支給開始をした日から起算して16ヶ月で傷病手当金は打ちきりになってしまうことがあること。

 また、労働者災害補償保険(一般に「労災保険」と言い、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度。)に、もし認められれば、傷病手当金よりもやや多く、支給期間も状況によっては、1年6カ月を超えて休業補償給付を受けることができます。

3.      もし、身体に障害を負った場合には、「公的年金制度」からの障害基礎年金や障害厚生年金が支給される場合もあります。例えば、人工透析をしなくてはならなくなったり、心臓ペースメーカー、心臓人工弁、人工肛門を付けなくてはならなくなったり、失明などの場合となります。

資本主義の日本において、ここまでの社会保障制度があることは、優れていると言えると思います。

では、上記保障を勘案しても不足する点を挙げてみます。

ü  「傷病手当金」で補ったとしても、間違いなく収入は減ること

ü  「高額療養費」で補ったとしても、自己負担となる医療費が間違いなくあること。高額療養費による給付後の実質自己負担は、最近の統計でも、1日平均、約5千円程度と統計が出ています。

ü  「差額ベッド代」は自己負担となること。「差額ベッド代」とは、一定の水準を超える環境を備えた病室(個室、少人数の部屋など)に病院が設定した特別料金から公的に定められた基本的費用を引いて算出された差額分のことです。この差額ベッド代は患者の希望で病室を選択した際などに発生しますが、個室で治療に専念したい方や、特にプライベートを重視したい女性には必要な費用かもしれません。厚生労働省の2008年の統計で、差額ベッド代の一日平均で約6000円と統計が出ています。

ü  入院時の食事は、1食あたり260円、3食食べると1日あたり780円が必要になること

ü  その他の雑費として、入院した時の衣服代など、準備費用も考えられること。また専業主婦の方は、家事や育児を一手に担っているため、残されるご主人やお子さまの外食費やあるいはハウスキーパー代、といった費用が発生する可能性もあること。その他にも、お見舞いに来る家族の交通費や退院後のお見舞い返しなど。一定の金額が必要になること。

 これらの不足分を民間の医療保険等で補うのか、個人の貯蓄で補うのかは、それぞれの考え方、価値観によるのかもしれない。

次に、公的医療保険制度の財政問題についても確認をしておきます。

 

 まず、保険料負担の変遷を認識しておきます。

高度経済成長もしくは安定経済成長のなかで、1961年に国民皆保険が実現して以降1991年まで、国民医療費の伸び率は国民所得の伸び率を殆どの年で上回ってきました。

1984年被用者保険本人の一部負担を、初診時800円、入院1日500円(1ヶ月以内)という定額負担であったものを定率1割に改正

1992年度から、公的医療保険制度における財政方式が、賦課方式から中期財政運営方式へ転換されました。

 1997年医療保険制度改正について。

 1990年代初めのバブル経済の崩壊以降、日本経済は低迷を続けています。保険料収入が減少し、公的医療保険財政は深刻な状況に陥り、まず当面の財政危機を回避し、制度の運営の安定を図ることが緊急の課題であったことから、1997年9月に健康保険法等の改正が行われました。

 改正の内容は、

①被用者保険の被保険者本人の一部負担割合を1割から2割に引き上げ

②我が国の薬剤使用の実態に鑑み、その適正化に資するため、外来における投薬の薬剤に対する一部負担を導入したこと、など

ただし、この改正を実施しても、財政の均衡を保持できるのは2年程度であり、公的医療保険制度を抜本的に改革する必要があったようです。

2002年以降の医療保険制度改正

    薬価制度の見直しによる薬価差の縮小、

    包括化の推進など診療報酬体系の見直し、

    病床区分の見直し等を行う医療法の改正、

    高齢者の定率1割負担の導入等を行う健康保険法等の改正

    被用者保険の被保険者本人の一部負担割合を2割から3割に引き上げ

    拠出金負担の軽減を図り、後期高齢者に施策を重点化する観点から、老人医療の対象が70歳から75歳へ段階的に引き上げられるとともに、老人医療費に係る公費負担割合が3割から5割へと段階的に引き上げられました。

 2008年4月からは、「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」という、被扶養者であれば「国民健康保険制度」で扶養者が保険料を支払っていれば、別途保険料を支払う必要はありませでしたが、基本的には75歳以上の方は、そこより独立して、別建てで保険料負担が必要となっています。この制度は、今後見直しが図られるということですが、財政面に関しては、方法が変わったとしても、保険料等の収入が無ければ、その財政を支えることができなくなるため、難しい問題であると認識をすることができます。

 政府管掌健康保険(中小企業等で働く従業員やその家族の皆様が加入されている健康保険)の保険料率の場合、当初7%(労使折半)から、現在の8.2%(労使折半)まで、上昇をしてきています。また、2007年度以降、政府管掌健康保険では、単年度収支が赤字となっており、積立金を取り崩して運営してきました。そこで、政府管掌健康保険は、従来、国(社会保険庁)で運営をしていましたが、平成20101日、新たに全国健康保険協会が設立され、協会が運営することとなりました。これにより、協会設立後、1年以内に、都道府県毎に地域の医療費の反映した保険料率を設定することとなり、財政の安定化を図ろうとしているようです。ただし、都道府県単位の保険料率の場合、年齢構成の高い県ほど医療費が高くなり、そのために保険料率が高くなり、また、所得水準の低い県ほど同じ医療費でも保険料率が高くなることから、年齢構成や所得水準の違いは都道府県間で調整した上で、地域の医療費を反映した保険料率を設定することとなっています。都道府県別保険料率への移行に当たり、保険料率が大幅に上昇する場合には激変緩和措置を講ずることとなっています。

 次に、今後の財政対応案についても考えてみたい。

例えば、公的医療保険制度の場合、被用者保険の被保険者本人の一部負担割合を3割からの引き上げ、あるいは「保険免責制」の導入。「保険免責制」とは、一定額ないし一定回数までの軽微な医療については保険対象外とするものです。更に、何らかの条件によって公的医療保険の対象者を限定していく仕組みの導入など、「消費税」だけに頼るのではない、対応案が考えられているようです。ただし、「保険免責制」など、公的医療保険が適用されない医療の拡大は自費負担能力による医療格差を生む可能性を秘めているため、十分に慎重な配慮、考慮が必要になると考えられています。

