「空より高く」(重松 清著)を読んで
とてもよかったです!
重松氏は、まじめなものから、ちょっぴり?エッチなものまで、いろいろなジャンルの物語を書ける作家だと思います。
今回の「空より高く」、内容紹介より
廃校が決まった都立東玉川高校(通称 トンタマ高校)。平凡きわまりない普通科高校で、卒業を控えた最後の生徒たちの「終わり」に満ちた“平凡”な毎日が熱血中年非常勤講師・ジン先生の赴任で一変した。暑苦しい「レッツ・ビギン!」のかけ声に乗せられて、大道芸に出会った“省エネ”高校生が少しずつ変わっていく・・・
トンタマ高校三年生、
主人公の松田練太郎(通称、ネタロー)、ごくごく普通の高校生、レンタローが訛ってネタロー
大久保省吾(通称、ヒコザ)、早稲田の法学部を目指している、大久保彦左衛門からヒコザ
戸川翔太(通称、ドカ)、野球部で、ドカベンからドカ
小島史恵(通称、ムクちゃん)、無口なのでムク
そこに、熱血中年非常勤講師、神村仁先生(通称、ジン先生)40歳が加わる
背景には、
1972年2月20日~ 1973年2月18日までTV放映された「飛び出せ青春」があるのですが、当時は村野武範氏演じる熱血“青年”教師でしたが、この物語では熱血“中年”教師になるわけですネ!
“中年”教師だからこそ、語れる、次の言葉が印象的でした
「もともと親や教師なんて、子どもから見たら、みんなカッコ悪いんじゃないのか?
セコかったり、弱かったり、逃げちゃったり、負けちゃったり、・・・オレもそうだ。きみのお父さんも、そうだ。カッコ悪いんだよ。オトナは」
「『逃げる』ってのは、スタートダッシュのときだけの物の見方だ。走り出したあとは、どこかに『向かう』ってことに変わる。それでいいじゃないか」
「オトナがカッコ悪いほうが、ガキにも勝負できる余地があるんだ。ものわかりがよくて、スーパーマンみたいになんでもできるオトナだらけだったら、若い連中はかえって窮屈になっちゃうんじゃないか?」
「オトナが子どもに対して責任を持たなきゃいけないのは、たった一つしかないんだ。“一所懸命に生きること”・・・・それだけなんだ」
「一所懸命に生きてもカッコ悪いことはあるし、一所懸命になればなるほど、どんどんカッコ悪くなることだってある。でもな、それでいいんだよ。オトナは自分のカッコいいところを子どもに見せたくて、生きてるわけじゃない。“ただひたすら 一所懸命に生きてるだけ”、なんだ・・・・」
そして、ネタロー、ヒコザ、ドカ、ムク達の卒業式のときの校長先生の言葉
「トンタマの卒業生がニッポンのリーダーになるようなことは、残念ですが、まずないでしょう。しかし、社会には、世の中には、ダシが必要なんです。一人ひとりが、たとえ見立つことは無くても、それぞれの人生を一所懸命に生きていくことで、いいダシが出るんです。ダシの利いていない世の中は、ほんとうに薄っぺらで、底の浅いモノです。わたくしはトンタマ最後の校長として、生徒たちに、そしてOB諸君に、いいダシを出せ、と伝えたいのです・・・・」
そして、この物語の「空より高く」、飛んでいけ~!っと
ありがとうございました!
m(_ _)m
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