「ダイヤモンドダスト」 (南木佳士著) を読んで
先日の「阿弥陀堂だより」につづき、南木氏の2冊目の本となります。
「ダイヤモンドダスト」は、1988年の「文学界」9月号に載り、第100回芥川賞を受賞された作品となります。
「阿弥陀堂だより」よりも、なんとなくですが、「やさしさ」だけではない、硬さ?が感じられました。
「ダイヤモンドダスト」は、まだ若かったときの作品だからでしょうかね。
そこで、同じようなことを想う方がいるのではないかと思い、ググらせていただきました。
近しいかたのコメントとして、
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・末期癌患者の臨床医。死に対して無力。生の根元はとてつもなく脆い。「パニック障害、うつ病」という病を得て、価値観が一転した。ただ生きて在ることへの畏敬が、南木佳士の文学の核心にある。
←鬱々とした思いが小説を書かせた。論文を書いて、業績を積み上げても、心の慰藉は得られない。書くことだけが、それをもたらした。
・「低い視線」が極めて印象深い。
←「病んだ者の視線は例外なく低くなる。人間として持つべき最も大事なものは頭の切れの鋭さでも、ましてや学歴とか富とかではなく、ただひたすらやさしくあることなのだというようなあたりまえのことが、低くなった視野に見えてくる。」(『医者という仕事』p.24)
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南木佳士氏は、1951年生まれ、芥川賞を受賞をされて、その後1年くらい後の、38歳の秋にパニック障害、そしてうつ病となられています。
「阿弥陀堂だより」は1995年となりますので、その後の作品となりますね。
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南木佳士は信州の「自然」に癒やされている。死とは、信州の深い森に帰ること、人生の往路の虚飾を落として、ただの人として森に帰ればよい、という「思想」がある(『ダイヤモンドダスト』『阿弥陀堂だより』『臆病な医者』)
←しかし復路にもう一つの生の輝きがあるのではないか。復路に固有の何かが。人生の秋、冬が難しい。春、夏の勢いはないのだから。
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ところで、「ダイヤモンドダスト」とは何でしょう。
大気中の水蒸気が昇華してできた、ごく小さな氷晶(氷の結晶)が降ること。
よく晴れた朝など、気温が氷点下10℃以下の状態のときに発生する。視程は1km以上である。日光で輝いて見えることから、ダイヤモンドダストと呼ばれる。
Diamond dust is a ground-level cloud composed of tiny ice crystals.‐ダイヤモンドダストは、小さな氷の結晶からなる地上レベルの雲?。
人生の復路であり、その後半になると思います「真冬」、そのよく晴れた朝に見られるという「ダイヤモンドダスト」に会うために・・・
がんばりましょう!
ダイヤモンドダストです!
m(_ _)m
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