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2014年3月 1日 (土)

「ピンザの島」 ドリアン助川/明川哲也著 を読んで

敗北感から逃れられない青年が、自殺衝動と闘いながら、青カビチーズの熟成に挑んでいく『物語』。

 

明川哲也(ドリアン助川)氏のFBの『ピンザの島』発刊の挨拶より、

 

『ピンザの島』という小説を上梓いたしました。

敗北感から逃れられない青年が、自殺衝動と闘いながら、チーズの熟成に挑む物語です。

ピンザとは宮古島でのヤギの呼称ですが、本作の舞台は架空の島であり、物語はあくまでもフィクションです。

しかし、私は、島の環境や登場人物たちの言動に「本当のこと」を詰めこんだつもりでいます。

肉親を自殺で失った友人が私には数人います。祝福されずに生まれてきたと、いまだ悩んでいる友人もいます。

自殺で去ることをほのめかす友人もいます。自殺で本当に逝ってしまった友人もいます。

そして、こうした友人を持つ私は、とりたてて変わった存在ではないでしょう。

みなさんにもそうしたお知り合いはいらっしゃるでしょうし、私と同じで「いや、実はそれは自分の問題なのです。敗北感や自殺衝動は自身にこそ眠っています」と胸のなかでささやかれるかもしれません。

 

私はまんなかではなく、端っこを歩いてきた人間です。

大きなお屋敷や、ひまわりのような立派な花が苦手です。

生きることを雄々しく語る人より、酒場で一人苦笑している人が好きです。

そのような人間が、それでも生を肯定しようと現存在をとらえ直した時、支えとなった感覚は「むきだしの命が持つ力」というものでした。

国家の後ろ盾も、肩書きも、いっさいの属性も失った時、つまり本来のひとつの命として海や空と対峙した時、私たちが唯一頼ることができるのは、自分自身の野性の力、むきだしの命なのだと私は思っています。

この力を信じて、人類は永々と歩いてきました。それは今も、これからも、変わらないことだと思うのです。

 

前作『あん』(ポプラ社)に続き、仕上げるまでに長い時間がかかった作品です。

取材でいくつかの島を訪れ、最初の原稿を書きだしてから5年以上が過ぎました。

途中で何度かへこたれそうになりましたが、みなさまの元にお届けできるところまでこぎつけたのは、ポプラ社の担当編集者やスタッフ、取材協力者のお陰であるとともに、私自身の「むきだしの命が持つ力」が決して敗れ去ろうとはしなかったからではないかと思っています。

 

明川哲也(ドリアン助川)氏のFB内“コメント”より

幸せって、人それぞれ違うと思うのですが、いばらの道を歩んできた人ほど、闘うのではなく(いや、闘いかもしれませんが)、自分なりの幸せに至ることが義務であり、レジストだと思うのです。そういう物語です。みなさんに読んでいただけることが、ボクなりの幸せです。

 

*****

 

自殺衝動と闘っている涼介、その状態にあった涼介を瀬戸際で助けてくれたピンザ(石垣島など南国では、ヤギのこと)の“ぶち”。

その後、食肉用として捕えられて食べられそうになった“ぶち”を助け出す涼介。

「むきだしの命が持つ力」を伝えているように思いました。

 

また、ピンザは昔の大航海時代に、必ず船の必需品として載せられて、男の性欲の処理をするためにも使われていたことには、いやはやビックリでした。

 

「姥捨て」の風習の話も出てきます。ますます進む少子高齢化の時代の中で、決してあってはならないこととして啓示をされているのかな、と思いました。

 

そして、著者はチーズとワインが好きだそうです。いろいろな種類の「チーズ」が出てきます。

ゴルゴンゾーラ、

ブリ、

カマンベール、

リコッタチーズ、

プロッチュ、

ロックフォール(青カビのブルーチーズ)とワインはソーテルヌ、

 

はっきり言って、全然違いがわかりません・・・

 

最後に、著者が物語の中で「本当のこと」として込められた気持ちかな~と、自分が思えたところを、一部ご紹介。

「生きるのって・・・・・・痛いね」

「無理は禁物っスよ」

「どんなことをしていても、みんな志半ばで人生を終わらせるんですよ。そこに善し悪しなんかない。真面目過ぎる人はこの感覚に慣れた方がいい。人生そのものを断とうとするより、百万倍もましだ」

「人間はなにかひとつ見つければいいのだ」

そして、

「死ななければ、生きていける」と・・・

 

前作の「あん」でも言われていました。

 

「誰にも、この世に生まれてきた意味がある」。

「どんな人も、どんな人生にも、この世界に生まれてきたことに意味がある。」

 

禅の哲学でも、どんなことがあっても(もう体力も気力も失せた、不幸のどん底にあっても)「乞食をしても、生きる」があります。

 

物語の中で、島の風習で、ピンザを食用としている。私たち人間が生きていくためには、動植物の“いのち”をいただくことは必要であり、その“いのち”によって生かされている。

よしっ!乞食をしてでも生きていこう!!!

 

それと、ワインとチーズって合うのかな~!?今度、試してみたいナ、と思いました。

 

前作「あん」のエッセンス。何度聞いても、イイですネ!

徳江おばあちゃんが千太郎店長に宛てた手紙をドリアン助川氏が朗読をされています。

愛知県新城市の桜 ドリアン助川 小説「あん」朗読

http://www.youtube.com/watch?v=FPgWjG52ePA

 

「ピンザの島」、「あん」、お薦めです!

ありがとうございました!m(_ _)m

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