« 新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で中断しているものの、1年前より議論が続いている「“経済価値ベース”のソルベンシー規制等に関する有識者会議」!!その“経済価値”の理解のために購入した2011年に書かれた『【全体最適】の保険ALM』をなんとか一読してみた! | トップページ | 城山三郎氏が亡くなられたあとに、生前の仕事に関するエッセイと亡くなられる2年前に「昭和の戦争文学(全6巻)」を出されたときの佐高信氏との対談、そして城山氏と友好のあった作家の方々の寄稿を載せた本「仕事と人生」城山三郎著 を読んで »

2020年7月11日 (土)

令和2年6月26日、「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」が終わった。今後、2024年春頃の基準の最終化、2025年4月より施行(2026年3月期より新規制下での計算を開始)といったタイムラインを念頭に置いて進められる予定

端的に言えば、現行のソルベンシーマージン比率(SMRSolvency Margin Rasio)の見直しである。

 

現行のSMRは、1996年の保険業法改正において導入され、現在まで24年が経過した。

現行のSMRは、ロック・イン(割引率、発生率等を契約時点で固定する)方式の負債評価に基づく会計上のバランスシートを前提としており、またリスクの計測手法はエクスポージャー額に定率の掛目を乗じる単純な手法による部分が多い。

その間、我が国では、2000年前後に「逆ザヤ問題」に端を発した生保危機が起こり、複数の生命保険会社が破綻し、少なくない保険契約者が損失を被ったほか、保険業界全体の信頼が揺らいだ時期があった。

 

そこへ“経済価値ベースの考え方”が有効になる、ということである。

保険会社向けの総合的な監督指針に基づけば、“経済価値ベースの考え方”とは「市場価格に整合的な評価又は、市場に整合的な原則・手法・パラメータを用いる方法により導かれる将来キャッシュフローの現在価値に基づいて資産・負債を評価する考え方」と言う意味になる。

“経済価値ベースの考え方”は、「逆ザヤ」の発生を未然に防止することを目的とするものではないが、リスクを早期に発見・計測ERMを通じて制御することを可能とする。

生保危機が発生した当時には、そのような考え方が保険会社・金融庁を含む関係者に浸透していなかったために、リスクを早期に認識することができず、多くの会社で経営問題にまで発展したと考えられる。

 

次に、経済価値ベースのソルベンシー比率(ESREconomic Solvency Ratioを用いることで、現行SMRとの間で取扱いが大きく異なる要素の一つに、金利がある。

金利低下時において、現行のSMRでは、負債側の評価には基本的には影響が生じない一方、資産側は債券価格の上昇を反映して資本が増加し、SMRは上昇する。

これに対して、ESRでは、現時点における多くの国内生命保険会社のポートフォリオのように負債側のデュレーションが資産側のデュレーションを上回る場合には、ESR算出上の保険負債評価額の上昇額が債券価格の上昇額を上回るため、経済価値ベースの純資産が減少し、ESRは低下する。こうした金利低下から生じるリスクをタイムリーに捉えることができるなど、中長期的な保険会社の健全性をフォワードルッキングに把握する観点から、ESRは現行のSMRに比べ優れた指標であると言える。

 

また、ESRを導入する意義として、以下の3つの観点がある

①契約者保護の観点

②保険会社のリスク管理(ERM)高度化の観点

③消費者・市場関係者等への情報提供の観点

 

この“経済価値ベースの考え方”に基づき、“財務”会計の設定団体IASB(国際会計基準審議会)によるIFRS(国際財務報告基準)第17号「保険契約」2017年に公表されている。

 

こちらの金融庁のスタンスが、よく分からない!?

課題も大きいからであろうか!?

IFRSは財務会計のための基準となるので、現行の財務会計が置き換わると考えられる。

もし財務会計へも導入がされれば、税務会計(責任準備金の税法限度額は変わらない)が残るとすれば、財務会計(経済価値ベースの考え方版)、財務会計(現行版)、そして税務会計、管理会計となって、経理、数理セクションは大変なことになるのかも!?

更に、既存商品の「算出方法書」における責任準備金にも抵触することとなり、そこに与える影響は膨大となるであろう。

 

また、新商品政策へも“経済価値ベースの考え方”が入り込むことが予想される。

上記に記述しているが、“経済価値ベースの考え方”は、「逆ザヤ」の発生を未然に防止することを目的とするものではないが、未然に防止できる“商品”が考えることもできるようになるだろう!

 

現在も、その考え方を取り込んでいる“変額(年金)保険”ということになる~!?

 

でも、これは本当に契約者のためになるのだろうか!?

日本の将来をとても見通すことができず、不安定な世の中であることを物語っているのでは!?とも思える。“経済価値ベースの考え方”には賛同するが、金融機関は“経済”の先鋒として、契約者、消費者に対して、よりよい商品を提供することに努める必要があると思う!!!

 

ありがとうございました~!!

m(_ _)m

 

 

 

 

 

« 新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で中断しているものの、1年前より議論が続いている「“経済価値ベース”のソルベンシー規制等に関する有識者会議」!!その“経済価値”の理解のために購入した2011年に書かれた『【全体最適】の保険ALM』をなんとか一読してみた! | トップページ | 城山三郎氏が亡くなられたあとに、生前の仕事に関するエッセイと亡くなられる2年前に「昭和の戦争文学(全6巻)」を出されたときの佐高信氏との対談、そして城山氏と友好のあった作家の方々の寄稿を載せた本「仕事と人生」城山三郎著 を読んで »

勉強・試験関連」カテゴリの記事

コメント

市場環境の変化に よって大きく変動する世の中スピーディーな見直しを期待したいものです。

いつもコメントをありがとうございます!
<(_ _)>

経済価値ベースの”ソルベンシー規制”は間違いなく実施されると思います。管理会計なので障壁は少ないため、となります。

一方、経済価値ベースの”負債評価”は財務会計に影響を与え、責任準備金の捉え方も変わる、あるいは追加されるため、どうなるのかが見えません!

試験には出しにくいかな~と予想も含めて現金なことを考えています!
((´∀`))エヘヘ!

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で中断しているものの、1年前より議論が続いている「“経済価値ベース”のソルベンシー規制等に関する有識者会議」!!その“経済価値”の理解のために購入した2011年に書かれた『【全体最適】の保険ALM』をなんとか一読してみた! | トップページ | 城山三郎氏が亡くなられたあとに、生前の仕事に関するエッセイと亡くなられる2年前に「昭和の戦争文学(全6巻)」を出されたときの佐高信氏との対談、そして城山氏と友好のあった作家の方々の寄稿を載せた本「仕事と人生」城山三郎著 を読んで »

フォト

最近の記事

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のコメント

最近のトラックバック

ウェブページ

無料ブログはココログ

Twitter

  • twitter

このブログ内で検索