再読~!本屋さんもブックオフもなかなか行けない状況も手伝って!?同世代の作家では一番好きな垣根涼介氏の「君たちに明日はない」を再読しました!!
「君たちに明日はない」の主人公、
村上真介は1974年(昭和49年)4月30日生まれ
恋人の芹沢陽子は1966年(昭和41年)生まれ
物語の始まった2007年頃は、真介33歳、陽子41歳でしたが、
今は2020年!物語が続いていれば、真介は46歳、陽子は54歳になりますネ。
本書には、かなり濃厚な!?ラブシーンがありましたが、今だとどんな仲になっているのか、とても気になりますネ!
再読では、主人公真介でなく、恋人の芹沢陽子について書き留めておきたいと思います!
真介が想う陽子。陽子自身が想う陽子、それぞれが書かれていた。
東京の府中市生まれ。在京の4年制大学を卒業後、東証2部中堅建材メーカー森松ハウス(株)に就職。バブル前夜であり、いわゆる女性総合職採用の走りで、入社後5年間は営業職に従事。
それから営業管理部に異動。そのいずれの部門でも、まずまず仕事はできた。
35歳で営業企画推進部のチーフとして移動。38歳に課長代理に昇進。
一方、28歳で、実家が材木問屋の御曹司と社内結婚をしたが、31歳で離婚。元夫は森松ハウスとパイプを作り次第、実家和歌山の材木問屋を引き継いだ男。
離婚後、36歳で府中市内に1LDKの新築マンションを2,200万円で購入。
真介の想う陽子は、
おそらく陽子は1LDKのマンションを購入した時点で、一生独り身で生きてゆく覚悟を決めた。プライドも高い。実家には戻らないが、それでも親の近くにいたい。たぶん両親が耄碌してきたとき、すぐにでも駆けつけられるように、スープの冷めない距離に住んでいたい。
実際に陽子は両親のことを「取り立ててやるべきこともないし、危機感のかれらもない日常だもの。そういうのって、間違いなくボケると思うのよ!」
だから、その兆候の偵察に、定期的に実家へいくのだという。
面白い考えかたをする女だな、と思う。と同時に、彼女の親に対する愛情を感じた。たぶん両親から可愛がられて育っている。そういう女は、家に付く。おそらくは親が死ぬまで近くを離れない。
女こそ度胸だ。その瞬間、彼女たちは光輝く。
この種の女には独特の愛嬌を感じる。基本的なアタマは悪くないが、単純で勁烈(けいれつ、つよくはげしいこと)で、おそらくは甘い言葉をかけてくる男などに、コロリとだまされる。
いくら苦労しても染み付かず、明るく無邪気なまま歳をとる。
本人はたとえ意識をしていなくとも、生れたときから世界は自分に対して開かれてると信じて疑っていない。そういう女だ。そして愛嬌は、そこから生まれる。
煙草もお酒もドンと来いで、待ち合わせで煙草を吸ったあとは、バッグの中からマウススプレーを取り出して、大口開けて、シュッ、シュッとできる女性!
美味しいものを食べると明るくなれる単純な女性。勘定をどちらが払うかで揉めたとき、彼女はまるで親の敵でもにぎりしめているかのように伝票を手放さなかった。頑として譲らないその子どものような仕草。
やられている自分を、確実に感じた。
陽子自身が想う陽子は、
小心者だ。自分でも分かっている。そして小心者には、意外に怒りっぽい人間が多い。あれこれとロクでもない想像をついアタマの中で先走りさせ、その妄想に感情が振り回されるからだ。
この物語(君たちに明日はない第一巻)の終わりでは、42歳を迎える年に、一度はリストラの対象となった“曖昧模糊”な森松建設(株)を辞めて、日本建材業協会の事務局長にヘッドハンティングされて転職をした。
エンディングでは、先のことは分からないけど、一回り違う真介と二人でビールを飲む場面で終わる。
2020年以降の二人、村上真介、芹沢陽子を観てみたい!!!
ありがとうございました!
m(_ _)m
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