「風に舞いあがるビニールシート」 (森絵都 著)を読んで
森絵都さんの直木賞受賞作品になります。
さらっと読めてしまいました!
短編集になります
・器を探して
・犬の散歩
・守護神
・鐘の音
・ジェネレーションX
・風に舞いあがるビニールシート
お正月のテレビで、芸能人が、
「家族」
「友人」
「仕事」
「お金」
「趣味」
「健康」
について、大切な順に順位を付けて、そのトップ3をメンタリストDaigoが当てるという番組がありました。
これって、ひとそれぞれ違いますが、一人一人もその時々で違うことがあると思います。
※あとがきより
「大切な何かのために懸命に生きる人たちの、6つの物語」
気分屋なオーナーパティシエに振り回され、恋人の機嫌を損ねながらも秘書としての“仕事”に奔走する「器を探して」の弥生。行き場を無くした犬を自宅で預かり、その里親を探すボランティアの活動費を稼ぐためスナックでアルバイトをしている「犬の散歩」の恵利子。高卒と大卒の生涯賃金の差を知り一念発起し、時間に追われるフリーター生活の傍ら大学の二部に通っている「守護神」の裕介。仏師になるという夢にやぶれ、仏像修復師となった「鐘の音」の潔。雑誌に掲載した商品のクレーム処理のため、謝罪に向かう「ジェネレーションX」の健一の石津。外資系投資銀行から収入の面では大幅にダウンする国連難民高等弁務官事務所の一般職に転職した表題作「風に舞いあがるビニールシート」の里佳と、危険と隣り合わせのフィールドで、獰猛な風に簡単に吹き飛ばされそうな難民たちを救うべく戦い続けるエド。
主人公たちはみな「大切な何か」を抱え、そのために「懸命に生きている」。けれど、彼らの「大切なもの」は一様ではなく、それに気付く過程も、対峙する姿勢も違います。
大切なものは、たったひとつだけではなく、いくつもあって、優先順位をつけるのはとても難しいものです。
本書には、その迷いが、葛藤が、そして決意が、主人公たちが過ごす日常のなかで描かれていて、その遠くて近い彼らの姿に心強さを受けるのです。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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