« 「ダイヤモンドダスト」 (南木佳士著) を読んで その2 | トップページ | 「からだのままに」 (南木佳士著) を読んで »

2012年11月17日 (土)

「ポータビリティ」について その2

以前に「ポータビリティ」について、書いておりますが、もう少し深めておきたいと思います。

以前のはコチラ↓

http://life-insurance2.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-9c3f.html

そして、続きとして。

 

ポータビリティ」の方法は具体的には以下の2つに区分される。

 

脱退一時金相当額の移換

 移換元で一時金の受給資格を取得した脱退者について、将来の年金受給を目的に、脱退者の申し出により移換元の脱退一時金(移換先の規約に基づいた給付額が上限)を移換し、移換先の年金制度に基づき給付を行うもので、移換元の給付内容を引き継ぐ必要はない。(ただし、移換元の加入期間を移換先の加入期間の一部とすることは可) 通常は企業年金連合会や確定拠出年金に移換して、当該年金制度より年金受給することとなるが、移換先の規約に定めがある場合は、厚生年金基金・確定給付企業年金への移換も可能である。なお、移換対象者は「中途脱退者」(資格喪失時点で年金の受給資格を持たず、加入員期間20年未満の者)に限られる。

 

権利義務の移転

合併・企業再編等により他の制度に移転する場合の不利益を抑止するため、継承先制度において移転元制度の給付内容を引き継ぐものであり、基本的に事業所単位で移転を行う(個人単位でも可)

移転元の義務を引き継ぐため加入期間は原則として全て通算することとなる。また移転先の制度に給付水準を合わせた結果、給付減額となる場合には減額手続きが必要となる。権利義務の移転を行う場合、対象者から同意を得る必要があり、同意を得られれば年金受給権者についても行うことができる。

移換額は継続基準・非継続基準に基づいた合理的な方法で年金資産を按分した額とすることが一般的であるが、その算出方法は双方の制度間で取り決める必要がある。

 

17101日から施行>
企業年金等の通算措置(ポータビリティの拡充)の細部について、「企業年金等の通算措置に係る事務取扱準則」

厚生年金基金又は確定給付企業年金の資格喪失者の選択肢、(ア)~(エ)

 

(ア) 資格を喪失した日から1年以内に再就職した場合であって、再就職先の事業所が基金又は確定給付企業年金を実施しており、かつ当該制度の規約に脱退一時金相当額の移換を受ける旨の定めがある場合又は当該事業所が確定拠出年金を実施している場合

当該事業所が実施する企業年金制度又は企業年金連合会への脱退一時金相当額の移換及び脱退一時金の受給

 

(イ) 資格を喪失した日から1年以内に再就職した場合であって、再就職先の事業所が基金又は確定給付企業年金を実施しており、かつ当該制度の規約に脱退一時金相当額の移換を受ける旨の定めが無い場合

  企業年金連合会への脱退一時金相当額の移換及び脱退一時金の受給

 

(ウ) 資格を喪失した日から1年以内に再就職した場合であって、再就職先の事業所が企業年金制度を実施していない場合、資格を喪失した日から1年以内再就職しなかった場合又は国民年金の第1号被保険者になった場合

  次の場合に応じ、それぞれ次の選択肢

ü 個人型確定拠出年金の加入者になった場合

企業年金連合会又は国民年金基金連合会への脱退一時金相当額の移換及び脱退一時金の受給

ü 個人型確定拠出年金に加入しない場合(個人型確定拠出年金の運用指図者である場合を含む)

企業年金連合会への脱退一時金相当額の移換及び脱退一時金の受給

 

(エ) 資格を喪失した日から1年以内に基金の老齢年金給付の受給権を取得することとなるものである場合にあっては、その旨及び受給権を取得する日までの間に他の企業年金制度、企業年金連合会若しくは国民年金基金連合会への脱退一時金相当額の移換又は脱退一時金の受給が行われなかった場合は、当該基金から老齢年金給付又は一時金たる給付を支給することとなる旨

 

 

厚生年金基金から確定給付企業年金へ事業所単位で権利義務を移転する場合について

権利義務の移転・承継にあたり、「同意」および「代議員会の議決」に関して必要とされる手続き

 移転元制度:

 ・脱退事業所の事業主の全員の同意

 ・脱退事業所に使用される加入員の2分の1以上の同意(事業所ごとに2分の1以上の同意が必要)

 ・脱退事業所以外の設立事業所に係る代議員の4分の3以上の同意

 ・加入員であった者又はその遺族の給付の支給に係る権利義務を移転する場合は、当該者全員の同意

 ・代議員の4分の3以上の多数による議決

 移転先制度:

 ・規約型DB:実施各事業所に使用される被用者年金制度の被保険者等の過半数で組織する労働組合または過半数を代表する者の同意

 ・基金型DB:代議員の定数の4分の3以上の多数による議決

 ※規約型DBとは、労使が合意した年金規約に基づき企業と受託機関が契約を締結し、外部積立により年金制度を運営するもので、適格年金制度に近いものと言える

 ※基金型DBとは、母体企業とは別の法人格を持った企業年金基金を設立し、企業年金基金が年金規約に基づき年金制度を運営するもので、(代行部分のない)厚生年金基金に近いものと言える。

 

②代行部分の移換先とその移換額の計算方法

・代行部分の移換先:企業年金連合会

・移換額:

 移転元の厚生年金基金の最低責任準備金×権利義務移転該当者に係る過去期間代行給付現価の額÷当該厚生年金基金の過去期間代行給付現価の総額

※過去期間代行給付現価とは、代行部分の給付原資に見合う「将来法」による責任準備金

 

 

③移転元の厚生年金基金の財政に関し留意すべき事項

 ・移換額の計算方法は当事者間の同意によることとなっているが、移転元基金の非継続基準等の積立水準が悪化しないよう決定する必要があること。さらに、決定した移換額にあっても、当該事業所の減少により、他の事業所の掛金が増加することとなるときは、当該増加する額に相当する額として当該減少事業所から掛金として一括して徴収する必要があること

 ・基金規模が縮小するため、不足金発生時の掛金上昇リスクが増加すること

 ・加入員であった者を残していく場合には成熟度が上昇すること

 ・加入員であった者を残す場合、将来の死亡率改善リスクが残ること

 

④移転先の確定給付企業年金の財政に関し留意すべき事項

 ・移換額の計算方法は当事者間の同意によることとなっているが、移転先制度の非継続基準等の積立水準が悪化しないよう決定する必要があること。

 ・移転してきた受給者の独自給付部分の水準および独自給付該当者の発生状況によっては、不足金発生の要因となることが考えられるため、当該部分に一定の評価を行う等の配慮が必要であること

 ・加入員であった者の権利義務を承継する場合、将来の死亡率改善リスクを引き継ぐことになること

 

♪「権利義務の移転」では、なかなか大変な手続きだと思いました。今後、数少ないのかもしれませんが財政上問題の少ない厚生年金基金からDCDBへの推進をするには、緩和措置が必要なんですよね。


m(_ _)m

« 「ダイヤモンドダスト」 (南木佳士著) を読んで その2 | トップページ | 「からだのままに」 (南木佳士著) を読んで »

勉強・試験関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ポータビリティ」について その2:

« 「ダイヤモンドダスト」 (南木佳士著) を読んで その2 | トップページ | 「からだのままに」 (南木佳士著) を読んで »

フォト

最近の記事

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のコメント

最近のトラックバック

ウェブページ

無料ブログはココログ

Twitter

  • twitter

このブログ内で検索