『羊と鋼の森』 宮下奈都 著 を読んで
文庫化されたことを機に、2016年本屋大賞受賞の本作品を読んでみました!
ピアノの調律師、外村の成長物語になります。
著者の宮下さんもピアノを45年以上弾かれているんですネ!ピアノ好きが伝わってきました。
ピアノは、「羊」の毛でできたハンマーが「鋼」の弦を叩く。それが音楽、ピアノを奏でることになる。
そして、「森」はピアノの調律で、正しい音、よい音を求めて、さまよう「森」、さらには、人生を生きることそのもののような深く、美しく、常に迷う危険、傷つく危険をはらんだ大きな世界としての「森」。
そして、“善い”、“美しい”という文字は「羊」から来ている。
古代の中国では、「羊」が物事の基準だったそうです。神への生贄だった。
”善い“とか”美しい“とか、いつもみんなが執念深く追求しているものが「羊」。最初からピアノの中にいたんだ」
物語の中で外村が尊敬する調律師の板鳥に目指す音はなにか、と尋ねる。
すると、板鳥は、小説家 原民喜の言葉を教える。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体。原民喜はこんな文体に憧れている。私の理想とする音をそのまま表していると感じました」
まさしく、この本「羊と鋼の森」もそれを目指して書かれているな~、と思いましたヨ!
そして、外村の先輩調律師のことばもよかったです!
「“才能”があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。一万時間を超えても見えなかった何かが、二万時間をかければ見えるかもしれない。早くに見えることよりも、高く大きく見えることの方が大事なんじゃないか。」
「書き留めるだけじゃ、駄目だ。覚えようとしなきゃ、無理だよ。歴史の年号を覚えるみたいにさ。あるときふっと流れが見えてくる」
ありがとうございました~!!!
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