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2010年12月 4日 (土)

現物給付について

「明治安田生命保険は12月3日、2012年度をめどに介護事業への本格的な参入を検討していることを明らかにした。国内の生命保険市場が縮小する中、新規事業と海外進出で成長を目指す。介護事業を手がけるのは大手生命保険で日本生命保険に次いで2社目。」という新聞記事があった。

「現物給付」について整理をしてみる。

“損害”保険契約については、その性質上、現物にかかる損失の原状回復または再調達を可能とすることを目的とする。すなわち、損害をてん補するものであることから、「現物給付」が認められているものと考えられる。他方、“生命”保険契約については、人の“死亡”は損害回復が不可能であり、従来、「人の生死に関し一定額の保険金を支払う」(保険業法第2条(定義))ものとされてきた。こうしたことを踏まえれば、そもそも生命保険契約に現物給付はなじみにくいところがあると考えられる。

ただし、第三分野商品については、法第三条第四項第二号より損害保険と同様に「実損てん補」として、現物給付が認められていると解する事ができる。第三分野商品については、生命保険会社でも実損填補分野へ進出できるようになっている。

一方で、現物サービスの提供には、将来のインフレの問題という難関がある。生命保険会社は基本的に超長期・固定金利の商品を収支相等の原則に則って提供しているため、実は、インフレには商品構造上対処する術を持たない。生命保険の給付が原則として定額の給付とされている所以である。したがって、この点を如何にクリアするかという大きな課題が残っている。

※変額保険は、インフレヘッジのできる商品として開発された経緯があるが、特別な商品としてここでは想定しない。

ここで、昭和62年のア試験の「経営」の問題において、次の記載があった。「各種サービスには、現物給付のニーズが強くなってこよう。この点についても、保険契約に直接組み込むには困難があり、保険金や給付金でサービスを購入する方式とし、このサービスの提供を関連会社あるいは提携会社で実施すべきであろう。

約20年以上前の問題であるが、今回の明治安田生命の記事にも通じると思いました。各生命保険会社も考えていく必要がある課題だと思いました。

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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます。
ありがとうございます。

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