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2015年7月

2015年7月12日 (日)

「ホテルローヤル」 桜木紫乃著 を読んで

システム本番に向けて、休日出勤がちょこちょこあり、勉強は今一ですが、気分転換!?に本を読んじゃいます。

“人とは”という視点ではとてもよかったのですが、ちょっと暗かったかナ~。

 

“ホテルローヤル”、北海道、釧路にあるラブホテルの想定です。「直木賞作品」でもあります。

桜木紫乃氏のご実家もラブホテルを経営されていたそうです。

コチラ↓

http://seidoku.shueisha.co.jp/1301/try01_sakuragi.html

 

ある意味でラブホテルを知り尽くして書かれたのかもしれませんネ。

 

解説より

ラブホテルにはどこか秘密めいたところがある。世をはばかるような悲しさがある。ラブホテルに入る者は、後ろめたい思いにとらわれる。快楽を求めてやってくるのに、大手を振って入ることが出来ない。罪悪感をもってしまう。

誰もがよく知っていながら遠ざけていた場所を描く。表通りではなく裏通りにひっそりと建つラブホテルのなかにこそ身近な人間たちの切ない物語を見つけてゆく。太陽の下のあかるさより、ホテルの部屋の暗がりの中に人びとの悲しみ、哀歓を見出してゆく。

そこでは男も女も、ホンネの姿をさらけだす。だからいっときの昂揚が過ぎ去ったあとには、急に心がさめたりする。桜木紫乃は、セックスそのものの熱さよりも、むしろセックスのあとの白々しさをとらえようとしている。いったんはひとつになった男女が、ことが終わると、また離れ離れになってゆく。その虚しさ、寂しさ。

 

釧路は、アイヌ語由来とのこと。漁業以外にも、明治初期には(安田、三井、三菱、明治)財閥によって石炭、硫黄、木材、農水産物の積出港として一大物流拠点を形成しましたが、昭和の高度経済成長をピークに人口減に入っていますね。

“ホテルローヤル”もそのピークの頃に建設され、そして廃墟となるまでの物語です。

とてもよかったのですが、ちょっと思っていたよりも暗かったですネ・・・。

 

物語は、7つの短編で構成されていて、ホテルローヤルの廃墟から時間が遡っていきます。

各編とも“ホテルローヤル”を中心にひとびとが物語を織りなします。

 

シャッターチャンス

廃墟となったホテルローヤルの“ある部屋”で、挫折し負け犬状態の木内貴史が、長く付き合っている加賀屋美幸のヌード写真を撮って、それを投稿することで、一矢を報いようとする物語。

ヌード写真を撮影した部屋が三号室。三号室は“ホテルローヤル”が廃業となる原因となった心中があった部屋・・・

 

本日開店

釧路でお寺の経営を助けるために、住職の妻、設楽幹子が壇家たちに身を売る物語。更に、設楽幹子は結婚する前に“ホテルローヤル”で過ごした男に300万円を騙し取られていた。

 

えっち屋

ホテルローヤルを建てた田中大吉、それを受け継いだ娘の雅代とホテルにアダルトグッズを納入している業者の気の弱い社員で過去に傷をもつ宮川と、ホテルを閉める前に最後の「想い出」を・・・

 

バブルバス

ホテルローヤルがまだ賑わっていた頃、家が狭くて舅とも一緒の夫婦が、ホテルローヤルで久しぶりに夫婦をとり戻す物語。唯一、少し明るい物語でした。

 

せんせえ

親に捨てられた女子高生まりあと結婚する前から妻に男がいた教師野島との物語。二人は最後にホテルローヤルの三号室で心中する。

 

星を見ていた

解説にも書かれていましたが、この物語の“白眉”ですネ!

