年金2 厚生年金基金に関する論文予想 その5
3.厚生年金基金制度等の今後の在り方・・・収束方法
厚生労働省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部」より、
平成24年9月28日付
決定事項
1. 厚生年金基金の代行制度については、ほかの企業年金制度への移行を促進しつつ、一定の経過期間をおいて廃止する方針で対応する。
※「一定の経過期間」については、適格退職年金の移行期間に倣い、10年程度を想定している模様
2. 今後、持続可能で、中小企業などが加入しやすい企業年金を構築するための施策を積極的に推進する。
※現時点では具体的イメージは未定とのこと
3. 「代行割れ問題」への対応として、「連帯債務問題」や「債務額の計算方法」など、特例解散制度の見直しをはかる。
前回のブログで、「厚生年金基金の特例解散」を記しましたが、現在も平成23年度から5年間の時限措置は継続されています。 (有識者会議報告書 P8~)
総合型基金が現在の特例解散制度により解散し、分割納付中に一部の事業所が倒産した場合、不足分の債務は、現行法の下では国と基金との間の債権・債務関係となっていることから、倒産事業所分の債務は基金の債務として残り、結果として残った事業所が連帯して負担することとなる。
代行割れ基金の母体企業の多くは業況の悪化している業種に属しており、財政健全化の道筋が立たないために、すでに解散を決議している基金もある。しかしながら、解散時の積立て不足分の負担や倒産事業所に係る連帯債務の問題等のため、解散に踏み切れないまま財政状況が更に悪化している基金もあり、厚生年金保険本体の財政への潜在的影響という観点からも代行割れ問題は深刻さを増している。
深刻化する代行割れの問題への対応としては、これまでも特例解散制度により、厚生年金保険本体への納付額の特例や分割納付などの措置が講じられてきたが、産業構造の変化等に伴い、母体企業の負担能力が著しく低下している基金では、こうした現在の措置を用いても、解散できない状況にある。
代行部分の積立不足は母体企業が責任をもって負担することが前提であるが、一方で中小企業の連鎖倒産等による地域経済・雇用への影響、さらに基金を構成する企業が全て倒産した場合には結果的には厚生年金本体の財政へ影響を与えることなどを踏まえれば、問題を先延ばしせず早急に制度的な対応を行う必要がある。
具体的には、モラルハザードの防止に留意し、厚生年金保険の被保険者の納得が十分に得られる仕組みであることを前提に、基金の自主的な努力を支援するとの観点から、特例解散における現行の納付額の特例措置や連帯債務の仕組みを見直すことを検討すべきである。この場合、連帯債務の問題については、解散後も国と基金との間の債権・債務関係が続く現在の仕組みを見直して、解散時に各事業所の債務が確定できるようにすることを検討すべきである。
また、解散の際に、母体企業の財務諸表にそれまで簿外債務となっていた年金給付債務が計上されることに伴い母体企業の資金調達に大きな支障が生じることのないよう、金融行政と連携しつつ対応を検討する必要がある。
なお、分割納付に際して納付額に付される利率は厚生年金保険本体の実績運用利回りに連動しているが、母体企業の資金調達計画を組みやすくする観点から「定率」にするなどの緩和措置を講ずるべきとの意見もある。
連帯債務の責任については、国民の理解が得られる範囲で、税金の投入も検討が必要なのではと思いました。総合型基金の場合、その中で、ある事業所が倒産した場合に、それ以外の事業所にどこまで責任があるのか、通常は「無い」とも言えるように思うためです。
4. 本年10月中に社会保障審議会年金部会の下に専門委員会を設置し、同委員会に厚生労働省の「厚生年金基金制度改革試案」を提示し、同案に対する検討を行い、年内を目途に年金部会としての成案を得る。
5. 同成案に則した法制化作業を進め、次期通常国会における厚生年金基金制度改革のための法案提出を目指す。
今月10月中に提示予定の「厚生年金基金制度改革試案」(厚生労働省)を注目しましょう!
ではでは。m(_ _)m
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