「武曲」 藤沢周著 を読んで
「武曲(むこく)」とは、北斗七星の中の“二連星”。
「連星」とは2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体である。双子星とも呼ばれる。連星は、地球から遠距離にあると、一つの恒星と思われ、その後に連星である事が判明する場合もある。この2世紀間の観測で、肉眼で見える恒星の半数以上が連星である可能性が示唆されている。
登場人物は、
「殺人刀」の遣い手と懼れられた父・将造との関係でアルコール依存症となった矢田部研吾。
現在は、警備員をしながら、北鎌倉高校で剣道部のコーチを務める。
矢田部研吾は、北鎌倉高校二年生の羽田融に父親と同じ天性の剣士を見た。
“二連星”は、将造と研吾、研吾と融になると思います。
そして、“剣道”と“禅”は関係があり、「山岡鉄舟」のことが書かれていました。
ここで「山岡鉄舟(1836~1888)」について
江戸末期から明治の剣術家・政治家。江戸の人。通称、鉄太郎。旧幕臣で無刀流剣術の流祖。戊辰戦争の際、勝海舟の使者として西郷隆盛を説き、西郷・勝の会談を実現させて江戸城の無血開城を導いた。明治維新後、明治天皇の侍従などを歴任。
「臨機応変の妙用は,無念無想の底より来る」(西郷隆盛との会見についての述懐)
山岡鉄舟は、
【余の剣法や,ひたすら其の技をこれ重んずるに非ざるなり,その心理の極致に悟入せんことを欲するにあるのみ。換言すれば,天道の発源を極め,併せて其の用法を弁ぜんことを願うにあり。猶切言すれば見性悟道なるのみ】と,「剣禅一如」の実境涯に体達し,かく申されております
そして、【剣禅一致】とは、今より、約300年前、沢庵(たくあん)和尚の「不動智神妙録」にある語
“剣道”の究極の境地は,“禅”の無念無想の境地と同じであるということ。
【剣道は,剣の理法の修錬による人間形成の道である】という剣道理念を作りました。
これで行けば沢庵和尚の『不動智神妙録』もここであり,“剣”も“禅”も同じく人間形成の道であり,剣禅一如であります
“剣”を学ぶ者はまず正脈の師について「剣禅一如」の正法を学び,まず正しく楽しい人間個人の形成,更に仲良き人間社会の形成を目的として修行鍛錬あるべしと,山岡先生の老婆心であります。
【附して言ふ,此法は単に剣法の極意のみならず,人間処世の万事一つも此規定を失すべからず。此呼吸を得て以て軍陣に臨み,之を得て以て大政に参与し,之を得て以て教育宗教に施し,之を得て以て商工農作に従事せば,往くとして善ならざるはなし。是れ余が所謂,剣法の秘は,万物太極の理を究むると云う所以なり。明治15年1月 山岡鉄太郎誌】
「剣道」がしたくなる物語でした!
ありがとうございました~!
m(_ _)m
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