新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で中断しているものの、1年前より議論が続いている「“経済価値ベース”のソルベンシー規制等に関する有識者会議」!!その“経済価値”の理解のために購入した2011年に書かれた『【全体最適】の保険ALM』をなんとか一読してみた!
最初にその“経済価値”とは、
現在の“市場価格”と整合的に計算された資産あるいは負債の価値である。
“市場価格”が利用できない場合には、
市場と整合的な原理、手法、パラメータを用いて計算されたものである。
“保険負債”については市場価格が利用できないため、一般的には以下のように評価される。
①保険契約から将来生じるキャッシュフローの期待値を求める
② ①で求めたキャッシュフローを無リスク金利によって割り引く
③保険契約に付与されたオプション(動的解約オプション、契約者配当オプションなど)の価値を確率論的シミュレーション等によって計算してオプション費用として②の結果から控除する。
④市場価格に織り込まれていないリスク(死亡リスク、解約リスク、オペレーショナル・リスク等)についてリスク・マージンを計算し②の結果に加算する。
ERM(Enterprise Risk Management:統合型リスク管理、全社的リスク管理)とは、一般的には、会社全体のリスクを統合的に把握・評価して、企業の目的を達成するための経営上の枠組みを意味する。
保険会社の場合には、保険会社が保有するリスクを統合的に把握・評価し、当該保険会社の事業の目的を達成するための戦略的な枠組みである。
ERMの目的としては、「健全性の確保と企業価値の向上の両面を達成すること」となる。
保険会社のERMでは、経済価値ベースのALMの考え方と同様に、資産と負債の経済価値の差額として経済価値ベース純資産を把握し、その増加額をもって企業価値の増加とみなし、また、その変動性をリスクとして把握するという考え方が広がってきている。
そこで、経済価値ベースで価値とリスクを評価することは、健全性確保と企業価値向上というERMの一般的な目的を達成するためにも必要なことである。
次に、保険ALM(Asset Liability Management)を「保険の資産・負債の経済価値およびその変動」を重視したアプローチとして捉えると、ERMはALMを包含することにもなる。
そして、このERMは、最初1990年代以降に欧州の生命保険会社で広まったEV(Embedded Value:潜在価値)から始まりEEV(European Embedded Value:ヨーロピアン潜在価値)、そしてMCEV(Market Consistent Embedded Value:市場整合的な潜在価値)と発展をしてきた。
それぞれに定義はあるが、MCEVと経済価値ベース純資産の収斂がされていけば、ほぼ同等の概念となり、より望ましいとあった。
と、まずは言葉の意味、そして、それぞれの繋がりが少し理解できたと思う。
ありがとうございました!
m(_ _)m
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コメント
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新型コロナウィルス騒動が早く終息して見直しの方向性が予定通りのスケジュールで再開されるといいですね。
投稿: | 2020年6月22日 (月) 05時03分
コメント、ありがとうございます!
一通り議論が終わっていたようで、その有識者会議報告書が出されましたので、ア試験対策にもなりますので!?読んでみたいと思います!
m(_ _"m)
投稿: adler | 2020年6月27日 (土) 21時16分
月並みですが頑張って⁉
投稿: | 2020年6月28日 (日) 05時05分
はは~~!ガンバリマス!!<(_ _)>
投稿: adler | 2020年6月29日 (月) 21時24分