「何者」 朝井リョウ著 を読んで
本日は「雨」なので、晴耕雨読!?
著者は本作品で直木賞を23歳の若さで受賞、スゴイですネ!
“就職活動”の話ということで、現在、就職活動中の息子たち世代がどんな感じなのかナ~、と思い、ちょうどよく?文庫化されていましたので、手に取ってみました。
今日日の大学4年生達の就職活動物語をイメージしていましたが、少し違ってましたネ!
それでも、自分たちの時代と共通に感じたのは “素直に、真摯に、ひたむきに”でした。
大事なこととして、昔も今も変わらないのだと思いました。
まあ、自分の場合は、就職活動期間1ヶ月、当時“7月”のみ、いまの大学生にすれば、短い期間かもしれませんが、”面接”で落ちるとやっぱりショックで、その理由がまた分からず、自己否定に陥り、疲れてしまい、辛うじて最初にいただいた内定先に早々に決めて、就職活動を終わりにしましたヨ!( ̄○ ̄;)!
それでも、大学のゼミの先生に、「そりゃあ、理系なのに、営業やります、って無理よ!」と言われたのが救いでしたネ。
いまの大学生はそんな就職活動期間が長すぎて大変だと思いました。その分、いろいろあるだろうし、と思いますが、その分タフになっているのでしょうか?
それでは、こころに留ったところを書き留めておきたいと思います。
ほんとうにたいせつなことは、“ツイッター”にも“フェイスブック”にも“メール”にも、どこにも書かない。ほんとうに訴えたいことは、そんなところで発信して返信をもらって、それで満足するようなことではない。
だけど、そういうところで見せている顔というものは常に存在しているように感じるから、いつしか、現実の顔とのギャップが生まれていってしまう。ツイッターではそんなそぶり見せていなかったのに、なんて、勝手にそんなことを言われてしまうようになる。自分のアイコンだけが「元気な姿」で、ずっとそこにあり続ける。
俺たちは、人知れず決意していくようになる。なんでもないようなことを気軽に発信できるようになったからこそ、ほんとうにたいせつなことは、その中にどんどん埋もれて、隠れていく。
ほんとうのことが、埋もれていく。手軽に、気軽に伝えられることが増えた分、ほんとうに伝えたいことを、伝えられなくなっていく。(P173)
主人公二宮拓人は、本音と建前用の二つのツイッターをやっている・・・
それが、一緒に就職活動をしている仲間の一人であり、内定の決まらない同士の小早川理香にばれてしまう。
理香は言った。
「みんなやさしいから、あんまり触れてこなかったけど、心のどこかでは思っているんじゃないかな。観察者ぶっている拓人くんのこと、痛いって」(P302)
「心の中で思ってることって、知らず知らずのうちに、相手に伝わってるもんだよ。どれだけちゃんとスーツ着てても、どれだけもうひとつのアカウントを隠しても、あんたの心の内側は、相手に覗かれてる。カッコ悪い姿のままあがくことができないあんたの本当の姿は、誰にだって伝わってくるよ。そんな人、その会社だってほしいとおもうわけないじゃん。そうやってずっと逃げてれば?カッコ悪い自分と距離を置いた場所で、いつも観察者でいれば?いつまでもその痛々しいアカウント名通り【何者】かになった振りでもして、誰かのことを笑ってなよ。ずっと。」
理香さんは、とても悲しそうな顔をしていた。
やっとの思いで俺は立ちあがった。
早く、深く大きく息を吸い込みたいと思った。
(P318)
ここで拓人は成長したのだろうナ、と感じました。
よかったです!
ありがとうございました!
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