「木暮荘物語」 三浦しおん著 を読んで
晴耕雨読、第2弾!?
『本の帯より』
小田急線の急行通過駅、世田谷代田駅から徒歩5分、築ウン十年。ぼろアパートを舞台に贈る愛とつながりの物語。
安普請ですが、心地よいつながりがあるアパートです。空き室あり。入居者募集中!
101号室→ 木暮(大家):死ぬ前にもう一度、あれがしたい……。
102号室→ 光子(女子大生):刹那的な恋にのめり込むある日……。
103号室→ 空き室
201号室→ 神崎(サラリーマン):いい奴ですが、覗き趣味あり。
202号室→ 空き室(神崎がこっそり使用中)
203号室→ 坂田繭(花屋店員):彼(伊藤晃生)のいる部屋に元彼(瀬戸並木)が……。
『内容紹介(裏表紙より)』
小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩5分、築ウン十年、全6室のぼろアパート木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の4人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦「愛」を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった……。
「愛」と「性」があたたかく絡み合う物語だと思いましたネ。
物語は次の7編で構成されています。
シンプリーヘブン
203号室の坂田繭(花屋店員)と彼(伊藤晃生)と、勝手に出てって3年振りに訪ねてきた元彼(瀬戸並木)との物語
心身
なんとなく可笑しくて、好きですネ!
70歳を過ぎて、燃えるようなセックスをしたい、愛犬ジョンと自宅には自分の部屋が無いために自分のアパートに住む木暮のおじいちゃん。
そこで、デリヘル嬢を「おしゃべりコース90分」で呼ぶのですが、そこへ奥さんがおかずを持って訪ねてくる。ここは機転の利くデリヘル嬢ちなつと隣に住む女子大生光子のおかげで助けられる。
それがきっかけとなり、光子とときどき話をするようになる。
なにごともなく、けれど家族でも友人でも同僚でも恋人でもないひとと、しゃべって笑って関係を築いていく日常。
腕まで伝ったアイスを、光子が舌で追いかける。そのさまをぼんやり眺め、ああ、セックスしたい。
木暮は俄然と、猛然と、燃えさかるようにたぎるように思った。
その思いがかなうことはなさそうだったが、なぜか心は凪いでもいた。そんな自分が不思議だった。
死ぬまで、死んでも、永遠に解くことのできない、ひとの不思議だと思った。
柱の実り
木暮荘の近くに住んでいるトリマー美繭と暴力団員の前田との儚い恋物語
黒い飲み物
坂田繭の勤める“フラワーショップ佐伯”の佐伯夫婦の不倫騒動物語
穴
思い通りに就職できなかったことで卑屈になっている神埼が光子の生活を覗き見ることで、自分を取り戻していく物語
ピース
女子大生光子、こどもの頃に、こどもが産めないからだと分かり、それを嘆く母親に反発。高校時代は「いろんな男とやりまくった」
そんな彼女が赤ん坊をあずかることになる。そのときの光子を神埼が励ます物語。
嘘の味
最初に登場した“瀬戸並木”がフラワーショップのお客で男嫌いの北原虹子とのあたらしい恋が芽生える物語。
よくひとの三大欲求として、「食欲」、「性欲」、「排泄欲」があると言われますが、その「性」を通底としたテーマにして、あたたかく紡いでいる物語だと思いました。
よかったです!三浦しおんさん、面白い!
70歳を過ぎた木暮のおじいちゃんに負けずに、ガンバロ~!???
失礼しました!
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