予定利率見直しの可能性について
「責任準備金の積立方式及び予定死亡率その他の責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準」については、大蔵省告示第48号で規定されています。
☆ s-iwkさんのwebにある「保険関係法規集」より、すぐに検索ができますね! ☆
その予定利率の見直しルールに基づくと、今回、“ひっかかりそうな”のは、毎年10月1日を基準日として、基準日の属する月の前月から3年間に発行された長期国債の応募者利回りの平均値を対象利率として、そこより算出される「基準利率」が1.0%以下となる見込みが高くなっているために、予定(標準)利率を、現在の1.5%から1.0%へと引き下げる可能性が高くなっています。
ちょっと求めてみます。
H21 H22 H23
2009 2010 2011
10月 1.257% 0.839% 0.995%
11月 1.441% 0.968% 1.025%
12月 1.246% 1.189% 1.085%
1月 1.339% 1.214% 0.965%
2月 1.348% 1.236% 0.963%
3月 1.329% 1.310% 0.973%
4月 1.397% 1.303% 1.007%
5月 1.321% 1.128% 0.863%
6月 1.283% 1.173% 0.863%
7月 1.116% 1.169% 0.863%
8月 1.060% 1.043% 0.863%
9月 1.049% 1.084% 0.863% と、残り4カ月、5月と同じに推移をすると
3年間の平均 1.116%となり、
この1.116%が「対象利率」となり、これを用いて以下のステップで「基準利率」を求めてみると、
①0%を超え1.0%以下の部分の9割 0.900%
②1.0%を超え2.0%以下の部分の7.5割 0.087%
③2.0%を超え6.0%以下の部分の5割 0.000%
基準利率(①+②+③) 0.987%
現在の予定利率1.5%との乖離 0.513%
現在の予定利率との乖離が0.5%以上となるため、来年2013年4月1日以降締結する保険契約の予定(標準)利率を1.0%に引き下げなければならなくなります。
補足として、もしそうなれば、各生命保険会社では、前回標準死亡率の改定以来になると思います。 ということで、久しぶりということになり、また、すべての販売中商品の価格見直しに影響を与えるので、数理、商品部門だけでなく、オペレーション、営業支援部門、システム部門へも負担がかかるため、今年下半期のビッグイベントの一つになるように思います。
それにしても、この金利の動向は望ましいと言えるのでしょうか???
ここで、『平成21年財政検証結果レポート 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し』(厚生労働省)によると。
(長期の運用利回り)=(将来の実質長期金利)+(分散投資効果)+(物価上昇率)
国民年金、厚生年金の財政の見通しの前提では、
将来の実質長期金利は2.7%
分散投資効果は0.4%
物価上昇率は1.0%
※この1.0%の物価上昇率は、今、政府がなんとかしたいとされているところですよね。
これらの合計、4.1%が、国民年金、厚生年金の将来の財政を支える前提となっています。
その中で、「10年国債応募者利回り」は、(実質長期金利)+(物価上昇率)となります。
実質長期金利2.7%+物価上昇率1.0%=10年国債応募者利回り 3.7%
えっ~!3.7%ですか?・・・
生命保険全社に影響を与える予定(標準)利率。超低金利をイメージづけるよりは、なんとか、あと4ヶ月、Ave.1.02%超となれば、標準利率1.5%のままとなります。
それが、今後の国民年金、厚生年金のことを考えても、よいように思います。
では、では。
m(_ _)m
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