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2013年5月19日 (日)

「草枕」 (著者 夏目漱石) を読んで

1906 年(明治 39)、漱石39歳のときの作品。

 

“非人情”(不人情ということではない。義理人情の世界から超越して、それにわずらわされないこと。また、そのさま。夏目漱石が「草枕」で説いた境地)の“出世間的”1. 仏語。俗世間の煩悩(ぼんのう)から脱して悟りの境界に入ること。 2. 世間の俗事から離れて超然としていること)な芸術論を述べる。「俳句的小説」。

 

(あらすじ)

主人公は世俗を厭い“非人情”を生きる旅の絵描き。ふらりと立ち寄った那古井の温泉宿で出戻り娘の那美と出会う。気まぐれな行動に戸惑いながらも「余」は彼女の才知と美貌に芸術的な感銘を受けずにいられない。那美に「絵を描いて欲しい」と言われ「今描くには少し足りない所がある」と答えた「余」だったが、駅のホームで別れた夫と偶然再会し「憐れ」の表情を浮かべる那美を見て彼は胸中に一枚の絵を完成させるのだった。

漱石の透徹した審美眼によって描き出される“非人情”の世界。逗留地の自然、人々の描写が、西洋的な感覚とはおよそかけ離れた、幽玄的で禅的で俳句的で「東洋的」「日本人的」な意味合いでの美しさを感じさせる。洗練されていて、野暮ったさが微塵もない。

 

俗界を離れた仙人のような生活を賛美した小説かと思い込んでいたら、どうもそうではないようである。すぐそばに『現実=戦争』があったりもしている。その現実性は、画工によって“想像的なもの”に回収されたりもするのですが・・・

 

(「草枕」とは)

・万葉集における「旅」と旅の形容詞「草枕」

・旅先で、草で仮に編んだ枕の意から「旅寝」すること。旅先でのわびしい宿り。

 

この本、狭い本棚で熟成に熟成を重ねて、今回、ようやく読了。

 

「こう開けて、開いたところをいい加減に読んでるんです。小説なんて、そうして読むほうが面白いです。」と草枕の中で主人公が言っています。

 

そんな本なのかもしれません。

凡人には分かり難いところがあるのかもしれません。

 

また、松岡正剛氏の千夜千冊では、次のように書かれていました。

実はこのころほぼ同時に書いた異様な『夢十夜』こそは、『草枕』と重ねて漱石の最も深い部分の言葉の音楽とみるべきであるのだが、いまはこのことにはふれないでおく。

 いずれにしても『草枕』は、漱石も本当のところはこんなふうに暮らしていたかったという原郷をしたためた文章なのである。漱石自身も次のように語っていた。「こんな小説は天地開闢以来類のないものです」。また曰く、「この種の小説は未だ西洋にもないやうだ。日本には無論ない。それが日本に出来るとすれば、先づ、小説界に於ける新しい運動が、日本から起つたといへるのだ」というふうに。

 

 

戦死者が激増する現実、その様な戦争を生み出す世間、それに対して、夏にまで鳴く山村の鶯(ウグイス)、田舎の人々との他愛のない会話などをとおして、芸術や文学について論じ漱石の感じる世間の波間の中の日本人がつづられている。

 

"The Three-Cornered World" は、アラン・ターニー (Alan Turney) が「草枕」の英訳に付けた題名である。ターニーは序文で「“草枕”を直訳すると The Grass Pillow になるがそれでは意味をなさない為、この作品のテーマと考えられる一部分を題名にした」といった意味の事を書いている。これは「三」にある「して見ると四角な世界から常識と名のつく、一角を磨滅して、三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう」を踏まえたものである。

戦争を是とすることが“常識”なのか、アイロニーをまじえているのか、興味深い、訳し方だと思いました。

 

余裕派(人生に対して余裕を持って望み、高踏的(世俗を超越して、孤高を保っているさま)な見方で物事を捉えるという、「低徊趣味的(俗世間にまみれず、心にゆとりをもって人生をながめ味わおうとする態度のこと。)低回とも書く。」(漱石の造語)な要素を含む。)」と称せられた初期の作品。

 

この時点では、夏目漱石自身も“高踏的”、“低徊趣味的”であったのかもしれませんが、今後の日本について“憂い”は持たれていたように思います。

 

そして、

憂患を体験し、悩み抜いてきて初めて、人物も余裕も出来てくる。【安岡正篤】

とあります。「夏目漱石」は、ここへも通じてくるように思えますね・・・

 

夏目漱石は晩年に、『則天去私』と言われているそうです。

『則天去私』とは

小さな私にとらわれず、身を天地自然にゆだねて生きて行くこと。

「則天」は天地自然の法則や普遍的な妥当性に従うこと。「去私」は私心を捨て去ること。

 

39歳の夏目漱石、そこへの過程の本となるのでしょうか。

 

ありがとうございました。

 m(_ _)m

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