「いま、知らないと絶対損する年金50問50答」 太田啓之著 を読んで
総論賛成ですが各論で「専業主婦の3号制度は不公平」とされている点では、少し不十分では?と思いました。
なぜ第3号被保険者が生まれたのかを書かれると良いのにな、と思いました。
昭和61年の年金改革で「国民皆年金」とすることもありましたが、当時の国民年金財政を立て直すために必要であったことについて。
例えば、
国民年金の年金受給者が10人いたとした場合。
10人×年金月額6万円=月60万円の資金が必要になる。
その支払を支える国民年金加入者が10人の場合。
10人×月額保険料1.5万円=15万円
これでは年金支払のための60万円には、45万円も足りません。そこでまだ収支が黒字の他の年金制度とくっつけることにします。
そこで、わが国の全ての公的年金制度の一階部分を全国民共通の定額制の基礎年金としました。
ここで、厚生年金の加入者が5人、厚生年金保険料を月6万円(労使折半で企業負担3万、自己負担3万)支払っていた場合。
通常、基礎年金のためには、5人×1.5万円=7.5万円を拠出することになると想定できますが、それでは基礎年金の財政がまだ不十分。
実は加入者の5人は、既婚者であった。
厚生年金は元々「世帯単位」、「家族のための年金」であったのですが、配偶者を「第3号被保険者」としてカウントすることとして、5人×1.5万円=7.5万円を更に拠出してもらうこととした。
これで、合計15万円を厚生年金から、国民年金支払のために拠出してもらうこととした。
そこで、先の15万円と合わせて、合計30万円になった。
60万-30万=30万円が、まだ不足するので、それは「税金」で賄うこととした。
配偶者は保険料を負担していないと言われていますが、第3号被保険者として“カウント”されて、国民年金の財政負担がされるようにしているわけです。
「第3号被保険者」は、個人単位、定額保険料、原則定額給付の“国民年金”と、世帯単位、報酬比例保険料、原則報酬比例給付の“厚生年金”をくっつけたことによる歪み、及び国民年金の財政を立て直さなければならなったことにより生まれたものだと思っています。
ここで、年収約430万円の家庭で、厚生年金保険料が約月6万(労使折半で企業負担3万、自己負担3万)となり、自己負担分3万が基礎年金財政充当分となり、国民年金加入者夫婦の負担分3万円となり、給付とも見合うようです。
よって、年収約430万円未満の既婚者で、配偶者が働かれていない場合に、第3号被保険者分の保険料が割安になっていると想定できることになります。
2011年の平均年収が約450万円と言うことです。それよりも低い金額となります。
想像となりますが、もし家族があり、子供がいて、育児、教育のことを考えると、健康であれば共働きをするのでは、と思いました。
だとすれば、実質的に負担をしていない第3号被保険者はかなり少ないのでは、と思いました。
もちろん今のままでよいということではありませんが、先にやるべきこと。
後代負担をこれ以上増やさない、公的年金財政の立て直し(見直し)が先に来るように思います。
「いま、知らないと絶対損する年金50問50答」、とても勉強になりました。
『年金文庫本3部作』ですね。
「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? 細野真宏著
「年金は本当にもらえるのか?」 鈴木亘著
そして、「いま、知らないと絶対損する年金50問50答」 太田啓之著
ありがとうございました。
以前のブログ「第3号被保険者について」
http://life-insurance2.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-d586.html
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