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2013年12月30日 (月)

「蒲生邸事件」 (宮部みゆき著) を読んで

ニ・ニ六事件について書かれた物語(680頁の長編!ワオ)でした。

 

以前、恩田 陸さんの本で、「ねじの回転」(こちらも上下巻の長編)を読んだことがあります。

これも「二・二六事件」を題材にされている「物語」でした。

2002年に書かれたもので、恩田氏38歳のときの作品。

 

「蒲生邸事件」は、1995年に書かれたもので、宮部氏35歳のときの作品

 

共に、とてもよく調べられているナ~と、そして、30代のときに、ニ・ニ六事件について、ここまで興味を持って調べられていることに、スゴイ!、とても驚きでした!

 

『蒲生邸事件』

 

予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月ニ六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男、平田に救助されたが、タイムトリップ先は昭和十一年、雪降りしきる帝都・東京は、いままさにニ・ニ六事件が起きようとしていた・・・

 

物語の最初に、予備校生となる孝史について、

「中学や高校の日本史の授業では、現代史についてはほとんど教えない。受験には必要ないからだ。それに、教科書のページ順に縄文式土器のあたりから歴史を解きほぐしてゆくと、明治維新を一通りやり終えて、明治の元勲の名前を覚えてゆくあたりまでたどりついたところで、三学期の期末試験が来てしまう。それだって、相当スピーディーな授業をする先生にあたったらの話だ。孝史が、かって習った中学の社会科の教師は、廃藩置県以降のページは授業では教えられないので、自分で教科書を読んでおけばよろしいと断言したほどだった。

そんな孝史でも、二・ニ六事件が軍部のクーデターであるということぐらいは知っていた・・・というより、白状すれば、今は知っている。平河町一番ホテルで眠りに就く直前、テレビ番組のなかでそう言っていたからだ。

軍のクーデターを起こすということは、それだけの力を持っているということだ。だからこそ、その軍部の方針によって、日本は太平洋戦争に突入していったのだろう。少なくとも、戦争については、孝史はそう教えられて育ってきた。

 

≪参考:田原総一郎著 「日本の戦争」より≫

「昭和維新」と称した事件。青年将校たちを正しい方向へ導くことができなかった、年長者たち。

さらに、これを一つの機として、戦争を望まなかった岡田啓介首相、斎藤実大臣、高橋是清大臣、鈴木貫太郎侍従長らが表舞台より去ったこと、それにより、軍部の発言権がさらに強まった(陸軍大臣現役武官制度の復活など)ことなどにより、「日本」はさらに間違った方向へ進んでいくことになった。 

 

いまもまた「日本」はよくない方向に向かっているように思えています。

 

次に物語の中で、タイムトラベラーの平田が、

「歴史が先か人間が先か。永遠の命題だな。だけど私に言わせれば結論はすでに出ているよ。歴史が先さ。 歴史は自分の行きたいところを目指す。そしてそのために必要な人間を登場させ、要らなくなった人間を舞台から降ろす。だから、個々の人間や事実を変えてみたところでどうにもならない。歴史はそれを自分で補正して、代役を立てて、小さなブレや修正などをすっぽりとのみ込んでしまうことができる。ずっとそうやって流れてきたんだ」

ここでは、例えばヒットラーを歴史上からオミットしたとしても、同様の人間が必ず出てくる、歴史には逆らえないと言われています。

 

いまもまた「日本」はよくない方向に向かっていても、その方向を変えることはできないと言われているようで、やっぱり怖いですよね。

 

また、タイムトラベラーの平田が、なぜ戦前の時代に住みついたのか。

戦前の日本の方が、(戦時中を除けば)現代よりも住みやすかった、と言っています。

孝史自身も、その時代で、おだやかで堅実な生活が営まれていたことを体験します。

 

これは、例えば、

1937年(昭和12年)に書かれた「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著)を読んでも明らかだと思います。その時代がよく書かれていて、また、戦前の発刊規制がある中で、素晴らしい内容と思っています。

おそらく、この本に基づいて、2009年に書かれた、鶴見俊輔氏と重松清氏の共著「ぼくはこう生きている、君はどうか」に受け継がれているんだろうナ、と思っています。

 

これもまた、NHKでテレビ化(1998年)されていたんですネ。知りませんでした。

主人公の孝史に、いしだ壱成氏。孝史がタイムトリップ先で好きになったふき役に奥菜恵氏。何となくで恐縮ですが、「再生巨流」とちがい、これはイメージピッタリです!

観てみたいと思いましたが、こちらはネット上に動画はありませんでした。ざんねん!

 

ありがとうございました~! m(_ _)m

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孝史とふきです
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