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2012年9月16日 (日)

各種財政方式の定義 (「年金数理」より)

「年金数理」の復習をしておきます!

 

(1) 賦課方式(Pay-as-you-go MethodCurrent Funding Method

賦課方式とは、支払うべき給付額が発生する都度同額の保険料を払込む財政方式である。制度全体で見ても、毎年発生する給付と必要な保険料の額は等しくなる。

毎年の保険料(C)=年間給付額(B)、積立金残高(F)=0

 

(2) 退職時年金現価積立方式(Terminal Funding Method

退職時年金現価積立方式とは、在職中に積立てを行わず、退職時(又は年金の支給開始時)にその時点で確定している年金の給付原資を保険料として一括して払込む財政方式である。

 

(3) 単位積立方式(Unit Credit Method, Accrued Cost Method

単位積立方式は、退職時に賦与される見込の年金受給権を在職年数に対応して「単位」に分割し、1単位の現価相当額を在職中の各年度に割当てるという原理の財政方式である。従って、被保険者個々の保険料は年齢が増加するに従って増加する。

 

(4) 加入時積立方式(Initial Funding Method

加入時積立方式とは、被保険者の加入と同時に将来の給付原資を全額払込む方式。

 

(5) 完全積立方式(Complete Funding Method

完全積立方式とは、毎年の給付は、積立金の利息から払うこととなる。この財政方式においては、年金受給者、在職中の被保険者のみならず将来加入が見込まれる被保険者についても既に給付原資が完全に積み立てられていることとなる。

 

次に、「平準積立方式(Level Premium Method:在職中の全期間にわたり保険料水準を平準化する方式)」には、以下の複数の財政方式が属している。

 

(6) 加入年齢方式(Entry Age Normal Cost Method

加入年齢方式では、制度に加入した各加入年齢に応じて在職中の被保険者期間に亘って平準的になるように算出した保険料を標準保険料とする。

“制度発足時”に既に過去勤務期間をもつ被保険者については、不足債務を未積立債務として、別途「特別保険料」を設けて払込むことにより制度全体の収支を相当させることとなる。

 

(7) 個人平準保険料方式(Individual Level Premium Method

個人平準保険料方式とは、個々の被保険者がそれぞれ給付に要する費用を在職中の被保険者期間に亘り平準的に積み立てる財政方式である。

“制度発足時”の被保険者についても一律1の年金を給付するわけであるから残された保険料の払込み期間が短い高齢者ほどコストが高くなる。

 

(8) 総合保険料方式(Aggregate Cost Method

総合保険料方式は、“在職中の被保険者”に一律の保険料を適用するものの、保険料は標準保険料と特別保険料とを区別しない。

翌年度、被保険者に追加/脱退などがあれば、通常は保険料の見直しが必要となってくる。

 

(9) 到達年齢方式(Attained Age Normal Cost Method

「標準保険料」は、制度発足時における将来勤務期間に対応する給付のための費用として算出される。発足時の過去勤務期間に対応する給付現価は、未積立過去勤務債務として将来にわたって「特別保険料」により償却される。

新規の被保険者が加入するたびに収支相等が崩れるため、保険料の見直しが必要となってくる。

 

(10) 開放型総合保険料方式(Open Aggregate Cost Method

開放型総合保険料方式とは、現在及び将来の被保険者全体について給付に必要な費用を平準的に積立てる財政方式を言う。保険料に標準・特別の区別は無い。

 

(11) 開放基金方式(Open Aggregate Normal Cost Method

保険料に標準・特別の区別がある。標準保険料は、将来の被保険者期間に対応する給付を賄うための費用として定義される。標準保険料のみでは、被保険者の過去の加入期間に対応する給付原資が不足するため、積立金がありそれを充当してなお不足があれば特別保険料を設けることになる。

『厚生年金基金の代行保険料率算定』で用いられている方式である。この財政方式は、将来の加入員規模を一定とする将来加入員の追加加入を前提としているため、将来加入員規模の安定性に留意を要する。

「開放型総合保険料方式」では過去勤務債務の償却も含め、すべて1つの掛金率として平準保険料を算出するのに対し、「開放基金方式」では、標準掛金率は将来勤務期間に対応する費用として開放型総合保険料方式により計算し、過去勤務債務は別途特別掛金により有限期間で償却することにより、事前積立方式の積立レベルを維持できることになる。(平成元年年金2 1(1)より)

 

国の厚生年金を含む公的年金は、「修正積立方式」といわれており、上記「年金数理」の記載には見当たらず、若干?グレーな言い方のように思われます。

世代間扶養といいながら、一部は積み立てもしておかないと・・・そして、ここには「年金数理」以外にも「政治」が働くため、民間では常識となる「収支相等の原則」は成り立たないなど、難しいですよね。

 

そこで、公的年金には、「有限均衡方式」、「永久均衡方式」という新たな言葉(仕組み)が作り出され、本来、シンプルで分かりやすく、理解が得られやすいものとすべきことが、そうではなくなってしまう。

 

この難問を解くカギは?

みんなで考えていきたいですネ。

 

失礼いたしました。

m(_ _)m

 

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