公的年金制度の代表的な「用語」について
平成12年、公的年金制度の用語の意味を問う正誤問題がありました。いまのテキストや参考図書にはあまり記載が無いようです。
そこで、社会保険労務士の入門書より、用語の意味をイメージ(記録)しておきます。
まず、基礎年金(国民年金)について
老齢基礎年金より、
「振替加算」
サラリーマンの妻の場合は、昭和61年4月以降は国民年金の第3号被保険者として強制加入となっていますが、それ以前は任意加入であり任意加入していない場合の保険料納付月数が少なく老齢基礎年金は低額の年金額となることから、その配偶者自身の老齢基礎年金に振替えて加算することで、配偶者の年金額の底あげを図ったものです。
振替加算の対象者は、夫(妻)およびその配偶者ともに大正15年4月2日以降生まれであることが必要です。また、その配偶者自身が昭和41年4月1日以前生まれで、厚生年金の加入期間20年(中高齢者の特例による15年から19年)以上ある特別支給の老齢厚生年金や本来支給の老齢厚生年金が受けられないこととされています。年額約1.5万円~約22.4万円、生年月日に依存。
「障害基礎年金」
対象は、20歳未満の人も対象、障害等級に該当しなくなれば、支給停止。
・2級の場合に満額の基礎年金額
・1級の場合には、満額の基礎年金額の1.25倍
「遺族基礎年金」
「子どものある妻」、または「子ども」に支給される。
子どもがいない場合に、その妻には支払われない。
また、子どもとは高校卒業となる18歳到達年度末までを言う
他にも、
「付加年金」(少しお得に思える、保険料月400円で加算される年金)
「寡婦年金」(60歳~65歳の間のみ支給)、
「死亡一時金」(保険料納付月数に比例し、約12万~32万が一時金として支給)
が国民年金の特徴としてありますネ。
次に厚生年金について
老齢厚生年金
「改定率」と「再評価率」
「改定率」:定額部分に乗じる率。平成16年法改正によるマクロ経済スライドの導入によって、物価変動や賃金変動に応じた年金額の調整に加え、公的年金被保険者数の減少率、平均余命の伸びを勘案した「率」。
「再評価率」:報酬比例部分(標準報酬月額、標準賞与額)に乗じる率。現在の賃金水準に読み替えるため。必ずしも1以上とは限らない。
「加給年金額」
(報酬比例でなく、基礎年金でもない老齢年金部分)
厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上ある人で、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者または、18歳到達年度末までの子、または障害等級1級2級に該当する20歳未満の子がいる場合に、加算される加給年金額(一人につき約20万円強程)が支給される。
「経過的加算」
(報酬比例でなく、基礎年金でもない老齢年金部分)
60歳代前半の老齢厚生年金を受けていた人の場合、定額部分に相当するものが、老齢基礎年金となるが、当分の間、定額部分のほうが老齢基礎年金の額より高くなるため、その差額を「経過的加算」として支給している。
「障害厚生年金」、「障害手当金」
障害基礎年金と異なり、障害等級3級まで支給される。さらに、軽度の場合であっても「障害手当金」として一時金が支給される
「遺族厚生年金」、「中高齢の加算」
遺族は配偶者、子、父母、孫、祖父母となりますが、配偶者となる夫、父母、祖父母は60歳以上が支給要件となっています。また、子と孫は、18歳到達年度末までにあるが、20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にあること、そして婚姻していないことと定められらています。
また、子のない中高齢の妻が受給する場合、「中高齢の加算」があります。子がいない場合、遺族基礎年金が無いこと、中高齢での再就職が厳しいことを考慮して、遺族厚生年金が年額約60万程度となるように加算がされます。
以上となります。失礼いたしました。m(_ _)m
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