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2012年12月 2日 (日)

「キャッシュバランスプラン」は万能?

過去問に、次の記載があります。

H21 3B

・「キャッシュバランスプラン」を導入し、市場整合性と連動の高い指標を用いることで、運用環境に左右されにくい制度へと転換を図ることが考えられる。

 

H22 3B

・「キャッシュバランスプラン」を導入すると金利水準に応じて全体の給付額が連動することで年金財政上の安定化効果も期待できる

 

H23 3B

・「キャッシュバランスプラン」は、財政が安定しやすい制度である

・「キャッシュバランスプラン」は、運用リスクを抑制することが可能な制度である

 

・・・「キャッシュバランスプラン」が万能なようなイメージを受けます。そうなのでしょうか?

 

***

 

「厚生年金基金」、「確定給付企業年金」の一形態として、「確定拠出年金」の特性も一部併せ持つハイブリッド(混合)制度である「キャッシュバランスプラン」があります。

加入から支給終了までのすべての期間にわたって指標利率(国債利回り等に連動)によって給付額が変わる設計が可能です。

 

キャッシュバランスプランの特徴

仮想個人残高の設定

仮想個人勘定の残高は、毎年加入者毎に与えられる拠出クレジットに利息クレジットを加算しそれを累積していきます。

拠出クレジット 例:定額、給与×一定率、ポイント×単価

利息クレジット 実際の運用収益とは関係しない仮想的な利率(指標利率)によって計算する。

例:20年の長期国債利回り

年金給付の設定

従来型の企業年金と同様に、支給開始後は年金額を一定とする給付設計(年金額一定)と、支給開始後も指標利率の変動を年金額に反映させる給付設計(年金額変動)が可能です。

キャッシュバランスプランでは、運用リスク軽減効果と退職給付債務の安定効果が期待されます。

***

 

キャッシュバランスプランとは? 

平成144月より「厚生年金基金の加算部分」および「確定給付企業年金」の給付設計において認められた。

「確定給付型」の制度に分類される。

 

キャッシュバランスプランは、給付額の算定方法が予め規約に定められており、算定方法の中で使用する利率に関する部分については、その決定方法が規約に定められていて、実際の利率は国債の利回り等の市場動向に応じて変動するものであり、「確定給付型」と「確定拠出型」の両方の特徴を持っている。

年金資産の運用に関して他の確定給付型年金との違いはなく、給付債務に対する運用リスクは企業が負うこととなる。また、退職給付会計上は、予測給付債務(PBO)に基づく会計処理が必要となる。

退職給付債務の計算に使用する割引率とキャッシュバランスプランでの指標に連動性を持たせることで、従来の確定給付型の給付設計に比較し、割引率の変動による退職給付債務・費用認識の変動を抑えることができる。

***

「年金数理テキスト」では、

「キャッシュバランス制度」は確定給付型と確定拠出型の企業年金の中間的な性質をもつ制度であり、「ハイブリッド型制度」の1種である。確定給付型の企業年金であれば、給付が先に決まり、そのために必要な保険料を徴求する仕組みであるが、「キャッシュバランス制度」の場合、給付が「国債の利回り等」に応じて変動して決まる。

給付の額が変動するものの、実際の年金資産の運用成績とは無関係であり、その変動幅も限定されるので、キャッシュバランス制度は確定給付型の企業年金の範疇となる。

 

そして、今年2012年・・・

平成24年1月31日公布 通知改正

キャッシュバランスプランにおいて、年金債務と年金資産のギャップを可能な限り小さくする 観点から、市場インデックスに基づいて、年金原資に利子を付すことが出来るよう、指標の例に東証株価指数等を加える。  ※厚生労働省 2012/11/27 厚生年金基金制度に関する専門委員会資料より

 

この通知改正について、以前、Actuary JPさんのコメントでは、

「保証リスク」について

日本においても、「変額保険のリスクマネジメント」の必要性とその重要性について、付言は要しないと思う。その他にも、例えば、企業年金の分野で、保証リスクを吟味すべき制度が日本でも生まれている。その代表例が、金利変動に伴って給付額が変動する「キャッシュバランス・プラン(CBプラン)」である。従来の一定の金利を保証する給付設計に加え、“市場インデックス連動型”のCBプランの導入も可能となった。

既存のCBプランの多くは、国債の利回りを基準に設定されている。現在の低金利の環境下においては、保証利回りの下限を設定したとしても、その保証リスクは限定的であるが、一方でこの“市場インデックス連動型”のCBプランが採用された場合、その「保証リスク」のインパクトは「金利リスク」の比ではない。既存の年金数理の枠組みを用いて、企業年金のリスクマネジメントを行うことの妥当性について、再考すべき時期に差し掛かっているのかもしれない。

さらに、「コラム523 規制緩和されるキャッシュバランスプラン?」(2012/7/24)では、

http://www.mercer.co.jp/survey-reports/1431920

以下、抜粋

「キャッシュバランスプラン」の新たな指標として、市場インデックス(東証株価指数等)が追加される。

(中略)

 ここで、「指標はゼロ以上」という条件があるため、株価がプラスの場合は給付に反映され、マイナスの場合は会社が補填するということとなるので、会社にとって、導入するメリットがないどころか、むしろ、株価の大きな変動性により、会社はより大きなリスクを抱えてしまうことになる。

規制緩和を望む関係者にとっては残念かもしれないが、そもそも、給付を約束するという確定給付企業年金制度で株価連動の「キャッシュバランスプラン」とは、確定拠出年金と性格がどう異なるのか、何を約束した給付なのか、その受給権とは何なのかよく議論される必要があるのだろう。企業会計においても、株価指数を指標として選んだような制度の退職給付債務とはどのように測定されるべきか色々な意見があり、退職給付会計の根本的な課題ともなっている。

 

The Actuaryさん、そして、コラムに基づけば、導入に際して『十分慎重に』と思えております。
失礼いたしました。
m(_ _)m

 

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