「イニシエーション・ラブ」 乾 くるみ 著 を読んで
2005年の本ですが、書店でお薦めされていました。
どうも2014年3月に放送された日本テレビの『しゃべくり007』で、くりぃむしちゅーの有田さんが、「最高傑作のミステリー」とコメントされ、放送後1か月で21万部を増刷。文庫版は既に100万部を超えているそうです。
マスメディアの力はスゴイですネ。
そこで、ブックオフで100円でゲット!早速読んでみました。
普通に読む分には、普通の?恋愛小説に感じました。
最初に読んでいて、女性心理よりも、男性心理の方が詳しいように感じ、ホントに女性作家なの?と思ったら、「男性作家」だったんですネ。著者名からは女性と思い込んでいました。
この物語にはトリックが隠されているとのこと、少し? 違和感はあったのですが、そのトリックは残念ながら分かりませんでした。
違和感とは、
著者が静岡大学理学部数学科卒、最初に出てくる主人公の鈴木夕樹も同じ設定で、数字が得意と言う記載があり、そのまま読み進めていたのですが、後半では物理専攻という記載が出てきて、あれっと思ったこと。ただ、通常に読む範囲では、物語に影響なく読めたので、読み飛ばしたこと。
また、鈴木夕樹は、ファッションセンスが無く、タバコは吸うものの、引っ込み思案な性格と思えていましたが、後半では、ファッションセンスが磨かれて、積極的に動けるタイプになれていたこと、これはきっと恋人ができたからかな、と思ったりしていました。
ところが、そうではなかったのですネ!
ただ、このトリックを知ることで、知る前は健気なヒロイン、鈴木夕樹の恋人『成岡繭子』が、知った後では、とてもしたたかな女性(悪女)になってしまうのです。
そこで、女性作家であったなら、このようなトリック作品を書くかな~と思ってしまいました。
トリックについては、こちらのゴンザさんが詳しく書かれていましたヨ。
http://gonza.seesaa.net/article/2124042.html
ゴンザさんも、次のことを書かれていましたが、「イニシエーション・ラブ」は好き嫌いが分かれるように思いました。
*****
この小説の本質は、文学というより「パズル」や「まちがいさがし」に近いのではないでしょうか。「新聞に載っているパズルに挑戦する」というタイプには向くでしょうが、物語を肌で感覚的にとらえる人にはまったく面白くありません。
物語に「精巧な緻密さ」をもとめる人は感心できますが、「ドラマ性」や「共感できる人物像」をもとめる人には見るべきところが少ないです。
そして、この本が美しい表現や情緒的な描写による感動を与えてくれるのを待っていると失望しますが、淡々とした文章の裏にあるものについて、あれこれ自分なりに想像をめぐらしてみることができるなら、楽しめることでしょう。
*****
読んだ後に、トリックが分かると、面白く作られているナ~と感心しましたが、それを楽しみに、また次を読むかは、ちょっと悩んでしまいました・・・( ̄○ ̄;)!
でも、こういうジャンルもあることを知ることができました。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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