「舟を編む」(三浦しおん著)を読んで
とても面白かったです!
「舟を編む」、太古から未来へと綿々とつながるひとの魂を乗せ、豊穣なる「言葉」の大海をゆく舟を。
「言葉」を大事に使うことの大切さ、を教えていただきました!
物語の舞台は株式会社玄武書房「辞書編集部」
主人公は、馬締(まじめ)光也 言語学を専攻した大学院卒、入社3年目の27歳から15年後に辞書『大渡海』を完成させるまでの物語になります。
馬締が40歳になった時に、入社3年の岸辺みどりが「辞書編集部」に配属されてくる。
配属後しばらくしてから、馬締のことを岸辺は、
「取っつきにくく感じられるまじめさんも、もしかしらた、若いころは私と同じだったのかもしれない。ううん、いまも同じかも。人間関係がうまくいくか不安で、「辞書」をちゃんと編纂できるのか不安で、だからこそ必死であがく。「言葉」ではなかなか伝わらない、通じ合えないことに焦れて、だけど結局は、心を映した不器用な「言葉」を、勇気をもって差しだすほかない。相手が受け止めてくれるよう願って。
「言葉」にまつわる不安と希望を実感するからこそ、「言葉」がいっぱい詰まった「辞書」を、まじめさんは熱心に作ろうとしているんじゃないだろうか。
たくさんの「言葉」を、可能なかぎり正確に集めることは、歪みの少ない鏡を手に入れることだ。歪みが少なければ少ないほど、そこに心を映して相手に差しだしたとき、気持ちや考えが深くはっきりと伝わる。一緒に鏡を覗き込んで、笑ったり泣いたり怒ったりできる。「辞書」を作るって、案外楽しくて大事な仕事なのかもしれない。」
そして、
“辞書づくり”に取り組み、「言葉」と本気で向き合うようになって、私は少し変わった気がする。岸辺はそう思った。「言葉」の持つ力。傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、自分の心を探り、周囲のひとの気持や考えを注意深く汲み取ろうとするようになった。
ほかに、
『大渡海』 監修者で“辞書一筋”の松本先生、
玄武書房を定年後も嘱託で『大渡海』づくりに取り組む馬締の大先輩、荒木公平、
途中で辞書編集部から宣伝広告部へ異動となった、馬締の先輩、西岡正志
辞書編集部のベテラン契約社員、佐々木さん
かぐや姫のような馬締の妻 林 香具矢
西岡の恋人から妻になる、三好麗美
岸辺の恋人になる、辞書の紙を担当する、あけぼの製紙 営業第二部 宮本慎一郎
馬締の下宿先早雲荘の大家、タケおばあさんと早雲荘に住みついている猫のトラ
以上の登場人物を中心に真摯に“辞書づくり”に取り組む物語が紡がれていきます!
三浦しおんさんの物語は“真摯さ”と“艶っぽさ”があって面白いですネ!
ありがとうございました!
m(_ _)m
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