「図書館の神様」 瀬尾まいこ著 を読んで
瀬尾氏の本は「あと少し、もう少し」に続き2冊目!
瀬尾氏が30歳頃の作品となり、“若い世代の青春”を感じる1冊でした。
主人公は二人。
清(キヨ)、高校時代はバレー部キャプテンを務める体育会系女子であったが、叱責した後輩が自殺。それまでは名前の通り“清く正しく(美しく)”成長してきたはずが、後輩の自殺から退部、自宅を離れ地方の私立大学の文学部に入り、そして、地方の高校の国語の非常勤講師になる。そして、大学時代より妻子ある男と不倫もする。
元々は体育会系女子でありながら、高校では部員一人の文芸部の顧問になる。
そして、垣内君。一人だけの部員の高三生。垣内君も中学時代はサッカー部、運動神経もいい。なのに、高校一年から文芸部に入部し文学を貪るようになる、ちょっと変わった高校生。
そんな二人が高校の図書館を舞台に文芸部の活動をする物語!
幾つかの古め?の文学についても語ったりしている。
・川端康成の「抒情歌」で主人公が鼻血を出すこと
・山本周五郎の「さぶ」では、主人公は「さぶ」というよりも、その友人の英二の成長物語だということ
・高校の授業の教材としてあった夏目漱石の「こころ」は、好きじゃないということで、垣内君が薦めた「夢十夜」で授業をしたりすること
※この中で読んだことがあるのは、「こころ」と「夢十夜」だけでした・・・自分も「こころ」は好きじゃありませんね・・・
それでも、「きよ」と「垣内君」の二人だけの部活の中で文学を通じて、お互いを高め合う成長物語でした。
最後に「きよ」は教員採用試験に合格して新しい高校へ赴任することになる。
「垣内君」も高校を卒業していく。
そして、「垣内君」は卒業式の前の文芸部最後の発表の機会で次のことを話す。
「文学なんてみんな好き勝手にやればいい。だけど、すごい面白いんだ! それは言っておきたい。だから、僕は3年間、ずっと夢中だった。毎日、図書室で僕はずっとドキドキしてた。ページを開くたび、文学について言葉を生み出すたび、僕はいつも幸せだった。冬にサイダー飲んだり、夏に詩を書いたり。毎日、文学は僕の五感を刺激しまくった。文学を通せば、何年の前に生きてた人と同じものを見れるんだ!見ず知らずの女の人に恋することだってできる!自分の中のものを切り出してくることだってできる。とにかくそこにいながらにして、大抵のことができてしまう!
のび太はタイムマシンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする。以上です。」
そんな二人の神様がいる場所、それが図書館だった。
ありがとうございました!
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お父様の一日も早い全快を祈念します。
投稿: | 2018年8月 6日 (月) 05時06分