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2010年12月

2010年12月19日 (日)

「各種利率」についてのまとめ

不足すること等あれば、ご教授ねがいます。

昭和61年には積立関係の諸利率が、平成3年には契約者貸付利率、自動振替利率がそれぞれ「届出制」となっている。

ディスインターミディエーションとは。

貸付利率と市中金利に大きな乖離が生じた場合に資金が大量に流出し資産側がこの状況に対応できない状態。資金の流動性リスクが顕在化したときを言う。

【『契約者貸付利率』の水準について、市中金利、予定利率等との関係を含め、設定にあたって留意すべき事項について説明しなさい。 ( H6 2(2), H20 3(3) )】

市中金利との関係

高金利下の局面:契約者貸付利率<市中金利  ディスインターミディエーション

契約者貸付を利用して金利の高い金融商品に資金移転することが考えられ、保険会社から資金流出が起きる。

低金利下の局面:契約者貸付利率>市中金利  インターミディエーション

キャッシュフローの大きな変動が発生し、保険会社が当初想定した運用ができなくなり運用効率の低下をもたらすこととなる。

よって、貸付利率と市中金利とのギャップが大きくなりすぎないように設定する必要がある。

予定利率との関係

契約者貸付は会社の資産運用の一形態であり、利差損が生じないためには、

契約者貸付利率>保険料計算基礎の予定利率(調達コスト) が設定の段階で原則とされなければならない。ここで、予定利率は契約の年度、保険種類等により異なるため、予定利率が異なる契約者間で不公平が生じないよう設定することが望ましい。

以上、契約者貸付利率を設定する際には、市中金利、予定利率との関係を踏まえるとともに、継続性の観点から契約者貸付利率を相対的に高く設定すると、貸付残高が大きくなり、その結果失効消滅する契約が増えるため、過度に設定すべきではない。また、契約者に対するサービスの一貫であることから同業他社と競合できうる水準(多少は低く)であることも望ましい。

一方で、契約者貸付を行った場合に追加で掛かる事業費コストが付加保険料の範囲内で賄えるのか、も検証する必要があり、賄えない場合には不足分を利鞘で負担できるか否かも留意する必要がある。

利差配当率の設定に際しては、配当基準利回りは、資産運用利回りの範囲内で定める必要がある。ただし、契約者貸付期間中は貸付利率でしか資産運用ができないため、契約者貸付利率と資産運用利回りが乖離している場合には、契約者貸付を受けた契約者は、契約者貸付利率の範囲内で配当基準利回りを設定することも考えられる。

米国では、貸付を受けた契約者と受けていない契約者の間で差をつけている。

契約者貸付の有無により配当を変えることについての論点 (生保Ⅱ H2 2(3))

<配当金を変える場合の論点>

²  契約者間の公平性:利息収入への貢献度合いに差が生じることの評価

²  ディスインターミディエーションを生じさせない。

配当を変える場合、「群団平均法」と「個別計算法」の2通りが考えられ、変額保険は「個別計算法」を採用している。

<配当金を変えない場合の論点>

²  契約者貸付というサービスにともなって配当金に差異を設けることが、約款上問題がないかどうかの検証。また、契約者の納得。

²  ディスインターミディエーションの問題に対しては、契約者貸付利率の水準の決定方法を市中金利連動にすることで防止できる。

²  契約者貸付は月単位の期間。配当金に反映させる場合、実務上種々の困難を伴う。

【前納割引利率】 

利率の設定水準によっては、急激な資金流入も想定されるので、予定利率同様、機動的に利率を変更できる体制とすべきである。

【保険料振替貸付 H6 2(2))】

保険料振替貸付の利率が低いと、短期満期の養老保険の場合などに解約返戻金が大きいので、1年分の保険料を払えば、あとは保険料振替貸付で満期まで契約が続き、特別配当まで受領できるケースが生じる。アクチュアリーはこのような問題の生じないように商品設計時にどのような収支になるのか試算しなければならない。 

