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2012年7月 8日 (日)

「恋する男たち」 1998年(平成10年)週刊朝日より新潮社編 を読んで

マックス・ウェーバー氏の本から、ちょっとソフトな面白本へ。

これは、

「密会」 篠田節子氏、

「彼方へ」 小池真理子氏、

「終の季節」 唯川恵氏、

「マンホールより愛をこめて」 松尾由美氏、

「マジック・フルート」 湯本香樹実氏、

「谷中おぼろ町」 森まゆみ氏、

それぞれが週刊朝日(1998/H10年)に発表された男たちのラブストーリーズを文庫化されたものとなります。

 

自分の世代と似たところを書かれた、唯川恵氏の「終の季節」について、記しておきたいと思います。

 

ここで、昭和30/1955年に書かれた「48歳の抵抗」に出てくる主人公、西村次長48歳と対比してみると興味深かったでした。

 

同じ世代であっても、“43年”と言う歳月を隔てて違うんですね!

 

                                         
 

終の季節(唯川恵氏)

 
 

本の名前

 
 

48歳の抵抗(石川達三氏)

 
 

杉浦次長47

 
 

主人公

 
 

西村次長48

 
 

妻と娘(夏美)一人

 
 

家族構成

 
 

妻(さと子)と娘(理枝)

 
 

中堅商社

 
 

勤める会社

 
 

昭和火災海上

 
 

木材を扱う部署(営業)

 
 

所属部署

 
 

火災部

 
 

会社は3年続けて赤字決算を出していて、格付けもかなり落ちていた。そこで、閑職への左遷人事にあい、資料室の室長へ異動。

 

収入は3分の2程度に落ち込む。

 

その後、さらに自宅待機となり、退職することになります。

 
 

本の中での環境/立場の変化

 
 

会社は安定している状況のようで、とくに会社の経営状況に関する話はなく、逆に安定しているが故に、その安定、秩序に対するささやかな?抵抗をする物語となっています。

 

 

 

確かに、この時代以降、高度経済成長と言われる由縁があるわけですから、よかったと言われる時代と思います。でも、そのツケが次の世代に!?・・・

 
 

それなりに実績を積み上げてきた自負はあったが、会社からは、左遷を言い渡され、そして退職へと追い込まれます。

 

また、かつては、ゴルフだ、出張だと、毎週のように家を空けていたこともあり、結果、離婚。そして、失業保険でのアパート暮らしが始まります。その中で、娘と同じ歳の援助交際をしている父不在のゆかりを父親のつもりで更生させることに一生懸命になります。そして、ゆかりから、「ちゃんと考えて生きるようにする」、「もう心配しないで」、「元気でね」と言ってもらい、最後の一言「また、(携帯へ)電話していい?」と言われて、一人じゃないと救われる気持を得て物語は終わります。

 
 

物語のポイント

 
 

初老と言われる年代を前にして、恋(アバンチュール、不倫、浮気とも言うかもしれません)を求める中高年を描いています。

 

結果としては、娘理枝の駆け落ちによって、それどころではなくなり、また自戒もしていくことになります。

 

西村次長の「抵抗」は「平凡な、小心な」小市民らしく、衛生無害な臆病さで終わるのです。

 

 

どちらも、その時の時代背景を用いて、中高年の“真理”を上手に掴んでいるように思いました。

 

今は2012年、唯川恵氏が書かれた時から、早14年経っています。

さて、今はどうなのでしょうか?

 

いま、重松清氏の2002年に書かれた物語を読んでいます。そこには、

「私も父親だ。たいして優れた父親でなくとも、とにかく息子が一人前になるまでは、会社をリストラされるわけにはいかない。」と言う一文が書かれていました。

 

間違いなく言えるのは、石川達三氏が書かれた時代環境ではないことは確かなこと。今も、まだ唯川恵氏の書かれた時代に近い状況が続いているように思います。

 

体には気をつけて、無理はしないように、中高年世代、がんばっていきましょう!

 

また、社会保障制度でいえば、高齢者を含めた“全世代”が、体には気をつけて、無理はしないように、がんばっていきましょう!

 

『生きているうち 働けるうち 日の暮れぬうち』(相田みつを氏)を想い出しました。

 

ではでは。失礼いたしました。m(_ _)m

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