「傷病手当金」についても、2009年、社会保障審議会医療保険部会で、給付について検討がされています。現行の制度では、健康保険への加入期間にかかわらず傷病手当金が標準報酬月額の3分の2支給されるが、見直し案では、次のように記されています。

ü  一定の加入期間を設定し、これを満たさない被保険者には支給割合の引き下げや支給期間の短縮を行う

ü  支給金額に一定の幅や基準を定める

 また、公的年金制度の方にはなりますが、障害者となった場合の年金支給は、障害者となった場合に深刻な問題を引き起こすことより、とても大切な保障制度となりますが、無所得の学生を国民年金に加入することとした理由の一つとなった、二十歳以降の1・2級の障害者全員に対して障害者年金を支給する「障害者福祉制度」を、保険料の支払いを求めている公的年金の財政と合わせてしまうことは、ミスマッチな内容に考えられているところがあります。財政状況の把握を困難なものにしていると考えられます。それでは、制度を今から分離するのか、と考えてみると、相当な移行費用(とくにシステム対応負荷)になると考えられる。少なくとも区分経理を行い、それぞれで財政状況を明確に把握できるようにしておくことは必要であろうと考えています。

 医療供給側にも課題が生じています。

 救急医療の問題。少子高齢化の進展、住民の意識の変化及び核家族化等の社会情勢の変化に伴い、救急利用が増大・多様化をしています。一方、救急医療自体は、基本的には採算のとりづらい分野であり、公的な救急搬送は無料である等の事情から、サービスと負担(コスト)の関係が認識されづらいと言うジレンマを抱えています。

 次に、医師不足の問題。全体としても少ないが、とくに産科医、小児科医の不足は危機的であると言われています。一人の医師の負担が増大し、診療に余裕が無くなっていること。小児科は診療報酬が低く、若いうちからローリスクハイリターンを求める傾向にある若手医師からは敬遠される傾向があること。

また、医師不足にも関連しますが、地域医療の困窮もあります。

 2008年末、社会保障国民会議では、医療・介護費用の将来シミュレーションを実施しています。

医療・介護費用は、現状41兆円(対GDP7.9%)が、いくつかのシナリオで実施をしているが、2025年には、およそ約90兆円(対GDP比約11%)になると予測をしています。更に、医療費全体の50%が高齢者(70歳以上)の医療費で占められるようです。ここで、追加的に必要となる公費財源は、対GDP比で、およそ3%弱程度。これを消費税換算で見ると、約3~4%程度になると報告がなされています。また、途中年次(2015年)時点で見れば、追加的に必要となる公費財源は、対GDP比で、およそ0.6%弱程度。これを消費税換算で見ると、約1%程度になると報告がなされています。

あまり悩んでいる時間は無い状況と言えます。更に、ここには、公的年金制度の公費負担増がアドオンされることになるわけです。

アクチュアリージャーナル第70号「小さすぎる政府の社会保障と政府の利用価値」の権丈先生、アクチュアリージャーナル特別号(リスクと保険)「公的医療保険の効率性-情報の非対称性が存在する市場における政府介入の是非-」の山本氏、宮下氏、及び「生命保険入門」の著者 出口氏は、結論の一つとして、同様と認識することができる方向性を導いているのは、興味深く、今後の参考になるように思います。

権丈先生は、日本の政府は小さすぎる、大きくする必要がある(増税をする必要がある)と言うことで、次のように説明をされています。

 「小さな政府」とは分配を貢献原則に比重を置いた社会であり、「大きな政府」とは分配を必要原則に比重を置いた社会となる。その中で、日本をとらえた時、支払った税金プラス社会保障料に対する社会保障への還元率は、スウエーデン75.6%、ドイツ58.6%、イギリス59.0%に対して、日本は41.6%となるが、日本は、既に社会保障料のみでは、現在の社会保障費を賄うことはできていないため、社会保障に関しては、「小さな政府」ではなくなっている。

また、日本の医療費を一人当たりで見ると、他の国と比べると低いが、日本は社会保険料の負担水準の割には、公的医療費は大きくなっている。GDPに占める租税社会保障負担の割合を横軸にとり、GDPに占める公的医療費の割合を縦軸に取ると、日本は傾向線よりも上になっている。

よって、公的医療制度における、税収などの収入面は、小さな政府であるにも関わらず、保障などの支出面は、大きな政府を行おうとしている状況にある。私たち日本国民は、更に少子高齢化が進んでいく中で、間違いなく増えていく支出を今後も政府に求めるのであれば、大きな政府(増税をする必要がある)を認める必要があると説かれています。

山本氏、宮下氏は、医療保険について、保険者が加入者の健康状態を正確に把握できない状態、「情報の非対称性」が存在する市場では、出来る限り政府が直接に市場を支配した方が、医療費の効率化につながると述べられています。

 また、出口氏は、次のように述べられています。

わが国は、歳入面では小さな政府であるのに対して、歳出面では大きな政府であること。これまでは奇跡の高度成長がこの矛盾を表面化させなかっただけである。今後は、好むと好まざるとにかかわらず、歳入面での大きな政府か(増税、社会保険料の引き上げすなわち、国民負担率の引き上げ)、歳出面での小さな政府か(社会保障給付等の引下げ)の選択を迫られることになるだろう。小さな政府が常に正しく望ましいというわけではない。欧州の高負担・高福祉国家の中には、国民の満足度が高くかつ国際競争力の点でも優れている国がある。要はその国の置かれた歴史的・社会的な状況の中で、国民の満足度を高め、国際競争力の強化をいかに図っていくかという点に尽きる。

では、仮に歳出面での小さな政府を与件とした場合、民間の生命保険は社会保障を代替出来るだろうか?答えはノーと言わざるを得ない。その理由は簡単である。健康保険や年金を例に取って考えてみよう。国民・消費者にとっては月々の給料から、その名目が社会保険料であれ生命保険料であれ、天引きされる点は同じである。要は、同じ金額の保険料でどちらの方が給付が大きいのかということになる。生命保険は収支相等の原則によって運営されている。給付の総額は生命保険料の総額を超えることができない。これに対して社会保障は政策判断によって税金の投入が可能である。加えて、世代間の資金の融通も可能である。民間の生命保険会社が社会保障より優位に立とうとすれば、よほどの高金利の時代でかつその会社の運用能力がきわめて高い場合等に局限されるだろう。もう一つ重要な問題がある。生命保険事業はまた、公平性の原則によって運営されている。すなわち、例えば生まれつき病弱な人は生命保険に加入することができない。

