「人生教習所」 垣根涼介著 を読んで
加藤周一氏の「読書論」によると、
“同じ世代の作家の本を読み続けてみると、読者が若い時には作家も若く、読者が年を取るにつれて作家も年をとってゆくので、その作家の発展を自分自身の興味の発展と並べながら、細かくたどることができるという”楽しみ”があります。
同じ時代をその作家と一緒に歩いてきたという感じがします。向こうも変わるが、こっちも変わる。それにもかかわらず、一種の精神的なつながりは維持されてゆく。書物を通して理解できる限りで、人間が生きてゆくということを理解するためにも、一人の作家と長く付き合うのは、よい方法だと思われます。“
なるほど!!
そこで、垣根涼介氏は自分よりも二つ年下ですが、ほぼ同じ世代!
読み始めたきっかけは「君たちに明日はない」シリーズでしたが、なんとなく共感できるナ、と思い読んできました。
ただし、ハードボイルド作品は、ちょっと苦手なので、まだ読んでいませんけどネ!
そこで、今回は2011年の作品「人生教習所」になります。
小笠原諸島の父島、母島の戦前、戦後の歴史を“横糸”に、
“人生セミナー小笠原塾”に参加する、東大生ですが、休学してひきこもりの“浅川太郎”、元ヤクザで現在無職の“柏木真一”、細々とフリーライターをしているリストカットの傷を持つ“森川由香”、定年退職しているが、それまでブラジルで生活をしていた“竹崎貞徳”の4人を“縦糸”にして織りなす物語でした!
よかったですヨ!
とくに、社会からはみ出している、浅川、柏木、森川が少しずつ成長していく過程の中で、竹崎が面白く味付けをしてくれています。
そして、父島、母島の沖縄とは異なる複雑な歴史も学ばせてくれます。
いつか行ってみたいナ、と思いました。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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