ホテルローヤルの掃除婦ミコ(六十歳)と漁業でからだを壊して働けずにいる夫正太郎(五十歳)の物語。

物語の所々でミコは自分の母親の言葉を想い起します。

『誰も恨まずに生きて行けや』

『いいかミコ、おとうが股をまさぐったら、何も言わずに股開け。それさえあれば、なんぼでもうまくいくのが夫婦ってもんだから』

『いいかミコ、なにがあっても働け。一生懸命に体を動かしてる人間には誰もなにも言わねえもんだ。聞きたくねえことには耳ふさげ。働いていればよく眠れるし、朝になりゃみんな忘れてる』

そんな中で、たまにだが連絡を寄こしていた次男が逮捕される記事が出た。

物語のさいごに、ミコを探していた正太郎にミコは「星を見てたの」と・・・

 

ギフト

若き田中大吉が妻と別れ、愛人の るり子と“ホテルローヤル”を始めるまでの物語。愛人 るり子との間には雅代が生まれる。

 

ありがとうございました!

m(_ _)m

 

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2015年7月 4日 (土)

「木暮荘物語」 三浦しおん著 を読んで

晴耕雨読、第2弾!?

 

『本の帯より』

小田急線の急行通過駅、世田谷代田駅から徒歩5分、築ウン十年。ぼろアパートを舞台に贈るつながりの物語。

安普請ですが、心地よいつながりがあるアパートです。空き室あり。入居者募集中!

101号室→ 木暮(大家):死ぬ前にもう一度、あれがしたい……。

102号室→ 光子(女子大生):刹那的な恋にのめり込むある日……。

103号室→ 空き室 

201号室→ 神崎(サラリーマン):いい奴ですが、覗き趣味あり。

202号室→ 空き室(神崎がこっそり使用中) 

203号室→ 坂田繭(花屋店員):彼(伊藤晃生)のいる部屋に元彼(瀬戸並木)が……。

 

『内容紹介(裏表紙より)』

小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩5分、築ウン十年、全6室のぼろアパート木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の4人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦「愛」を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった……。

 

「愛」と「性」があたたかく絡み合う物語だと思いましたネ。

物語は次の7編で構成されています。

 

シンプリーヘブン

203号室の坂田繭(花屋店員)と彼(伊藤晃生)と、勝手に出てって3年振りに訪ねてきた元彼(瀬戸並木)との物語

 

心身

なんとなく可笑しくて、好きですネ!

70歳を過ぎて、燃えるようなセックスをしたい、愛犬ジョンと自宅には自分の部屋が無いために自分のアパートに住む木暮のおじいちゃん。

そこで、デリヘル嬢を「おしゃべりコース90分」で呼ぶのですが、そこへ奥さんがおかずを持って訪ねてくる。ここは機転の利くデリヘル嬢ちなつと隣に住む女子大生光子のおかげで助けられる。

 

それがきっかけとなり、光子とときどき話をするようになる。

 

なにごともなく、けれど家族でも友人でも同僚でも恋人でもないひとと、しゃべって笑って関係を築いていく日常。

腕まで伝ったアイスを、光子が舌で追いかける。そのさまをぼんやり眺め、ああ、セックスしたい。

木暮は俄然と、猛然と、燃えさかるようにたぎるように思った。

その思いがかなうことはなさそうだったが、なぜか心は凪いでもいた。そんな自分が不思議だった。

死ぬまで、死んでも、永遠に解くことのできない、ひとの不思議だと思った。

 

柱の実り

木暮荘の近くに住んでいるトリマー美繭と暴力団員の前田との儚い恋物語

 

黒い飲み物

坂田繭の勤める“フラワーショップ佐伯”の佐伯夫婦の不倫騒動物語

 

思い通りに就職できなかったことで卑屈になっている神埼が光子の生活を覗き見ることで、自分を取り戻していく物語

 

ピース

女子大生光子、こどもの頃に、こどもが産めないからだと分かり、それを嘆く母親に反発。高校時代は「いろんな男とやりまくった」

そんな彼女が赤ん坊をあずかることになる。そのときの光子を神埼が励ます物語。

 

嘘の味

最初に登場した“瀬戸並木”がフラワーショップのお客で男嫌いの北原虹子とのあたらしい恋が芽生える物語。

 

よくひとの三大欲求として、「食欲」、「性欲」、「排泄欲」があると言われますが、その「性」を通底としたテーマにして、あたたかく紡いでいる物語だと思いました。

よかったです!三浦しおんさん、面白い!

