「三屋清左衛門残日録」(藤沢周平著)を読んで
最近、少し「時代小説」を読んでみています。
個人的嗜好は“ノンフィクション”なので、時代小説は間違いなくフィクションが多いと思っているので、読む機会は少ないのですが、時代小説作家の考え方に興味を持ち、読んでみました!
とてもよかったです!
「三屋清左衛門残日録」
いまの言葉でいえば、「三屋清左衛門、定年後の日記」でしょうか。
隠居生活の徒然に、「残日録」と題していますが、
これは「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」という意味で名付けたもの!隠居生活も日々忙しいということのようです。(文庫16頁)
今でいう“定年”を迎えて、隠居生活に入ったのが、なんと52歳!(文庫13頁)
その後、およそ2~3年間の物語!
今の寿命でいえば、いくつ位なのでしょうネ!
定年(隠居)になってもいろいろな事件が起こり、一つ一つを解決していく、という一話完結型の物語で読みやすくなっています。
目次は以下の通りで、15編から成っています。
1 醜女
2 高札場
3 零落
4 白い顔
5 梅雨曇り
6 川の音
7 平八の汗
8 梅咲くころ
9 ならず者
10 草いきれ
11 霧の夜
12 夢
13 立会い人
14 闇の談合
15 早春の光
この物語でのお気に入りは、(文庫436頁)
衰えて死がおとずれるそのときは、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに「感謝」をささげ生を終わればよい。しかし、いよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを教えてもらったと清左衛門は思っていた。
まさに、
"Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever."
ガンジーの「明日死ぬかのように生きろ、永劫永らえるかのように学べ」ですネ!
そして、まだまだ52歳の清左衛門、艶っぽい場面もありました!(文庫346頁)
吹雪の中で生き倒れとなりそうな時に、ようやくたどり着いたのが、行きつけの店「桶井」のおかみ“みさ”の処という場面。
“夜中に一度清左衛門は眼がさめた。つめたい風が顔の上を吹き過ぎたと思うと、襖がしまるかすかな音がして、やがて床の中にあたたかくて重いものが入り込んできた。あたたかくて重いものは、やわらかく清左衛門にからみつき、そのままひっそりと寄り添っている。とてもいい匂いがした。
と清左衛門は思い、また眠りに落ちた。(後略)“
なんとなく、とくに中高年に力を沸かしてくれる物語でした!
ありがとうございました!
m(_ _)m
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