「会計のことが面白いほどわかる本(会計基準の理解編)」 天野敦之著 を読んで
アク研 マーさんの推薦書籍となります。
「退職給付会計」について、基本から理解したいと思い、読ませていただきました。
ありがとうございました!
最初に『儲けにつながる「会計の公式」』では、儲けにつながる話ではないからでしょうか、貸借対照表の例示で、固定負債の中に“退職給付引当金”は出てきますが、とくに説明はありませんでした。
『決算書がおもしろいほどわかる本』では、次の説明まででした。
退職給付引当金は固定負債
「退職給付引当金」についても、ほぼ賞与引当金と同様の事が言えます。退職金は長期間の勤務をしたことに対する報酬としての意味を持っています。退職金を支給したその年度に一度にその金額が発生したのでなく、毎年毎年徐々に退職金が積み重ねられてきたと考えるのが自然でしょう。
将来支払うだろうと推定される退職金を計算し(実際の計算は非常に複雑です)、現在まで積み立てるべき金額と、実際に退職金として用意したある金額との差額、つまり準備不足の金額が“退職給付引当金”です。
“賞与引当金”、“退職給付引当金”は、未払賞与、未払退職金(これらはすでに金額の確定した負債です)とおなじような性格を持っていますので、「負債性引当金」と呼ばれています。ただし、賞与引当金は流動負債、退職給付引当金は固定負債である点に違いがあります。
それでは、本書では。
退職給付会計では、
退職金に関するお金の動きを「退職給付引当金」で処理し
退職金に関する費用の発生を「退職給付費用」で処理する。
退職給付会計では、勘定科目は2つしか登場しない。
(借方)退職給付費用、(貸方)退職給付引当金 となる。
「退職給付債務」とは、退職給付見込額のうち、すでに従業員が働いた期間に対応する分を現在価値に割り引いたもの。
「年金資産」とは、これまで退職金の支払に備えて積み立ててきた分
「退職給付債務」-「年金資産」(時価評価)=「退職給付引当金」
「退職給付費用」は、いくつかの要素で構成されているが、主たるものは、従業員の働きを意味する「勤務費用」である。
具体的には、6つの構成要素からなる。
「退職給付費用」=「勤務費用」+「会計基準変更時差異の当期費用化分」+
「過去勤務債務の当期費用化分」+「数理計算上の差異の当期費用化分」+
「利息費用」-「期待運用収益相当額」
1.勤務費用:従業員の働きによって発生する退職金の費用
2.会計基準変更時差異:退職給付会計制度導入に伴って生じた不足部分を会計基準変更時差異といい、これを費用処理したものが退職給付費用の一部になる。この差異を15年かけて費用化することが可能。
※これから、退職給付会計を適用する場合は、即時償却とない、会計基準変更時差異を利用できない。(退職給付会計の知識第2版P56)
3.過去勤務債務:(少し長い説明でしたので、従業員の過去分の勤務債務と、言葉通りとしておきます)
4.数理計算上の差異:運用が予想通りにいかないために発生した不足分
5.利息費用:(ここはあまり説明がありませんでした。イメージとして「予定利息」としておきます)
6.期待運用収益相当額:(利息費用を越えて)運用によって得られる収益
最後に、IFRSについて。
IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準審議会(IASB)によって設定された会計基準の総称です。従来、会計制度は国ごとに異なるのが当然と考えられてきました。しかし資本市場のグローバル化に伴い、各国で採用している会計基準では国際間比較は困難であり、会計基準の国際的統一が模索されてきます。2005年より、EU域内市場での統一基準として採用されたIFRSは、世界110カ国以上で採用されている会計基準。IFRSを全面的に採用(アダプション)していない国や地域でも、IFRSと自国会計基準との差異を無くすコンバージェンスプロセスや、IFRSの一部を自国会計基準に取り込むエンドースメントプロセスを進めているのが現状です。このように、国際的な会計基準として確たる地位を占めているのが、IFRSなのです。
日本では、2010年3月期からIFRSの「任意適用」が認められています。任意適用企業が着々と増加する中、将来の上場企業への適用が義務づけに向けた議論が進んでいます。(IFRS HPより)
2015-2016年、上場企業への強制適用開始予定。(退職給付会計の知識第2版P211)
IFRSが導入されるのは、投資家がどの国の会社も同じルールで作成された会計数値をもとに投資の判断をしたい、というのが発端。
非上場の会社は、投資家の投資対象にならないから、そもそもIFRSの範囲外と。
以上、分かりやすかったと思います。ありがとうございました!
さあ、ここで、「退職給付会計の知識第2版」を読み直すと、もう少し理解を深められるのかもしれませんネ。
ふっ~。
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