 

70歳を過ぎた木暮のおじいちゃんに負けずに、ガンバロ~!???

 

失礼しました!

m(_ _)m
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「何者」 朝井リョウ著 を読んで

本日は「雨」なので、晴耕雨読!?


著者は本作品で直木賞を23歳の若さで受賞、スゴイですネ!

 

“就職活動”の話ということで、現在、就職活動中の息子たち世代がどんな感じなのかナ~、と思い、ちょうどよく?文庫化されていましたので、手に取ってみました。

 

今日日の大学4年生達の就職活動物語をイメージしていましたが、少し違ってましたネ!

 

それでも、自分たちの時代と共通に感じたのは “素直に、真摯に、ひたむきに”でした。

大事なこととして、昔も今も変わらないのだと思いました。

 

まあ、自分の場合は、就職活動期間1ヶ月、当時“7月”のみ、いまの大学生にすれば、短い期間かもしれませんが、”面接”で落ちるとやっぱりショックで、その理由がまた分からず、自己否定に陥り、疲れてしまい、辛うじて最初にいただいた内定先に早々に決めて、就職活動を終わりにしましたヨ!( ̄○ ̄;)!

 

それでも、大学のゼミの先生に、「そりゃあ、理系なのに、営業やります、って無理よ!」と言われたのが救いでしたネ。

 

いまの大学生はそんな就職活動期間が長すぎて大変だと思いました。その分、いろいろあるだろうし、と思いますが、その分タフになっているのでしょうか?


それでは、こころに留ったところを書き留めておきたいと思います。

 

ほんとうにたいせつなことは、“ツイッター”にも“フェイスブック”にも“メール”にも、どこにも書かない。ほんとうに訴えたいことは、そんなところで発信して返信をもらって、それで満足するようなことではない。

だけど、そういうところで見せている顔というものは常に存在しているように感じるから、いつしか、現実の顔とのギャップが生まれていってしまう。ツイッターではそんなそぶり見せていなかったのに、なんて、勝手にそんなことを言われてしまうようになる。自分のアイコンだけが「元気な姿」で、ずっとそこにあり続ける。

俺たちは、人知れず決意していくようになる。なんでもないようなことを気軽に発信できるようになったからこそ、ほんとうにたいせつなことは、その中にどんどん埋もれて、隠れていく。

ほんとうのことが、埋もれていく。手軽に、気軽に伝えられることが増えた分、ほんとうに伝えたいことを、伝えられなくなっていく。(P173

 

主人公二宮拓人は、本音と建前用の二つのツイッターをやっている・・・

それが、一緒に就職活動をしている仲間の一人であり、内定の決まらない同士の小早川理香にばれてしまう。

理香は言った。

「みんなやさしいから、あんまり触れてこなかったけど、心のどこかでは思っているんじゃないかな。観察者ぶっている拓人くんのこと、痛いって」(P302

「心の中で思ってることって、知らず知らずのうちに、相手に伝わってるもんだよ。どれだけちゃんとスーツ着てても、どれだけもうひとつのアカウントを隠しても、あんたの心の内側は、相手に覗かれてる。カッコ悪い姿のままあがくことができないあんたの本当の姿は、誰にだって伝わってくるよ。そんな人、その会社だってほしいとおもうわけないじゃん。そうやってずっと逃げてれば?カッコ悪い自分と距離を置いた場所で、いつも観察者でいれば?いつまでもその痛々しいアカウント名通り【何者】かになった振りでもして、誰かのことを笑ってなよ。ずっと。」

理香さんは、とても悲しそうな顔をしていた。

やっとの思いで俺は立ちあがった。

早く、深く大きく息を吸い込みたいと思った。

P318

 

ここで拓人は成長したのだろうナ、と感じました。

 

よかったです!

 

ありがとうございました!

m(_ _)m

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