第126回(2002年)直木賞受賞作品、唯川 恵氏のアフォリズム(aphorism:短いぴりっとした表現で、人生・社会・文化等に関する見解を表した箴言)満載の「肩ごしの恋人」を読んで
主人公は幼稚園から同級生同士で27歳の青木るり子と早坂萌、そして、母親の再婚で家出した高校一年生、15歳の秋山崇になる!
青木るり子
短大を卒業して1年後に一回り年上の上司と結婚し、二年で別れた。その1年後には学生時代からのボーイフレンドと電撃的に結婚、わずか半年で離婚。そして、27歳で3回目の結婚をして、またすぐに別れることになる。
美人で、綺麗でいることに誇りを持っている。女は男によって幸せになると考えているが、結婚までがゴールとなってしまい、結婚すると飽きてしまい、気持ちが離れてしまう。懲りない女性・・・
早坂萌
るり子とは幼稚園からの幼馴染み。るり子の3回の結婚式は皆勤賞で出席!
どんな女性か?
るり子の結婚式で初めて会った、るり子と付き合っていた元カレと、その日にセックスをしちゃう女性。一方で、強姦をされた経験を持つ。
セックスは好きだが、男をどこかで信用できない。
そして、学生時代は報道記者を目指して努力したが、夢叶わずに今に至る。
やはり美人で男勝りでなければ、そんな生き方、行動はなかなかできないだろう。
萌はるり子のことを、こう思っている。
るり子はいつまでたってもわがままで傲慢で自惚れの固まりみたいな女だ。けれど萌は、それに呆れることはあっても、不愉快だと思ったことは一度もない。それはるり子は自分の欲求、たとえばあの男をモノにしたいとか、お金持ちになって贅沢したいとか、周りを羨ましがらせるくらいに幸せになりたいとか、そんなあからさまな欲求を少しも照れたりせずに、堂々と主張するからだ。
萌とるり子の生き方は全く逆だが、二人とも自分に素直に生きている感じがする。それが、当時ベストセラーになり、女性の共感を得たのだと思う。
秋山崇
大好きだった母親の再婚。その再婚相手もいい人であったことで、いたたまれなくなり家出する。
萌の勤め先でアルバイトしたことがきっかけとなり、萌の家に転がり込む。
そんな三人が一緒に生活をすることになる物語。
物語のラストは、高校一年生である崇は自分の家に戻り、そして、海外留学することになる。萌のお腹に大事な命を残して。
るり子の今度のターゲットはゲイの美男子りょうだが、しばらくなのか、ずっとなのか、萌とるり子の二人暮らしが続くことになる。
いろいろな生き方があることを楽しめた一冊でした!
ありがとうございました~!
m(_ _)m
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