「鉄道員(ぽっぽや)」 (浅田次郎著)を読んで
1997年の第117回直木賞受賞作であり、浅田氏初の短編集になる。
浅田氏46歳での出世作になると思う。
読む前の印象は同名の高倉健主演の映画になるが、観たことはなかった。
驚きなのは、本書は8この短編集で構成されているが、全て“幽霊”が登場したことである。
・鉄道員
・ラブ・レター
・悪魔
・角筈にて
・伽羅
・うらぼんえ
・ろくでなしのサンタ
・オリオン座からの招待状
生涯現場で働いた鉄道員(ぽっぽや)の乙松、業務をまっとうしてきたがゆえに、妻、そして娘の死に目に会うことができなかった。
そして、定年を間近に控えた乙松の前に、娘の幽霊が現れて、乙松の世話を焼く。娘も妻も、決して乙松のことを恨んでいたりしていない。それを感じながら、雪のホームで仕事をしながら脳溢血でポックリと逝く。
とてもいい生涯だな~、と感じた!
あとの短編からは、“教えられたこと”を三つほど!
・「角筈」とは、今の新宿、歌舞伎町の辺りをいう!知らなんだ~!
・京都に「西陣」と言う地名は無い!
地名の由来は、応仁の乱のとき山名側の西の陣がそのあたりにあったからだと言われ、以後豊臣秀吉の庇護を受けてから、高級織物の生産地として長く栄えたが、今はもう無いとのこと。
・オリオン座からの招待状では、昭和32年日活作品『幕末太陽傳』(出演はフランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎、芦川いづみ)が観てみたいと感じた!!
※幕末太陽傳の概要:明治維新前の品川の遊郭で「居残り稼業」を生業とする男が、持ち前のバイタリティで様々なトラブルを解決していく。1957年に公開された「グランド・ホテル形式」のコメディ映画。
ありがとうございました~!
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