「林住(りんじゅう)期」(五木寛之著)を読んで
2008年、五木寛之氏、77~78歳の頃の著書となります。
古代インドでは、
人生を四つの時期に分けて考えたと言います。
「学生(がくしょう)期」、「家住(かじゅう)期」、そして、「林住期」と「遊行(ゆぎょう)期」。
「林住期」とは、社会人としての務めを終えたあと、すべての人が迎える、もっとも輝かしい「第三の人生」のことです。
「林住期」は50歳から75歳までの約25年間のことを言い「本当にしたいことをするとき」とのこと。
先日、五木寛之氏84歳の著書「玄冬の門」を読みましたが、
古代インドでは「遊行期」のことで、中国では「玄冬」と呼びます。
その一つ前の「時期」になります。
五木氏いわく、
「林住期」に入って、物忘れがひどくなってきた。脳の中で微小梗塞が進んでいるのだろう。それは自然な老化であるから、無理に抵抗はしない。
「記憶力」は筋肉と同じで、トレーニングをやらないよりやったほうがいい。私は、そのために、19世紀のロシアの小説を読むことにしている。「脳トレ」と思って読めば「悪霊」も「戦争と平和」も、気楽に読める。
50歳を迎えたら、耐用期限を過ぎた心身をいたわりつつ、楽しんで暮らす。それが理想だ。私自身は、一度50歳でリタイアしたが、また同じ生活に戻ってしまった。遅まきながら最近ようやく「林住期」のペースがつかめてきたように思う。
学ぶことのおもしろさに目覚めることも、その年をとる効用の一つだろう。
60歳からでも、おそくはない。70歳になって大学に顔を出す、などというのも悪くはない老後の楽しみだ。
それは純粋に自分のための楽しみである。社会に貢献するわけでなく、世のため人のためでもない。人生の後半をそんなふうに生きることが、それだけで自然に世間を良くすることになる。
人生の後半を“峠を越した下り坂”と考える思想を打ち破る。人生のクライマックスを50歳からにおく。黄金の「林住期」の始まりである。
*****
なんとなくですが、五木寛之氏は、交流のあった大橋巨泉氏(1934年生まれ)を少し意識されているようにも思いました。巨泉氏自身は1990年、56歳のときに芸能界をリタイア。五木寛之氏も49歳、1981年に龍谷大学進学のために休筆をされましたが、3年後には復帰をされています。
やはり、五木氏は“書くこと”が好きなのだと思いました。そして、巨泉氏は「林住期」において、本当にやりたいこと、好きなことをされていたのか、ちょっと分からないナ、と思いました。
自分自身も50歳を過ぎました!
巨泉氏のようなリタイアはできませんが、心身共鍛え続けて、これからの「林住期」、「遊行期」を謳歌できるようにしたい!と思いました。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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