国民にシビル・ミニマムを提供することは、社会保障固有の領分であって、生命保険はそれを代替することはできない。小さな政府であれ、大きな政府であれ、社会保障と生命保険はあくまで補完関係に立つものであって代替関係に立つものではないのである。したがって両者の接合部分を滑らかにする、すなわち、社会保障制度の凸凹を上手く埋め合わせる整合性のとれた商品設計を行うことが、とりわけ民間の生命保険には求められることになるだろう。

公的医療保険以外にも、公的年金保険、公的介護保険、どれも全て、保険料収入のみでは、それらの支出を賄えず、税金を投入している事実があります。既に、支出に関しては、小さな政府ではない事、国民が相応の社会福祉を求めるのであれば、例えば、消費税を上げる必要があることを、国民が理解できるように、説いていく必要があるように思います。例えば、プロジェクトを立ち上げる際、必ず5W1Hを決めて推進します。理由を明確(WHY)にして、誰が(WHO)、何を(WHAT)、いつまでに(WHEN)、どこで(WHERE)、どのように(HOW)を国民が理解できるようにして、速やかに行動を起こす必要があると思います。

また、私たち国民も現状を理解し、改善をしなければならない事として、前向きに取り組む必要があると思います。「CSR」と言う言葉があります。よく用いられているのが、企業自身のガバナンスとして、地球環境問題に対する支援として、企業による社会的責任としてのCSRCorporate Social Responsibility)がありますが、相対する消費者の責任をCSRConsumer Social Responsibility)と言い、さらに、国民の責任をCSRCitizen Social Responsibility)と言っています。社会保障制度は、国民の責任としてのCSRとして、意識を醸成して、前向きに取り組む必要であると思います。

最後に、その中で、民間の生命保険会社における医療保険の役割についても考えておきたい。

最初に戻ることとなりますが、公的医療保険制度は、資本主義の日本において、優れた制度と言えますが、病気をする前の生活をそのまま維持することは、ある程度の貯蓄があり、それを取り崩すことで維持のできる人は、一部居るかもしれませんが、できない人もいること。

「情報の非対称性」の問題については、民間の医療保険は、主に入院を対象とした限定的な給付であり、一般診療までは含まないため、「情報の非対称性」を一定程度緩和していること。

それでは、どうするのか。

生命保険1 第7章 医療保険の中で、「医療保険の経済的必要性」について、説明をしている。そこでは、危険回避的な経済主体(消費者)を想定した場合、医療保険の保険料が医療発生率×医療費、すなわち医療費の期待値に「リスク・プレミアム」を上乗せした額以下に保険料が納まるのであれば、この医療保険に加入しようと考えるとしている。また、リスク・プレミアムについては、医療保険の市場が競争状態にあれば、保険者は収支が赤字にならない限り、保険料を引き下げて加入者を増やそうとするし、個人もそうした保険者の提供する保険に加入するであろう。そのため、均衡状態では、個人の支払う保険料は、医療費の期待値に一致することになるので、危険回避的な個人が医療保険に入らない理由はなくなる。かつ、全額カバーするのが、合理的な個人の行動であると言っている。

 もう少し「リスク・プレミアム」について考えたい。ここは、主に予定事業費率が関係すると考えている。どの程度にするのか。どの程度が適正であるのか。生命保険会社では、特にこの点について、「効率性」、「契約者の期待」にどう応えていくのかが課題になるのだろうと考えている。

 2006年4月1日より、保険商品の価格の弾力化の推進のため、保険会社の経営効率化にかかる経営努力を適時保険料に反映させると言う趣旨で、保険料のうち、保険数理に直接よらない部分を中心に商品審査を簡素化するとともに、事業費に関する充実したモニタリングを行うことにより、監督の実効性の向上を図り保険料の合理性、妥当性、公平性を確保した上で、保険商品の価格の弾力化を促進している。これにより、予定事業費は事前認可型から事後モニタリング型の監督体制となった。このように、予定事業費率の規制緩和が実現されてきている。良い方向性なのだと考えることは出来る。

 その一方で、ディスクロージャーはどうなのだろうか。「医療保険の経済的必要性」を消費者の視点より満たそうとするならば、必要な事のように思えるが、今後、何をディスクローズするのが良いのだろうか。「生命保険の原価」そのものをディスクローズすべきなのだろうか。この点は、一概に賛成できないと考えている。生命保険会社に限らず、どこの会社も商品、製品の原価をディスクローズはしていないと認識している。また、そのような情報を出した場合に、それを正しく消費者に理解をいただける情報基盤、媒体が整っているのだろうか、少々疑問がある。

それでは、何が良いのだろうか。生命保険会社の株式会社化も進んでいる。そこで、株主が株購入の判断材料とする、「成長性」、「期待するサービス、対応」、「信頼」に関する情報が良いように思える。また、インターネットの普及により、より多く消費者とのタッチポイントを設けて、信頼を醸成するコミュニケーションをできるようにすること、コールセンターの普及により、消費者の期待するサービス、保全を推進していくこと。そして、経済の成長に合わせて、健全な成長を継続していくこと。基本的なことなのかもしれませんが、大事なことのように考えています。

2010年11月27日 (土)

40代後半からの生き方について

明川哲也氏の以前のコラムで、46歳の女性が解雇後の職探しで苦労されていることに対して、励ましのコメントをされていた。内容は次の通り。

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同じ世代として、気持ちはわかります。

年齢が近いこともあり、お気持ち大変よくわかります。もしも一緒にお酒が飲めるなら、泣くな、めげるなと杯を重ねたことでしょう。

となれば、まず頭に浮かぶのは生ビールのジョッキですよね。でも、最近の若い社会人はあまりビールで乾杯というのをやらないそうです。今年は猛暑の影響もあってビール出荷量は回復したそうですが、それでも年々乾杯におけるビール比率は減っているとか。逆に人気が出てきたのがハイボールで、時代はこうして常に移り変わっていきます。

