厚生年金基金の指定基金の健全化計画について
平成24年、厚生労働省から「指定基金健全化計画に関する取り扱いについて」、コメント(指示?)がされています。
まず最初に、
・厚生労働大臣が指定基金に指定する日の属する年度の前3事業年度の決算において連続して、純資産額が最低責任準備金の9割を下回った基金
・(上記に加えて)『直近の事業年度で純資産額が最低責任準備金の8割を下回った基金』を指定要件に昨年(平成23年)追加しています。
指定基金は、指定年度の翌年度以降5ヶ年度の健全化計画を健全化計画書により作成すること
年金給付等積立金の水準が著しく低い厚生年金基金に対し、厚生労働大臣による指定を行い、財政の健全化に関する計画(健全化計画)を作成させ、当該計画に従った自業運営を行うよう重点的な指導を行うことにより、早期かつ確実な基金の財政の健全化を図ることを目的とする。
措置に伴う財政の見通し
「最低責任準備金の予測に用いる利回り」は、厚生年金の直近の財政見通しに用いられている予定運用利回り(厚生年金の運用利回りが確定している年度は、実績を用いること)
「基金の年金資産の見通しに用いる利回り」は、次のいずれか大きい率を上回らないもの
①基金の運用利回りの過去5事業年度の実績の平均
②計画作成時における最低積立基準額算定に用いる予定利率
※0.8~1.2の掛目を乗じている場合は乗じた後の率を使用可
③厚生年金の直近の財政見通しに用いられている予定運用利回り
以下の①~③に該当するなどにより、財政を健全化することが困難と見込まれるに至った場合等には、健全化計画を見直し、再度提出する必要があります。
①健全化計画書における前提が著しく異なるに至った場合、またはその後の状況変化により財政悪化の方向に乖離した場合
※下線部は、「各年度において、決算結果に基づく積立比率(最低責任準備金に対する積立比率を言う。以下同様)と、健全化計画における当該年度の積立比率とを比較し、決算結果に基づく積立比率が、少しでも健全化計画における当該年度の積立比率を下回っている場合」が該当する。
ただし、実施年次報告書において、指定年度の前年度に比べ健全化計画最終年度における積立比率が上昇する場合、基金から行政あて事前に個別相談を行うなどにより、健全化計画の変更を不要となる可能性があります。
②健全化計画に基づく措置を講ずることが困難な状況が生じた場合
③設立母体の経営状況に著しい変化が生じた場合
厚生労働省による「指定基金の健全化計画に関する取り扱いについて」コメント
① 平成24年9月末までに健全化計画を提出すべき基金が、基準を満たした健全化計画を提出期限までに提出できない場合、事前に今後の対応等を厚生局と協議すること
② 基準未達の状態の健全化計画については、厚生局は受理せず、基準を達成する内容の計画の策定についてさらに検討するよう指導する方針であること
③ 健全化に向けた具体的な対応が全くできない場合には、厚生局から「解散」も視野に入れて今後の基金の対応を検討するよう指導する方針であること。(ただし、解散はあくまでも基金の自主的な判断)
④ すでに解散方針の基金(厚生労働省の内諾を得ている、または具体的な解散計画や、解散方針を代議員会で議決している基金)は、健全化計画の提出は不要の方向であり、対応については厚生局と相談すること。
指定基金総数 81基金(平成23年12月1日現在)
最低責任準備金未達基金 213基金(全体の約4割、未達総額約6,289億円)
厚生年金基金総数 582基金
なんとなくで、恐縮ですが、今年はAIJ問題もあり、厚生年金基金の解散を促進されているように思えております。一方で、解散する場合には、企業は最低責任準備金未達額を負担する必要がありますので、八方塞り?
失礼しました。m(_ _)m
※上記は、りそな銀行HP、三井住友信託銀行HP、及び該当の法令を参考としています。
« 「プライド」 (真山 仁著) を読んで | トップページ | 姜 尚中氏に会えるはずが・・・ »
「勉強・試験関連」カテゴリの記事
- アクチュアリー試験に受かるために「新版 一生モノの勉強法」(鎌田浩毅著)を読んでみた!!!(2024.04.20)
- アクチュアリー試験でときどき出題される「生命保険会社の保険計理人の実務基準」より、『税効果会計』に関連する記載があります。そこで、少々!?忘れてしまっていた『税効果会計』を復習しました~(^^;(2024.01.06)
- まいすさんの“保険会社向けの総合的な監督指針”(H17年8月12日(金)施行)のパブコメのツイートより、2021年生保1予想問題なり~~!(2021.06.13)
- ロートル社員ではありますが、4/23のパブコメで「標準責任準備金制度にかかる告示の一部改正案」の公表を踏まえて、新たな標準責任準備金制度の目的及び概要を整理。それにしても、3月に「生命保険会計」のテキスト改訂があったばかりなのに、4月には古くなる部分が発生するとは(悲)(2021.05.03)
- 令和2年6月26日、「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」が終わった。今後、2024年春頃の基準の最終化、2025年4月より施行(2026年3月期より新規制下での計算を開始)といったタイムラインを念頭に置いて進められる予定(2020.07.11)
コメント