「押入れのちよ」 荻原 浩 著 を読んで
よかったです!
全9話からなる短編集となります。
1. お母さまのロシアのスープ
2. コール
3. 押入れのちよ
4. 老猫
5. 殺意のレシピ
6. 介護の鬼
7. 予期せぬ訪問者
8. 木下闇
9. しんちゃんの自転車
これまで荻原氏の本は、「僕たちの戦争」、「明日の記憶」を本屋さんで立ち読みしたことがありました。
“小説”は「面白本」がいいナ、と思うところがあり、荻原氏の本は、面白いところもある半面、重いテーマ(僕たちの戦争では、やはり“特攻”が出てきます。永遠のゼロでは零戦でしたが、ここでは回天です。明日の記憶は映画化もされていますが、若年性アルツハイマーについてです)が入っていて、それ以上は読みあぐねていました。
今回、「押入れのちよ」が“よかった”と新聞に書かれていて、早速ブックオフで見つけて読んでみました。
短編集の中では、とくに次の3話が好きです!
・押入れのちよ
・コール
・しんちゃんの自転車
この3話は、ジェントル・ゴースト・ストーリー、日本語にすれば、「優霊物語」となるそうです。残されたものへの愛着、未練、孤独や哀愁のあまり化けて出る心優しい幽霊といった意味合いの言葉だそうです。
ちよは、明治39年生まれの14歳。ビーフジャーキーとカルピスウオーターが大好きな、丸ほっぺ、切れ長の細い目、色白で鼻も口もちいさいから、まるで饅頭に切れ目を二つ入れたような、おかっぱ髪の女の子。
もう一人の主人公が、28歳で大手百貨店を嫌みな上司に嫌われて、リストラされた恵太。
そこで、会社を辞め、収入が減ったことから、住まいも安普請なところへ引っ越す。その引っ越し先で、ちよと出会うことになる。
そんな二人の物語です。
ちよも生前14年間の人生は大変だったわけですが、優霊となったちよは、その時の苦労を見せず(忘れていて?)とてもかわいいんですネ!
人相学のできるちよは、恵太の再就職を支援する。恵太の持ってくる就職活動先の世間では立派な大企業と言われている社長の写真を見せると、ちよは、どの社長も「情け知らず、欲張り、見栄っ張り・・・」と評価する。
笑えました!( ̄▽ ̄)
結局、恵太は、社員10人程の零細出版社に再就職する。
「給料は安いし、ボーナスもなく、職場は汚いが、金を持てあました客に何百万もする時計や毛皮を売りつけたり、上司のご機嫌を伺ったりするより、ずっとましな仕事に思えた。」からだそうだ。
物語は、優霊ちよと恵太の奇妙な?二人暮らしはつづいていくことで終わります。
いいのかもしれませんネ!
仕事については、お金ではない、大企業とは限らないと思うところ、見習いたいところです!
お薦めの一冊です! ありがとうございました!
m(_ _)m
「押入れのちよ」で画像を検索!
本だと、もっと可愛く感じますが、ご参考!
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