あなたが編集者になられた20年前を思ってください。付録に比重を置く女性ファッション誌が天下をとる時代がくると、あなたは思ったでしょうか。電子書籍の時代がきて、紙媒体の人たちがこんなにも不安になる日々がくると、あなたは予測がついたでしょうか。

ボクらがやるべきこととは。

時代は一時も止まってくれません。そしていつも新しい若い力を求めます。かつてのあなたやボクが一時代の真ん中にいたように、今、20代、30代がうごめくものの中心にいて破壊と生産を繰り返しています。

そしてボクらはもうそこにはいません。ですから、「自分では有能と信じていただけに」と過ぎ去った時代の自分に浸っていても、それはあまり意味のないことなのです。

ボクらが次にやるべきことは、小規模でも良いから、ボクらなりの畑をボクらなりの感性で作っていくことでしょう。ここから先、何がどう変わっていくのか。

今輝いている人をまねるより、今どういう不幸や苦難がこの国に蔓延しだしているのか、それを知ることの方が有効な手だてだと思われます。

ボクらにとっての前半戦は見事に終わりました。ハーフタイムショーを終えて、後半戦です。かつての自分に戻るためにあがくのではなく、これからの時代の新しい自分に出会うための転職なのだと考え直しましょう。そんなあなたに乾杯! ボクもビールで乾杯!

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自分も同じ世代として、考えるところがあります。

なかなか頭で整理をつけることは難しいのですが、「前半戦」は終わっていると考えることが必要なのかもしれません。

随分前ですが、大原健士郎氏が「年相応の役割」というコラムで、次のことを書かれていました。

年とともに頭がさえなくなるのは避けられない現実だ。ただ40歳には40歳の、50歳には50歳の役割がある。年齢に応じた役割を見つけることが大切なのだ、と。

また、江波戸哲夫氏も「サラリーマンの安定は視野を狭くする」というコラムで、次のことを書かれていました。

自由業はいつでも失業者になりうるから、自然と頭の中で色んなシミュレーションをしてしまう。しかし安定したサラリーマン生活の長い人は、そんなことはせず、あてが外れるとうろたえるのだろう。

視野を変えさえすれば、別の面白い世界が広がっているのに。

皆いずれ“あて外れ”にも慣れますがね。嬉々と慣れるか、鬱々となれるか? 前者が望ましいヨ、と。

なんとか嬉々と慣れるようにしたいですね。

酒井穣の11/21のブログより「人を笑わせる喜び」がありました。

人間は、反論の余地のない「完璧な人」に対しては、嫉妬や警戒心は抱いても、親しみを感じることはありません。逆に、この社会では、周囲に多くの味方をつけられる「欠点だらけの凡人」が、完璧な人に勝ることがしばしば起こります。

他者が笑って許してくれる自分の「欠点」は、複雑な人間関係でできている社会を上手に生きていく「武器」になります。さらに一歩進めるなら、自分の「弱点や失敗」は(もちろん、その深刻さの度合いにもよりますが)積極的に他者の笑いに変えようとするメンタリティーを養うべきだと思います。

人に軽蔑されるのは嫌ですが、自分が人に笑われること、自分が人を笑わせることは、周囲を明るく元気にします。また、誰かが人を笑わせようとしているときは、その心意気を「ありがたいもの」としながら、積極的に楽しもうとする態度を示せることが「社交性」のエッセンスでしょう。

今は、とりあえず、ビールでCheers!

2010年11月23日 (火)

変額年金保険のリスク対応

変額年金保険について、生保2の視点でまとめてみた。

ただまとめただけとなってしまった。ご批判いただきたい。

Ø  問題の所在と対応

これまで、この最低保証リスクに対する備えは、保険会社によって区区であり、統一的な積立ルールでないことから、ケースによっては不十分となっている可能性がある。(最近の株価の動向からすると、これまでのところ、含み損といった問題は生じていないと考えられるが、)保険契約の長期性や変額年金市場の拡大に伴う経営への影響等を勘案すれば、積立ルール等の整備を図ることは喫緊の課題である。

このような問題意識から、保険会社において適切なリスク管理が行われ、将来の債務履行のために必要な積立が可能となるよう、日本アクチュアリー会の検討結果や関係各方面のご意見等を参考として以下のような積立ルール等を整備した。

基本的には次の3点から構成される。

No

標準的方式

代替的方式

ヘッジによる減殺

1

保険料積立金の積立ルール

×

2

危険準備金の積立ルール

○(後述)

×

×

3

ソルベンシー・マージン基準

○(後述)

○(後述)

○(後述)

Ø  保険料積立金

【一般勘定】

最低保証リスクのうち、通常の予測されるリスクに対応するものとして、概ね50%の事象をカバーできる水準( VaR(50%) )の保険料積立金を一般勘定に積み立てることとされている。

「標準的方式」では、

一般勘定における最低保証に係る保険金等の支出現価)-

                      (一般勘定における最低保証に係る純保険料の収入現価)

とする計算式によって算出する。

予定利率(割引率/期待収益率):標準利率

予定死亡率:標準死亡率(最低死亡保険金保証が付されている場合は、死亡保険用、最低年金原資保証又は最低年金年額保証が付されている場合は、年金開始後用。両方の保証が付された保険契約においては、保険料積立金の積立が保守的となる方の標準死亡率を使用する。)

ボラティリティ:資産種類に応じて以下のボラティリティを使用する。なお、下記以外の資産種類のボラティリティに関しては過去の実績等から合理的に定めたものを使用する。

  国内株式:18.4%、邦貨建債券: 3.5%

  外国株式:18.1%、外貨建債券:12.1%

予定解約率:標準的方式か代替的方式かを問わず、過去の実績および商品性から合理的とみなされる解約率の使用も認められたが、

     特別勘定残高が最低保証額を下回るインザマネーのときの解約率が、特別勘定残高が最低保証額を上回るアウトオブザマネーのときの解約率よりも低いこと

     解約控除期間内の解約率が解約控除期間外よりも低いこと

     最低年金原資保証では特別勘定残高が最低保証額を下回るインザマネーのときの解約率が保守的に設定されること

     解約実績等との比較などにより解約率の検証を行うこと

以上、4要件が監督指針で留意事項として要請されている。とくに、①、③の要件は動的な解約モデルを想定することになるため、一般にリスク調整済み期待値アプローチでの解析解を得ることは困難であり、解析的近似解による標準的方式か、モンテカルロ法での近似による代替的方式を選択するケースが多くなるものと考えられる。

