「遊び心」の中のエッセイより
エッセイでしたので、いろいろな内容があり、勉強になりました。ありがとうございました!
本著には、もう一つ、興味深いところで、過去のブラックマンデーについて、経済学者サミュエルソン氏のコメントについて、語られていました。
ノーベル経済学賞をもらったMITのサミュエルソン教授は、1987年(昭和62年)10月19日のニューヨーク市場の崩壊の説明を求められて、「これは経済学ではなく大衆心理学の領域のことだ」とコメントを拒否している。大学でケインズやマルクスを勉強したとしても、今の世界化した経済実態をどれ一つ満足に説明できない。
マルクスだっておらが村だけならいざ知らず、金が世界をかけめぐり、世界経済が連結管となってしまった時に、どのように誰に対して「計画経済」をたてたらよいのか、今生きていれば考えただけで頭が狂ってしまったのではないか?これが世の中の実態なのだ。
こうした実態を、とらわれない素直な心(松下幸之助さんの言葉)でみて、自分の言葉で理解し、その働きのなかから事業機会をみつけてこなくてはならない。そんなとき、先生の教えてくれた道具を不用意に取り出せば道端にはじき飛ばされるだけだ。
学校教育はこうした実践への頭脳回路を創ってくれるべきである。中途半端に、ウエーバーやケインズを世の中に持ち込んでもらっては迷惑だ!
これは、ブラックマンデーのことを言われています。
Wikipediaによると、
ニューヨーク株式市場が過去最大規模の暴落ですが、このときの証券市場の激震は、その後の金融当局による適切な対応の結果、実体経済へは甚大な被害をもたらすにはいたらなかった。
その要因は、アメリカの貿易収支の赤字幅が予想以上に膨らんでいたことや、1985年のプラザ合意以後のドル安打開のためにドルの金利が引き上げられる観測が広がっていたことが要因として挙げられる。マイロン・ショールズとフィッシャー・ブラックによるブラック-ショールズ方程式のように高度な金融工学の登場とコンピュータの普及とが相まって、オプション市場と先物市場は爆発的な成長を見せた。コンピュータの普及とブラック-ショールズ方程式の登場は大規模な株式ポートフォリオに保険を提供するようになっていた。このポートフォリオ・インシュランスは先物を使ったヘッジ手段である。ポートフォリオの価値が市場を大きく上回っているときには先物売りは少ないが、市場が下落しだすと売りを増やし、損失と先物売りの利益がほぼ同じようになるようにする。従って、市場が下落し始めるとコンピュータが自動的に売り注文を出すようになり、売りが売りを呼ぶ展開となった。
となると、サミュエルソン教授は、なんといっても、「世界経済を破滅の淵に追い込んだ金融ビジネスの不始末の元凶は米国金融当局の規制緩和と、悪魔的・フランケンシュタイン的金融工学だ!」と言われたらしい方です。 (「金融工学」はなにをしてきたのか 今野浩著より)
残念ながら、「金融工学」を目の敵とされています。それが一因となっている“ブラックマンデー”について聴かれても、きちんとした説明はしていただけなかったのかもしれませんよね。
もちろん、松下幸之助さんの言われる、「素直な心」は大切だと思いますが、ケインズを一蹴する理由にはならないように思いましたです。
マイロン・ショールズとフィッシャー・ブラックは、金融工学の大家と言われていますが、経済学者でもあります。当然、経済学も学ばれたはずです、よね。
久しぶりに「金融工学」・・・
「将来の不確実なキャッシュフローの計量と制御」を目指す金融工学の必要性は、増大することはあっても減少することはないだろう。金融工学に携わる者は、「金融工学悪者説」に惑わされることなく、より堅固な橋を築く努力を続けなくてはならない、でしたね。
「アクチュアリー」とは「将来の出来事の発生確率を評価し、望まれない出来事の発生確率を減らすように知恵を絞り、起こってしまった出来事の影響を軽減することを考える専門家である。」ですね。
さあ、勉強、勉強・・・・って、そろそろ明日の仕事に備えて寝ないとナ~・・・
( ̄Д ̄;;
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