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2013年9月 8日 (日)

厚生年金基金の制度改正を踏まえて

平成24年の年金数理人会の年金法令・制度運営 問題6より

厚生年金保険法に規定する厚生年金基金制度に関し、「存続すべきという観点」と「廃止すべきという観点」それぞれの観点から所見を述べよ。

 

とある。

 

現在、厚生年金基金は“収束傾向”を目指すところとなるので、「廃止すべきという観点」での解答頁を覗いてみる。

 

すると、

 

・廃止に伴う諸措置実施に順文な経過期間の確保

・解散要件の緩和、解散に伴う積立不足の取扱い

・他制度へ移行する際の規制緩和、経過措置

・プラスアルファ部分が小さい場合の、移行後制度での実施の意義や現実性

・加入員や受給権者の老後保証

 

という記載までで、ほとんど詳しくは書かれていなかった。

ただし、今年の新たな法律への“視点”は網羅されているように思います。

 

次に、平成24年のアクチュアリー会の年金2 問題3 Bより

多くの厚生年金基金(以下、「基金」という。)が、長期的な財政状況の悪化という問題を抱えつつも、抜本的な財政健全化を実現できないでいる。こうした状況において、ある基金を想定し、次の①~③の各問に答えなさい。

① 基金が、財政健全化とその後の長期的かつ安定的な財政運営を目標に据えた場合において、どのような課題が挙げられるか、次の2つの観点から述べなさい。

  ア.基金自身が取り組むべき課題

  イ.基金制度に関する法制面の課題、

  なお、イにおいては、「代行部分の中立化」について触れること。

 

② 基金が、「解散」を目標に据えた場合において、どのような課題が挙げられるか、次の2つの観点から述べなさい。

  ア.基金自身が取り組むべき課題

  イ.基金制度に関する法制面の課題、

 

③ 基金が、存続か解散か決めかねている場合において、どのようなアドバイスをすべきか年金アクチュアリーとしての立場から所見を述べなさい。

 

ここで気になるキーワードが「基金制度に関する法制面の課題」と「代行部分の中立化」でした。

 

こちらは、昨年H24.11に年金数理人会が意見書として、とくに「代行部分の中立化」に残っている課題として、当時専門委員会へ提出したもの

http://www.jscpa.or.jp/opinion/pdf/op_20121109.pdf

こちらも参考として、新たな法律ができているように思います。

 

本年619日、厚生年金基金制度の見直し等を柱とした「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が可決・成立しています。

 

新たな法律を覚えておくようにしたいと思い、少しだけ整理を試みました。

 

厚生年金基金制度の見直し(厚生年金保険法等の一部改正)

(1) 施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない

(2) 施行日から5年間の時限措置として「特例解散制度を見直し、分割納付における事業所間の連帯債務を外すなど、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける

特例解散制度」の見直し(申請期限は施行日から5年後)

1. 分割納付の特例(代行割れ基金対象)

 事業所間の連帯債務外し

 利息の固定金利化

 最長納付期間の延長(15年→30年)

2. 最低責任準備金(代行部分の債務)の精緻化(全基金対象)

(前月の最低責任準備金)×(②厚年本体の実績利回り(利子))+(当月の免除保険料(収入))-(①当月の代行給付費相当額(支出))=(当月の最低責任準備金)

 代行給付費の簡便計算に用いる係数の補正

現行:0.875(一律設定)

改正後:受給者の年齢区分に応じて3段階に設定 (平成174月まで遡及可)

 75歳以上:1.0

 65歳以上75歳未満:0.96

 65歳未満:0.69

それと、みなし7号方式の導入

現行:7号方式

改正後:7号方式(本体と全く同じ停止をした場合の給付費を算出

     みなし7号方式-在職老齢年金及び雇用保険との調整については実績を用い、それ以外については一定率を用いての算出を検討

 計算に用いる厚年本体の実績利回りの適用時期のずれ(「期ずれ」)の補正

現行:前々年度の確定値を当年分の計算に適用

改正後:期ずれを解消(確定値+直近は推計値)

例えば、平成13年分の最低責任準備金の計算では、現行では、平成11年度の実績(3.62%)を用いるが、改正後では、平成13年度の実績(1.99%)を用いる。

3. 納付額の特例(代行割れ基金対象)

次のいずれか低い額(=現行特例と同じ)

 通常ルールで計算した額(平成119月までの期間は5.5%、平成1110月以降の期間は厚年本体の実績利回りを用いて計算)

 基金設立時から厚年本体の実績利回りを用いて計算した額

※利回りは「期ずれ」補正後のものを用いることを原則とするが、補正せずに計算した額の方が低くなる場合は、当該額を用いることができる。

4. 解散プロセス

 自主解散を基本。厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて解散を促す「清算型解散」の仕組みを導入。

 第三者委員会における適用条件等の審査。適用条件は客観的に設定。

 特例解散の適用を受ける基金の受給者は申請(指定)時点以降、上乗せ給付を支給停止

 申請(指定)以降、年金記録の整理等の事務に先行して代行資産を返還できる仕組みを導入。

   ※「指定基金制度」は改正法の施行に伴い廃止

 

 「解散認可基準の緩和」

1. 代議員会における法定議決要件

代議員の定数の4分の3以上による議決→代議員の定数の3分の2以上による議決

2. 解散認可申請に際しての事前手続要件

全事業主の4分の3以上の同意→全事業主の3分の2以上の同意

全加入員の4分の3以上の同意→全加入員の3分の2以上の同意

3. 解散認可申請に際しての理由要件

母体企業の経営悪化等→撤廃

※代行返上の場合は、母体企業の経営悪化等の理由要件は課していない。

 

(3) 施行日から5年経過後(特例解散の終了時点)は、毎年度の決算において、以下のいずれかの要件を満たしている基金のみ存続できることとし、要件を満たさない基金に対しては、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、「解散命令」を発動できる

基準の考え方=「代行資産の保全」の観点から設定

1. 市場環境の短期変動による代行資産の毀損リスクを回避できる積立水準

純資産(時価)≧最低責任準備金(代行部分の債務)×1.5 (※)

2. 上乗せ部分の積立不足による代行資産の毀損リスクを回避できる積立水準

純資産(時価)≧決算日までの加入期間に見合う「代行+上乗せ」の債務

(=非継続基準による要積立額)

1.5の根拠

以下のデータに基づき設定

 過去12年間の全基金の決算データでは12年の市場環境の変化によっても代行割れしない積立水準は代行部分の1.5倍以上

 今後5年間の運用リスクに対して代行割れを1%未満に抑えるために必要な積立水準は代行部分の1.6倍以上。(保険会社の健全性基準の考え方を参考)

 

(4) 上乗せ給付の「受給権保全」を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける

   厚生年金基金が解散した場合の基本ルール

1. 代行給付=必ず保全される

2. 上乗せ給付(3階部分)=残余財産の範囲内で分配

このルールに基づき、

上乗せ資産は、他制度に移換して退職給付を継続。移行のための支援措置としては

・解散後、事業所(企業)単位で既存DBや中退共へ移行できる仕組みを創設(法律事項)

・移行後の積立不足を掛金で埋める期間の延長など、政省令改正による対応も併行して行う。

代行割れ基金では、DB等の企業年金スキームを活用した再建、分割納付による返済を活用できるようにする

 

 m(_ _)m

 

≪参考文献≫

・厚生労働省 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律について

・日本年金数理人会 平成24年 年金法令・制度運営 問題6

・アクチュアリー会 平成24年 年金2 3-B

・りそな企業年金研究所ホームページ

・第一生命年金通信ホームページ

 

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