なお、日本の規制では、ヘッジによる責任準備金の削減は認められていない。ソルベンシー・マージン基準のリスク評価においてはヘッジによるリスク削減規定が設けられている。 

代替的方式」では、債務履行を担保する能力が標準的方式と同等(概ね50%の事象をカバー)であれば、そちらを使用することもできる。CTEアプローチを用いる場合にはCTE(0%) となる。(ちょうど真ん中50%

代替的方式では、基礎率のうち割引率と予定死亡率は標準的方式と同じものを用いる必要があるが、期待収益率やボラティリティーは過去の実績や見通しやリスク中立の観点から合理的かつ客観的な根拠に基づいて決定されたものが認められる。

また、代替的方式では、標準的方式と異なる期待収益率とボラティリティーを使う場合、原則、期待収益率とボラティリティー以外の代替的方式の基礎率を標準的方式に反映して計算される額と10%以上乖離しないことの確認が求められている。 

【特別勘定】

特別勘定における責任準備金は収支の残高とする。

Ø  CTEアプローチ」と「リスク調整済み期待値アプローチ」について  

変額年金保険において責任準備金によるリスク把握には限界がある!

例えば、金利変化のリスクRhoやボラティリティー変化のリスクVegaは把握不能

「非完備市場問題」(金融市場での完全な複製ができない)

「リスク中立期待値」は唯一に定められない

可能な限り金融市場と整合的な評価を行って、“市場整合的評価”が困難な部分を限界的に“保険料計算原理等(最良推定+リスクマージンとして、分位原理、期待値原理など)”で補うといった複合的視点がとられる。

最低保証部分の給付額は特別勘定積立金額の増減に対して対称ではなく、一種の金融オプションであることから、従前の商品に用いていた大数の法則を前提とした決定論的な手法では十分な責任準備金評価が行えない。そこで、特別勘定の原資産価額変動を確率的にとらえ、金融リスク管理の手法を取り入れた責任準備金の評価方法が必要となり、その方法の計算原理として、CTEアプローチおよびリスク調整済み期待値アプローチがある。 

CTEは、Tail-VaR あるいはConditional-VaR とも呼ばれ、ポピュラーなリスク指標であるVaRの弱点を解消するものとして近年注目されているリスク尺度である。

分位原理の一種である。

CTEアプローチは、一定の確率分布モデルに基づき、発生させた多数のシナリオについて、変額年金保険の累積収支計算を行い、悪化方向の結果(損失額)の現価の平均値を責任準備金の積立水準、あるいは、ソルベンシー・マージン基準のリスク量とするものである。

具体的には、10,000通りのシナリオを発生させ、それぞれのシナリオに基づき変額年金保険の累積収支計算を行い、その結果、損失の大きい方から順番に500通りのシナリオについてその損失額の平均値を求め、これをCTE95%)という。

変額年金保険において、CTEアプローチが適切とされている理由としては、変額年金保険のリスクは株価下落等、中心極限定理(あるいは大数の法則)が成り立ちにくいことから、悪化シナリオに着目する必要があること、特定のパーセンタイル点(例えば、95%のワンポイント)のシナリオの損失を計算するよりも、一定以上の悪化シナリオの平均値を計算する方が、計算結果が安定すること、が挙げられる。

多期間のリスク尺度としては通時一貫性が無いなどの欠点がある。

リスク調整済み期待値アプローチは、確率分布全体を使い、その期待値をもって評価する期待値原理の一種である。確率分布が同じであればCTE(0%)と同じ結果となるが、リスク調整済み期待値アプローチでは、オプション評価のような無裁定価格導出のためのリスク中立測度を含む、リスク調整に相当する測度変換後の確率分布の下で期待値をとる。

CTEの通時一貫性が無いという問題が回避可能となる。ただし、真の市場整合的評価に近づけるには、金利の期間構造や、オプション期間とインザマネーの度合いに応じたインプライド・ボラティリティーの違いの反映等が必要となるが、モデルとパラメータの内製化のハードルは極めて高いといった難点がある。

日本の標準的方法は、計量化の手段はVaRであるが、期待収益率および現価計算の割引率に標準利率を用いる点で、リスク調整済みアプローチの考え方を採用している。  

一般勘定における、最低保証リスクに係る収入現価と支出現価を算出し、その差額を最低保証リスクに係る責任準備金とする方法である。

わが国の最低保証の付いた変額年金保険に係る標準責任準備金の積立方式で「標準的方式」とされるものには、このリスク調整済み期待値アプローチが採用されている。そこでは、通常予測されるリスクに対応するものとして、標準的な計算式によって、概ね50%の事象をカバーできる水準に対応する額を最低保証リスクに係る責任準備金としている。また、告示において、予定死亡率は死亡保険用標準死亡率または年金開始後用標準死亡率を使用すること、割引率、期待収益率として標準利率を使用することが定められ、さらに、資産種類ごとのボラティリティーが定められ、予定解約率の設定方法も定められている。

 

北米型(カナダ)の“CTEアプローチ”

(Conditional Tail Approach)

※悪化方向のシナリオだけを算入して、その期待値を求める方式

※評価方式自体に保守性が組み込まれているため、基礎率は必ずしも保守的に設定する必要はない。

※信頼水準として明瞭化される保守性の程度が明確である。

日本の規制での標準的方式である“リスク調整済み期待値アプローチ”

Risk-adjustment expectation

※改善方向のシナリオと悪化方向のシナリオを区別せず、すべて算入する方式

※評価方式に保守性が組み込まれていないため、保険料積立金に合理的な保守性を組み込むには、基礎率を保守的に設定する必要がある。

※ファットテイルの影響が小さいこと

※シナリオテストで収束値を求めるのに比較的少ないシナリオで済むことやデリバティブ評価と整合的である。

概要 

「分位原理」の一種

Inf {xRF(x)1-α}

Fは確率変数xの分布関数、信頼水準をα(1≧α≧0)とする

Inferior 下限⇔Superior 上限

「期待値原理」の一種

E[X]+α・E[X]

