「ふがいない僕は空を見た」 (窪 美澄著)を読んで
女による女のためのR-18文学大賞作品!
本にもR指定があるんですネ!
なお、本作は本屋大賞2位、山本周五郎賞も受賞されています!
ここで、山本周五郎賞選評では、
どう生きるか、生きて何をするのか、なんのために生きるのかという賢しさではなく、ただ生きて、ただここに在る。「ただ」の愚かしさと愛おしさとを作者は等分に見つめ、まるごと肯定する。その覚悟に満ちたまなざしの深さと強さに、それこそ、ただただ圧倒されたのである。
解説では、重松清氏が、次のことを書かれていた。
男も女も、“やっかいなもの”を体に抱えて、死ぬまで生きなくちゃいけないと思うと、なんか頭がしびれるようにだるくなった。
やっかいなものとは、・・・
直接的には、女の子の場合、生まれた時から卵巣の中にはすでに卵子のもとになる数百万個の原子卵胞が詰まっている。“やっかいなもの”を抱えている。
男の場合は、チンチンになる。
“やっかいなもの”とは「性欲」ということになる。
この“やっかいなもの”を自らのうちに抱え込んで死ぬまで生きなくちゃいけないのである。
でも、僕たちが生きるこの世界は、生きるに価しないほど最悪なものではない。たぶん。おそらく。きっと。“光”は残っているはず、と。
“やっかいなもの”を捨てられずにいるふがいない僕たちは、でも、その光が瞼の裏に残っているうちは、人生や世界について少しだけ優しくなれるような気がする。
この物語の登場人物
アニメオタクで妊活中の主婦“あんず”
そのあんずと週に何度かセックスをしている高校一年生の“斉藤くん”
その“斉藤くんの母親”も若い時には不倫を経験、また、旦那は生活力がなく、家を出ている
“あんず”の旦那さんは、マザコンというか母親に頭の上がらない“慶一郎さん”
斉藤君とセックスしたいと思っている同級生の“七奈”
斉藤君とあんずの不倫を学校中にバラしてしまう、同級生の“あくつ”と“福田くん”は貧乏な家庭で、親にも恵まれない家庭に育っている
その貧乏な二人を手助けする仕事ができて頭もよい“田岡さん”はロリコンが高じて逮捕される
まだまだ居るのですが、皆それぞれにそれぞれの形で“やっかいなもの”を抱えながら生きている姿を上手に描いていると思いました!
ありがとうございました!
m(_ _)m
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