「玄冬の門」(五木寛之著)を読んで
中国では、「一生」を次のように分けている。
青春
朱夏
白秋
玄冬
「青春」は、言うまでもなく若々しい成長期で、25歳くらいまでを言う。
「朱夏」は、真っ赤な夏。社会に出て、働き、結婚して家庭を築く。そして社会的貢献を果たす。人間の活動期、フル回転の季節です。25歳から60歳くらいまでを言う。
そして、「白秋」。人生の一通りの役割を果たしたあと、生々しい生存競争の世界から離れて、秋空のようにシーンと澄み切った、静かな境地に暮らす時期のこと。リタイアしてから75歳くらいまでを言う。
「玄冬」は、その後、75~80歳以降を言うようです。
五木寛之氏は、1932年(昭和7年)生まれですので、現在84歳!
すでに“玄冬の門”をくぐられているわけですね。
どのようにして最後まで自分の意識を保ちながら、落ち着いて最期を迎えられるか、日頃からトレーニングしておくと言うことが大事になってくる。
孤独を嫌がらない。孤独の中に楽しみを見出す。後半生はそういうことが大切だろうと思います。
“玄冬の門”をくぐる上で、心構えの本、と言う感じがしましたヨ♪
からだが不自由になってくる。そんな時は、心の世界に遊ぶ。「本を読む」ことは、からだが不自由でもできるのです。夜中に目覚めて本を読む。こんなに貴重に思われる時間はないと思うぐらい面白いのです。本を読んで知識を増やそうとか、どこかで何かの資料に使おうとか、そういう気は全然ありません。活字を読む快楽というか、これはもう、他に代え難い楽しみの一つです。
本を読む。これに勝る楽しみというか、快楽はありません。ちょっとのあいだでも、五分間でも読める。トイレに行くときは本を離したことがないし、トイレにも眼鏡を置いています。トイレに座って、変に力んだりせず、本を読んでいるあいだに、いつの間にか終わっている。暇さえあれば、寝転がって読んでいる。寝る前も読んでいる。夜中に目が覚めるとまた読む。
うちでゴロゴロしていて奥さんに邪魔がられるときは、図書館や記念館に行けばいい。一刻千金ですからね。老後の時間をエンジョイすると言うことに関して言えば、黄金の時間がどんどん流れていくわけだから。そこをきちんとやる必要があると思います。
映像が好きな人は映像でもいいですよね。
誰でも何か必ず、興味が湧く対象はあります。本を読むのも面倒くさいし、音楽にも絵画にも映画にもあまり関心がないとか、いろいろ言う人がいますが、必ず何かありますよ。
「子孫のために美田を残さず」に徹する。90歳までに全部使い尽くしてしまおうという計画を立てて、「90歳過ぎたら、もう野垂れ死にでよい」という気にならないといけない。
家族との絆から離れること。自分で部屋を借りて、自分で資産を運用して暮らしていく。肉親、家族にすがるなということは非常に大事だと思いますね。そうすると、そこから、自分に残された日々をどのように生きていこうかというプランも出てくるでしょう。
親鸞は62歳のときに京都へ出て、そのときに奥さんはついて来なかった。新潟の実家へ行ってしまった。京都では、本を書いたり、書字に努めたり、和讃を書いたり、作ったり、死ぬまで京都の一角で、じーっと暮らしていました。そして、親鸞が90歳で死ぬ時も奥さんは立ち会っていない。
法然も亡くなるとき弟子に言い遺したことは、「群れ集まるな」
ブッダも、自分が死んでも、葬式に携わるなと弟子たちに言ったそうです。
第一歩は「家族離れ」です。ファミリーからの独立を得て、最後は単独死するのだと言う覚悟。子供たちに看取られて死ぬということは、今はもうあり得ないと覚悟する。最期は独りでこの世を去るのだと言う覚悟を決めたうえで、いろいろな道が開けるような気がします。
「君子の交わりは淡きこと水の如し」がよい。本当の親友とは、たまに会うのがよい。
高齢になって新しいことを学ぶというのもすごく大事なことです。「再学問のすすめ」です。年をとって勉強するというのは、すごく面白いことですね。
自分のからだと対話する
「病院」には行かないが、「健康法」については、白隠禅師から野口整体から、ありとあらゆる健康法を楽しんで試してきました。今日まであまり大きな病気をしていません。
健康そのものが目的ではないけれども、健康であることを自分の楽しみとして健康法を実践するのは大事なことです。少なくとも、余生をエンジョイしていかないと、人間、楽しみがないと生きる気がしませんから。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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