内容 

最大のリスクドライバーの金融リスクを管理する手法として、確率論的な保険数理手法が採用されている。

右記はどちらも「確率論的手法」である。⇒

VaR(α)  (Value at Risk)  =

Inf {xRF(x)1-α}

このVaR(α)の左側テイルの条件付き期待値として

CTE(α)=E[XVaR(α)X]

CTE(α)とは、累積収支現価の確率分布を想定し、収支の悪化方向(100%~α%)の平均値

よって、CTE(0%)は単純平均を示す。

各定義より、

CTE(95%)Var(95%)

VaRの弱点、信頼区間外のリスクの規模を把握できないため、テイルの長いリスクの把握に向かないことや、凸性を満たさないことから分散効果の把握に潜在的弱点がある。それをCTEが解消するも、CTEにも多期間のリスク尺度として「通時一貫性が無い(時点2に至る前に時点1で破たんするリスクが捉えられないケースなど)」という問題もある。

・一般にモンテカルロ法を想定したシナリオテスティング方式

※通時一貫性を持たせるため、ICTEIterated CTE / 繰り返し、反復する)が提案されたが、実装可能には至っていない。

・通時一貫性が回避可能である。P16

・ただし、真の市場整合的評価に近づけるには、金利の期間構造、オプション期間とインザマネーの度合に応じたインプライド・ボラティリティーの違いの反映等が必要だが、ハードルが高いので、日本では、将来給付現価と将来収入現価の差額が解析式で与えられた。

「確率論的フォーミュラー方式」と呼称。ただし、解析的近似手法やモンテカルロ法(シナリオテスティング)の適用が必要になるケースも少なくない。法令では「代替的方式」をとくに明記はしていないが、留意点としては次の通り

1) 標準的方式と異なる期待収益率、ボラティリティーを使用した時、これら以外の基礎率を標準的方式とした結果と10%以上乖離しないこと

2) 商品内容の複雑さ等から標準的方式に一致させたリスク調整済み期待値をモンテカルロ法(シナリオテスティング)で求める場合は、代替的方式とみなされるが、標準的方式との乖離の確認は不要である。 

特徴

シナリオテスティング方式、複数のシナリオに基づき、収支累計額の現価を計算し、その加重平均をもって責任準備金を評価する方式。

フォーミュラー方式、「支出現価―収入現価」と言った算式に基づき責任準備金を評価する方式。  

Ø  危険準備金/危険準備金Ⅲ 

最低保証リスクのうち、通常の予測を超えるリスクに対応するもの(最低保証に係る保険料積立金と合わせて概ね90%の事象をカバーできる水準に対応するもの)として積み立てる。

※標準責任準備金のように“代替方式”は無い!

対象リスク

特別勘定を設けた保険契約であって、保険金等の額を最低保証している保険契約(全保有契約)についての、最低保証リスクに備える危険準備金である。

積立基準

“最低保証に係る収支残”の金額以上を積み立てるものとする。“最低保証に係る収支残”とは、最低保証に係る保険料から最低保証に係る保険金等を控除した額を言う。

例えば、弊社の場合、「基本保険金額保証のための純保険料」を最低保証に係る保険料とし、死亡保険金等の最低保証を行った場合の「予定責任準備金と積立金との差額」を最低保証に係る保険金等とし、最低保証に係る収支残が正値の場合、その金額を危険準備金Ⅲに積み立てます。負値の場合は、積立を行いません。

積立限度

最低保証リスクのうち、通常の予測を超えるリスクに対応するもの(最低保証に係る保険料積立金と合わせて、概ね90%の事象をカバーできる水準に対応するもの)として、保険料積立金の6%相当額を限度とする。

積立基準額と積立限度額の間に幅がある。繰入額への判断はアクチュアリーに委ねられていると考えられ、十分性の検証は別途必要であろう。

現在の定額保険の危険準備金の積立限度の2

←いわゆる保険料積立金の6%、将来の債務履行を確実に担保する適切な水準を確保するため

←あるケースでCTE80%の積立が可能なレベルとある 

取崩基準

最低保証に係る収支残が負の場合において、当該収支残のてん補に充てるときを除くほか取り崩してはならない。ただし、生命保険会社の業務又は財産の状況等に照らしやむを得ない事情がある場合には取り崩しを行う事ができる。

Ø  ソルベンシー・マージン基準の最低保証リスク計算の概要 

「最低保証リスク相当額」の算出について、「保険料積立金とあわせて概ね90%の自称をカバーできる水準」とされる。

≪標準的方式≫

No

区分

リスク対象金額

リスク係数

1

最低死亡保険金保証

最低死亡保険金額

0.02

2

最低年金原資保証

最低年金原資金額

0.02

3

最低年金年額保証

年金開始時に必要となる最低年金原資金額

0.02

4

最低解約返戻金保証

(最低解約返戻金額)-

  (特別勘定の責任準備金の金額)

1

13は、リスク対象金額について、一時払以外の変額年金保険契約で最低死亡保険金額が定められている場合、または変額保険契約の場合は、保険料の払込回数や経過年数等に応じ、その時点で必要になる金額(予定責任準備金)とする。

※保険契約ごとの特別勘定の責任準備金額が当該保険契約のリスク対象金額の1.1倍を上回る場合は、リスク対象金額をゼロとすることができる。

“最低保証リスク”とは『責任準備金が特別勘定に属する財産の価額により変動する保険契約であって、保険金等の額を最低保証するものについて、当該保険金等を支払うときにおける特別勘定に属する財産の価額が、当該保険契約が最低保証する保険金等の額を下回る危険であって、当該特別勘定に属する財産の通常の予測を超える価額の変動等により発生しうる危険』と定義され、告示第50号第2条第3項において、「他のリスクと同様にリスク係数を使用する」標準的方式又は「リスク計測モデルを使用する」代替的方式のいずれかにより計算した額とするように定められている。

※概ね50%の事象をカバー∈通常のリスクを超えるリスクに対応するもの、と考えられる。

≪代替的方式≫ 

代替的方式では標準的方式と同じカバー水準の考え方であるが、責任準備金評価における代替的方式の制約を踏襲しつつ、複数のシナリオ等に基づいたリスク評価によって算出される。基本的には、責任準備金と最低保証リスク評価は同一方式(標準か代替か)による必要があり、継続使用が求められる。代替的方式が認められるためには『13の要件』がある。

