「半落ち」 (横山秀夫著) を読んで
経済学者の金子勝氏が、「勇気をくれる小説」として紹介をされていましたので、読ませていただきました!
最後のクライマックスは、泣けます!とてもよかったです!
そこで、金子氏の記事をご紹介!
これ以上ない孤独に陥った人間が、最後に生きる決意を固める物語です。
梶聡一郎(49歳)は、両親を早くに失い、息子の俊哉は13歳で、急性骨髄性白血病で亡くなったうえに、妻の啓子もアルツハイマー病を患い、症状がひどくなっていきます。妻は、息子の俊哉の命日まで忘れてしまい、「もう人間じゃない。死にたい」と泣き叫び、「せめて母親のままで死にたい。俊哉のことを覚えているうちに死にたい。殺してほしい」と懇願。
現役の警部でありながら妻を絞殺してしまった梶は自死しようと試みますが、2日間さまよい歩いたうえで自首しました。
捜査1課強行犯指導官の志木和正(48歳)はこの「空白の2日間」に何があったかを追いかけます。
梶は自分がドナーとなったことで息子と同じ骨髄性白血病を克服することができた少年を探しだし、ひそかに会いに行っていたのです。
志木は俊哉とちょうど同じ年頃の少年を連れて、梶に会いに刑務所へ向かいます。少年はそこでうなだれている梶に「お父さん」と呼びかけ、「僕にはお父さんが二人いる」と家では言っていると明かし、梶の両手を強く握ります。それは梶に生きる意欲が与えられた瞬間でした。そして事件の真実を知った周囲の人々が、彼を絶対に死なせまいと動いた結果でした。
梶聡一郎が少年を探してさまよった「空白の二日間」に、生きるヒントがあります。
人間は孤独に陥れば陥るほど、つながりを求めてさまよいます。人は一人では生きていけないからです。
梶は、他人との血のつながりを作ろうとしましたが、さまざまな理由から苦しんでいる人たちにそっと手を差し伸べれば、その人たちから“生きる勇気”をもらえるはずです。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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