【『保険金、給付金の据置利率』の在り方について、留意すべき事項を挙げ簡潔に述べよ (H8 2(2))】

1.      収益性・十分性

自社の運用利回りとその直前の期間における短期的なトレンドおよび新規投資の運用利回り等からみて、十分に実現可能な利回り水準であることが必要である。

その場合、資金の性格が通常の保険商品とは異なり短期性が強くかつ流動性が高いことにも留意する必要がある。

2.      予定利率・利差配当率とのバランス

据置は、保険契約に付随するサービスであり、契約者価格としての性格をあわせ持っている。従って、予定利率や利差配当率とのバランスにも配慮する必要がある。この場合、資金の短期性や引出しの任意性などを考慮して、

普通預金金利≦据置利率<予定利率+利差配当率

の水準とする必要がある。

また、契約消滅後は付加保険料収入がないことから消滅後の据置利率を継続中の据置利率よりも低く設定する考え方がある。

3.      市場金利とのバランス

据置利率は市場金利と適度なバランスを保つ必要がある。設定された据置利率が市場金利よりも低いと資金流出を招きポートフォリオにも悪影響を与える恐れがある。

4.      その他

ü  大量の満期保険金等が見込まれる場合、一時的な資金流出を分散させるために据置を活用することが考えられる。

ü  生存給付金の据置等、募集文書上記載されているものについては、頻繁な変更が困難である。

ü  営業的には据置を新契約の獲得に結び付ける狙いがある。

ü  より市場金利との連動性を強め、利率の設定をタイムリーに見直すこと、また管理会計の面からは、据置金を区分経理するなどの対応が考えられる。

所見(例)

収益性・十分性だけでなく、流動性リスクにも十分配慮する必要がある。具体的には、より市場金利との連動性を強め、利率の設定をタイムリーに見直すこと、また、管理会計の面からは、据置金を区分管理するなどの対応が考えられる。

保険金据置利率≦前納積立利率≦積立配当利率 

                     ↑資金持ち込みの任意性から差を付けることがある。

                    ↑主契約の存否から差を設ける。(合理性を有する)

あと1週間、悔いのないように頑張りましょう!

2010年12月 4日 (土)

現物給付について

「明治安田生命保険は12月3日、2012年度をめどに介護事業への本格的な参入を検討していることを明らかにした。国内の生命保険市場が縮小する中、新規事業と海外進出で成長を目指す。介護事業を手がけるのは大手生命保険で日本生命保険に次いで2社目。」という新聞記事があった。

「現物給付」について整理をしてみる。

“損害”保険契約については、その性質上、現物にかかる損失の原状回復または再調達を可能とすることを目的とする。すなわち、損害をてん補するものであることから、「現物給付」が認められているものと考えられる。他方、“生命”保険契約については、人の“死亡”は損害回復が不可能であり、従来、「人の生死に関し一定額の保険金を支払う」(保険業法第2条(定義))ものとされてきた。こうしたことを踏まえれば、そもそも生命保険契約に現物給付はなじみにくいところがあると考えられる。

ただし、第三分野商品については、法第三条第四項第二号より損害保険と同様に「実損てん補」として、現物給付が認められていると解する事ができる。第三分野商品については、生命保険会社でも実損填補分野へ進出できるようになっている。

一方で、現物サービスの提供には、将来のインフレの問題という難関がある。生命保険会社は基本的に超長期・固定金利の商品を収支相等の原則に則って提供しているため、実は、インフレには商品構造上対処する術を持たない。生命保険の給付が原則として定額の給付とされている所以である。したがって、この点を如何にクリアするかという大きな課題が残っている。

※変額保険は、インフレヘッジのできる商品として開発された経緯があるが、特別な商品としてここでは想定しない。

ここで、昭和62年のア試験の「経営」の問題において、次の記載があった。「各種サービスには、現物給付のニーズが強くなってこよう。この点についても、保険契約に直接組み込むには困難があり、保険金や給付金でサービスを購入する方式とし、このサービスの提供を関連会社あるいは提携会社で実施すべきであろう。

約20年以上前の問題であるが、今回の明治安田生命の記事にも通じると思いました。各生命保険会社も考えていく必要がある課題だと思いました。

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