     (他部署より独立した)リスク管理部署の設置

     適切なバック・テスティング、ストレス・テスティングの実施

     リスク管理に関する役員の関与

     リスク計測モデルが通常のリスク管理手続きに組み込まれていること

     リスク計測モデルの運営に関する方針、管理および手続きが書類により明確化され、遵守されるための手段が講じられていること。

     リスク計測の使用した要素の完全かつ適切な文書化

     ポートフォリオの過去の価格変動の説明

     ポートフォリオの構成変化の最低保証リスクに与える影響の把握

     市場環境悪化の最低保証リスクに与える影響の把握

     イベント・リスク(会社や国家の要人の死去、企業の倒産など証券価格に大きな影響を与える出来事が発生すること:例外的な事態が生じた場合に発生し得る危険)等の正確な把握。

     バック・テスティング(モデルによって算出されたリスク量と実際のトレーディングの損益とを日々比較し、自行のリスク管理モデルの質や精度をチェックしている。これは一般に「バックテスティング」と呼ばれる。バック・テスティングの本質は、実際のトレーディング結果を、モデルによって算出されたリスク量と比較することである。【オプションシートより】)の結果から、最低保証リスクを正確に把握していることを証明できること

     リスク計測過程に対する年1回以上の内部監査および定期的な外部監査の実施

     リスク計測モデルの算出方法、算出結果、バック・テスティング、ストレス・テストの前提及び結果の開示

標準的方式か代替的方式かを問わず一定の要件のもとで、最低保証リスク相当額にヘッジ割合を乗じた額を上限にヘッジ効果によるリスクの減殺が認められている。

ü  ヘッジ開始時の事前要件としては、ヘッジが取締役会で定めたリスク管理方針に従っていることが客観的に確認できることや、ヘッジの有効性を事前に予測し、有効性の判定方法(包括ヘッジか個別ヘッジか)を事前に明示する事などが求められている。

ü  ヘッジ開始時以降の事後要件としては、ヘッジ開始時から有効性の判定時点(少なくとも決算時点と9月末時点)までの期間において「相場変動またはキャッシュフロー変動の累計」をヘッジ手段とヘッジ対象で比較し両者の変動額の比率が概ね80%125%の範囲内であることや、有効性評価とリスク減殺処理のためにヘッジ対象とヘッジ手段の紐付けを行い保険契約終了まで区分管理すること等が定められている。

資産運用リスク相当額(R3)を構成する「再保険リスク相当額」について

通常、リスク対象金額は再保険を付したことにより積み立てないこととした責任準備金、支払備金とし、リスク係数は1%とされているが、最低保証リスクを有している保険の種類ごとに出再割合が50%を超える場合においては、当該超過部分に相当するリスク対象金額について、リスク係数を2%とする。

≪ソルベンシー・マージン基準の支払余力≫ 

新規定義は無いが「解約返戻金相当額超過部分」として、変額年金保険等についても全期チルメル式責任準備金に相当する金額を定め定額保険と同様に「特別勘定の責任準備金と最低保証に係る責任準備金の合計額のうち解約返戻金と全期チルメル式責任準備金のいずれか大きい方を上回る部分をマージンに算入する。 

Ø  上記適用時期

保険料積立金に関するものは、平成1741日以降に締結する保険契約に適用する。危険準備金およびソルベンシー・マージン基準に関するものは、過去の全ての保険契約を対象とし、平成1741日以後に開始する事業年度から適用する。

以前、田中淳三氏が、対象契約年度、解約率、期待収益率、ボラティリティーのロックインについて。とくに期待収益率、ボラティリティーをそれぞれの契約について、契約時点のものを用いることにしているのは如何であろうか。あまり頻繁に見直すべきではないが、市場環境が大きく変化した時は適宜適切に見直すことが望ましいと思われる、と書かれていた。

以上。頭の中はなかなか整理ができません・・・・・  

2010年11月14日 (日)

iPad(タブレット端末) vs ノートパソコン

インターネット上においても、いろいろと書かれているが、果たしてどうなのだろうか?

これは、使用目的(用途)によって、勝敗が変わってくるように思う。

iPad20104月に販売されてから約半年、アップルからは、最も薄い部分の厚さが0.3センチ、重さ1.1キロのノートパソコンMac Book Airも販売がされている。

iPad680グラム。iPadとノートパソコンでは、その境界も分かり難くなっているようにも思う。

ジョブズ氏も語られている。

農業が中心だったころには、自動車はすべて荷台のついたトラックだった。しかし人々が都会に住むようになれば、自動車のことをもっと考えるようになる。パソコンはトラックのようなものだと思う。われわれは長いあいだPCの世話になってきたし、パソコンはすばらしいものだ。しかしそれも変わってゆく。利益の構造も変わる。われわれはその戸口にいる。今後どうなるかは分からない。変化は来年か、5年後かもしれない。(2010/6の記事より)

iPadは多様化する中での自動車と言われているのだと思う。

では、これまでのiPadの利用状況(用途)を調べてみた。

No

用途

割合

1

Webサイト閲覧

9

2

電子書籍を読む

7

3

メール

6

4

動画を見る

6

5

ゲーム

5

6

音楽

5

7

マップ

4

8

スケジュール管理

4


まだiPadならではの決定的な利用用法は見当たらないように思う。

企業ではどうなのだろうか?

主には、動画を含めたパンフレット及び商品紹介用、銀行での窓口案内などが中心のようである。

では、(ノート)パソコンと比較して、iPadの良さは何であろうか?

