「三四郎」(著者 夏目漱石) を読んで
姜氏の「悩む力」で紹介がされていました。
『三四郎』(さんしろう)は、夏目漱石の長編小説。1908年(明治41年)、「朝日新聞」に9月1日から12月29日にかけて連載。翌年5月に春陽堂から刊行された。『それから』『門』へと続く前期三部作の一つ。
つまり、いまから約100年前の話となります。
それでもほとんど古さを感じさせませんでした。いまの時代に相通じるものがあるように思いました。
この100年の間にあった高度経済成長を上手く書かれた石川達三の世界のほうが、逆にいまだと異和感を感じさせられます。
いまの日本は100年前に戻ってしまっているのでしょうか?
それでも、絶対に繰り返してはいけない「戦争」・・・
物語に登場する広田先生が、これからの日本についていう「亡びるね」という言葉。
それから37年後の1945年、本当に日本は一度滅びるわけですよね。
また、同先生が述べる昔の青年と現代の青年との比較、「近頃の青年は我々の時代の青年と違って自我の意識が強すぎていけない」など。
ところどころに著者夏目漱石の主張がちりばめられているように思いました。
みんなで、悩みながら、考えながら、いまの時代を生きていきましょう!!!
主な登場人物について
小川 三四郎
主人公。九州から列車で上京。今の東京大学文学部一年。数え年で23歳。酒も煙草もたしなみ、熊本の高校時代は赤酒ばかり飲んでいた。身長は5尺4寸5分(約165cm)。
三輪田のお光さん
三四郎の幼馴染み。
野々宮 宗八
三四郎の同郷の先輩(三四郎より7歳ほど年上)。東大卒。理科大で光線の圧力の研究をする。大学からの月給五十五円。独身。
佐々木 与次郎
三四郎とは大学で出会い、友人となる。広田の家に寄宿している。独身。馬券を買う。坊主頭。
広田 萇(ちょう)
第一高等学校の英語教師。身長は5尺6寸(約170cm)。独身。喫煙者。酒は飲まない。坊主頭。
里見 恭助
美禰子の兄。法学士。
里見 美禰子(みねこ)
自由放任主義で育った都会の女性。三四郎を翻弄する。まぶたは二重。英語が得意。亡き長兄が広田萇と懇意であった。
野々宮 よし子
野々宮 宗八の妹。独身。編み物をし、水彩画を描く。
物語自体は、「明治末期の青年の、心情変化を描写した作品」とありました。そこには、
*****
当時は、主人公のように地方の人間が立身出世を望むべく多数上京していた。作者は一青年の目を通して日露戦争後の日本社会を批評している。三四郎は美禰子や野々宮らと知り合い、郷里、学問、恋愛の三つの世界を見出し、これらが結合した社会の成立を夢想した。この世界の中で三四郎を遊ばせ、無限の可能性のある青年像を描き出している。
「余裕派(人生に対して余裕を持って望み、高踏的(世俗を超越して、孤高を保っているさま)な見方で物事を捉えるという、「低徊趣味的(俗世間にまみれず、心にゆとりをもって人生をながめ味わおうとする態度のこと。)低回とも書く。」(漱石の造語)な要素を含む。)」と称せられた初期の作品から、これ以降の作品への移行を示す小説であり、また日本で最初の教養小説と言われている。一方で、教養小説的な要素も存在するが、それ以上に喜劇的要素を多分に含んでおり、風俗小説としての性格も強い。
****
この時点では、夏目漱石自身も“高踏的”、“低徊趣味的”であったのかもしれませんが、今後の日本について“憂い”は持たれていたように思います。
そして、
憂患を体験し、悩み抜いてきて初めて、人物も余裕も出来てくる。【安岡正篤】
とあります。「夏目漱石」は、ここへも通じてくるように思えますね・・・
ありがとうございました。
m(_ _)m
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