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2019年12月30日 (月)

2017年、第157回直木賞受賞作、伊坂幸太郎氏も賞賛する佐藤正午氏の「月の満ち欠け」を読んで!

伊坂氏は言う。

「小説の面白さを知りたいなら、佐藤正午さんの作品を読んで欲しいと思っています。難解さをまとうことで文学のふりをしたモドキよりも、真に文学的で、何より面白いのですから」と。

 

普通に本を読むとき、11頁と読み進めるのですが、佐藤氏の本は時系列に書かれていないので、前に戻ったり、1冊丸ごとを同時並行的に読む本だナと思いました!

興味深く読むことができましたが、登場人物、時間軸をメモっておかないと、自分は分からなくなってしまうので大変でした~!

 

さて、内容について!

『月の満ち欠け』とは

神様は、この世に誕生した最初の男女に、二種類の死に方を選ばせたの。一つは樹木のように、死んで種子を残す、自分は死んでも、子孫を残す道。

もうひとつは、月のように、死んでも何回も生まれ変わる道。そういう伝説がある。

月が満ちて欠けるように、生と死を繰り返す・・・

 

三角哲彦(あきひこ)が、大学生時代に、当時人妻であった正木瑠璃と不倫をする。

そして、正木瑠璃は鉄道事故で亡くなるのだが、その後小山内瑠璃となって生まれ変わり、その次は小沼希美、そして、緑坂るりとなって、60歳近くになった三角の前に少女となって現れる。

 

伏線として、小山内瑠璃の父親小山内堅(つよし)、母親の梢も登場人物で、母親の梢と娘瑠璃は三角にようやく会いに行く途中、自動車事故で亡くなるのだが、母親梢も荒谷みずきとなって、堅の前に少女の姿で現れる。だが、堅は60を過ぎて、少しボケが進んでいる。

 

さらに伏線として、正木瑠璃の夫でIQは高かったが傲慢さが自らの破滅を導いた正木竜之介

 

愛の深さが生まれ変わる条件の一つになるようだ。

でも、生まれ変わらない方は年々を重ねていくことになる。

 

佐藤氏が本作の参考文献とした中に「前世を記憶する子どもたち」があった。

 

子供の記憶は、大人になってどの程度残るものなのか?

生まれて間もない頃、母親の子宮にいたときの記憶があるということを聞いたことがある。

ところで、自分自身の10歳くらいまでの記憶は、楽しく遊んだこと、幼稚園が好きじゃなくて年長の1年しか通っていないこと、好きだった先生、同級生のことくらい。

果たして、前世で好きだった人が生まれ変わった子どもの記憶に残っていて、その人は60歳近くになっていて、その子が大人になったらイイおじいちゃんである。それでも恋人として好きでい続けられるのだろうか!?

 

きっとこの物語は、読者に、あとは想像力で考えよ!と言っているのだな、と思いました。

 

この本は、喫茶店の中での、小山内堅、緑坂るりと、母親の緑坂ゆいとの会話で始まり、そこに、三角哲彦が来た後の会話で終わる。

※厳密には、終わりにはエピローグがある

 

その間に時間が行ったり来たりで、自分には大変でした~!

 

それでも楽しく読むことができました!ありがとうございました!

m(_ _)m

 

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