1.      斬新的、革新的なデザイン

2.      画面の見やすさ(書籍が読めるほどに画質が良い)

3.      画面タッチなどの使いやすさ。逆にキーボード、マウスに慣れている人には馴染まない所があるかもしれないが、これは慣れの問題に思う

4.      立って使うことができる

5.      テレビ会議などが簡易にできる

6.      起動が早い

7.      iPhoneと同じだが、AppStoreから多様なアプリケーションが提供されている

逆に(ノート)パソコンの良さは何であろうか

1.      処理能力(CPU)が高い

2.      資料作成能力(ワード、エクセル、パワーポイント、アクセス)が高い

iPadにもkeynoteという、パワーポイントのようなソフトはあるが、まだパソコンにおける資料作成能力にはおよばないだろう

逆にiPadでも資料閲覧ソフトは多くなってきているので、閲覧する能力はカバーされていると思う。

3.      印刷機能の利便性。iPadだと無線で飛ばしてプリントすることになるようである

4.      セキュリティーが高い。とくにiPadSafariブラウザーは個人には便利だが、企業は望まないだろう

5.      iPadと比較して、端末及びOSのアップグレードは少ないようである。iPhoneなど発売から2年で4Gまでになっており、端末変更もしている。よって、タブレット導入の場合、システム部門の検証・保全負荷は増える方向になると考えられる。

6.      パソコンではFlashが使えるが、iPadでは使えない

7.      iPadのカメラや画面タッチに代わる、カメラやペンはパソコンの外付けであるが、どちらの利便性が高いか、価格面、保守面ではどうか、これは微妙かもしれない

iPadはまだ試行錯誤の段階にあると考えているが、目が離せないところであろう。

と、言いながら、自分では持ち合わせていないのだが・・・

2010年11月 7日 (日)

フロー体験とグッドビジネス(仕事と生きがい) M.チクセントミハイ著 を読んで

「フロー」とは、精神を集中して、時間を忘れて、社会に役立つ好きなことに取り組んでいる状態、と思いました。

とても同感できることが書かれていましたが、一冊の本としなくとも、もっとシンプルに伝えられる内容にも思いました。

以下、気になる点をメモしておきます。

シュンペーターがかつて記したように、「創造的破壊」は生産性への道である。株主価値を生み出すことに関しては、彼は正しいかもしれない。しかし何が幸福を形成しているのかについてより広く見たならば、創造的破壊は、価値観の持続を考えて、なるべく避けなければならないものだろう。さらに「破壊」が会社を壊滅させ、従業員を無用の籾殻のように風にまき散らすことを意味する場合、言葉でどのように表現しようとも「創造的」ではない。それは単に強欲を追求するための便宜的な策略である。こうしたエントロピー(不確定性、乱雑さ、無秩序の度合い)の力を阻止するために、長期的展望を重視するリーダーが必要なのである。

「楽しみ」は、人生を豊かにし、また未来に立ち向かう自信を与えてくれる思い出の土台となるものである。したがって人間の人生という観点からは、楽しみの重要性は、喜びから得られるものとは全く異なるものである。

自分がする事を楽しむことなく、ビジネスにおけるリーダーとして生き残ることは不可能である。仕事があまりにもストレスに満ちたものになり、時間の経つのが極端に遅く、もっと気晴らしに時間をかけたい衝動がずっと強まるだろう。

機会の能力のバランス

その仕事がなしうるものであると信じると、それに没頭してしまうことはきわめて簡単である。能力が及ばないと思った時は、往々にして心配の種になり、易しすぎると退屈してします。いずれの場合にも、注意力はやり遂げようとしていることによって変わってくる-心配する人は結果がどうなるかという不安で気が散ってしまうが、一方、退屈する人はなすべきことを他に探し始める。理想的な状態は簡単な原則で表現できる。すなわちフローはチャレンジとスキルがともに高くて互いにつりあっている時におこる。

日常生活での一般的な心構えとして、典型的に、他人に利用されるかもしれないというおそれから逃れていられるようにコントロールする必要があると、私たちは思っている。その見方からすると、インテル社の会長、アンディー・グローブの言葉「偏執病患者のみが生き残る」には意味がある。フン族の王アッティーラのリーダーシップの秘訣を高く評価し、「孫子」を読み、マキャベリの戦略を採用しようとするのは、そのような世界においてなのである。権力やコントロール、支配は、生き残るために必要な戦術以外のなにものでもない。

しかし、まったく同じ状態が、フローの状態から眺めているとまったく異なったようにみえる。つまり、もはや取引や予算、あるいは取締役会などをコントロールする必要はない。というのは、重要なことは手がけている仕事のためにベストを尽くすことであり、ベストを尽くせば十分に成功するという自信を持つことだからである。

大人にとって、社会資本のもっとも重要な源はというと、おそらくそれは「仕事」だろう。チャレンジがあって支えられていると職場で感じることができ、また変化があり、学ぶ機会や自分の能力を最大限に生かす機会がどんどん増えるほど、フローは起こりやすくなるのである。

井深 大が1946年にソニーを立ち上げた時、資本も、利益も、有望な商品も何もなかった頃、会社の初めての「設立趣意書」に次のように書いている

「・・・・これは技術者たちに技術する事に深い喜びを感じ、その社会的使命を自覚して思い切り働ける安定した職場をこしらえるのが第一の目的であった。・・・」-指示、命令をしない組織マネジメント・スタイル

社会の必要性に応えながら喜びをもって思い切り働くということは、フローが職場で機能する方法を完璧に表現しているものである。

フローの前提条件-ビジネスチームの成功を決定づける三つの「共通の事柄」

1.      マネジャーは企業が行わなければならないことに力を結集するための非常に明確な目標を各チームメンバーが持っていることをしっかり把握しているかどうか

2.      仕事をスムーズに進めるためにチームが片づける必要がある追加業務をほんとうに上手く計画できるかどうか、そして

3.      コミュニケーションとフィードバックをお実際に上手く保っていけるかどうかということです。

人はもし成長しなければ、委縮すると思います。それは現状維持できるようなものではありません。ビジネスではそんなことが可能だとは思えません。「もしあなたが未熟ならまだ成長しているのです。もし心身ともに円熟しているならば、朽ち果てていくだけです」、みんなを励まして、ビジネスに関心を持って精力的に働いてもらい、さらにコミュニティの努力を支援することができる機会を提供し、利益をあげる組織を構築するためには、成長が必要なのです。

「インキュベーション」(直訳は孵化)~意識せずに問題を解決しようとしているときに、潜在意識において並行して起こる活動。何をすべきかはっきり分かっていなくても、それについて、二、三日じっくり考える時間をとりさえすれば、どうにかして、(意識的ではなくても)その問題について、もっとはっきりと理解できること。

グッドビジネスの原則

1.      ベストを尽くす (抜きんでることへの関心)

2.      人を助ける (人々への関心)

3.      よりよい社会を築く (より広い環境への関心)

4.      信頼と尊敬

以上です。

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