ブックオフでゲットした『何のために生きるのか』、重い題名の本でしたが、お値段はお手軽でした!?2005年当時同い年で稲盛和夫氏と五木寛之氏共に73歳のときの共著を読んで!!
『何のために生きるのか』
本の中にストレートな解答はありませんでした。
読んで各自がどう感じるのか、そして、どう行動に移していくのか、なのだと思いました。
稲盛和夫氏については、京都セラミックの創設者として有名であり、当時は、理系の技術者でもあり、かつ経営手腕もあったのだと思いました。
その後も第二電電(現在のKDDI)の設立など経営を拡大したり、乞われてJALの会長になったり、成功もあれば、そうでもないときもあり、どうなんだろうと思っていましたが、Wikipediaによれば、フォーブスにも掲載されていて、日本長者番付49位、資産840億円。ビジネスにおいて、スゴイ成功者なんですねえ~!
五木寛之氏については、「大河の一滴」「朱鷺の墓」「玄冬の門」「林住期」「人間の関係」「生きるヒント」「人生の目的」などいくつか読んだことがありました!
お二人とも現在もご健在で御年米寿の88歳ですね!
今も現役と言うのもスゴイですね!
では、73歳当時、どんなことを思われていたのか、『何のために生きるのか』について、どう示唆されているのか、読んでみました!
「ありがとうございます、おかげさまで」
「おかげさんで。まあ、ぼちぼち」
※“おかげ”は「お陰参り」の“おかげ”で、伊勢神宮へ参ること
私の人生の目的は、死を迎えるときに、私の“たましい”がさらに磨かれて美しくなっているのかどうか。それだけが人生の目的だと思うものですから、あらためてこの人生の中で自分のたましいを磨いていくことをしようと思っているんです。(稲盛)
「ここは独力でがんばろう、何とかしよう」という気持ちになったときに、後ろから他力が肩を押してくれるんですよ。だから“他力は自力の母”なのだと、僕はいつも言っているのです。(五木)
仏教でも言っていますが、見栄もカッコもいりやしません。そんなものは何の足しにもなりません。かなぐり捨てればいいじゃありませんか。
もし会社がつぶれたとしても、命まではとられない。破産して、「申し訳ありませんでした」と頭を下げればいい。もしかすると、ぼろくそに批判されるかもしれないし、罵詈雑言を浴びせられるかもしれない。それでも、「私が悪かったんです」とお詫びすればいい。個人の債務がいっぱい残ったとしても、いまは自己破産をすれば何でもないものなんです。(稲盛)
庶民でもペイオフがどうだ、年金がどうだといろいろ心配していますけれど、そんなことなんか大問題じゃないですよ。
敗戦のころに預金の全面封鎖というのがありましたよね。それから戦時国債もチャラになってしまったし、新円切り替えによって、タンス預金も一世帯いくらとしか交換できなくなった。そういう驚天動地の荒療治をやっても、日本はそれからわずか25年後の1970年に大阪万博をやっているんです。
そういう歴史がある国ですし、日本人は優れた民族ですから、ペイオフだ何だかんだといって、いま日本を焼け跡闇市のもとに戻したとしても、25年も経てば日本は立派に立ち直っていると思います。だから、そんなことは大きな問題ではない。
変な言い方だけれど、いま私たちがいちばん問題にしなくてはならないのは政局の混迷でも経済の破綻でもなくて、“精神のデフレ”ということなんです。精神のデフレ、それから“心の不良債権”。こういうものが山積みになっている。国債なんて何兆あろうが日本人は難民になっても立ち直るんですよ。
いまこの国で年間に3万人を超える自殺者が出ていることに代表されるような、こころの荒廃した状態をどうするかでしょう。これをちゃんと解決しない限り、日本の前途はないでしょう。
経済とか政治というものは、自律的に、見えざる神の御手がなんとかすると僕は楽観しているんですね。
僕はロシアのインフレも知っていますし、アルゼンチンのハイパーインフレも見てきました。一日二日で物価が千倍とか二千倍に簡単になってしまうのです。それでもロシアはそこそこやってきましたし、アルゼンチンだってちゃんとサッカーやっていますからね。
こうした歴史を考えてみますと、経済や政治については何も心配することはない。むしろ心配なのは、神代以来初めて日本人が体験するいのちの軽さ、それからこころの荒廃です。これを何とかしなくてはいけないんだと、僕はずうっと言い続けているんです。
それはやはり情操の問題で、道徳でも何でもないと思いますね。人のこころのなかに潤いがない。それは情操を豊かにするということしか解決法はないような気がするんです。情操というものは、たとえば猫をいじめたときに「かわいそう」と瞬間的に思う。「人を殺すなんて、そんな怖いことはできない」とまず感じる。そういう気持ちです。そういう感情を持つことが大事なんですね。(五木)
ここで、「情操」とは、美しいものやすぐれたものなどに接して感動する心であり、また「道徳心」とは、社会における善悪の判断基準として一般に承認されている規範を守り、これに従おうとする心
一所懸命働きなさい。働くことは人間をつくります。「小人閑居して不善をなす」と言いますが、一所懸命働いて暇が無ければ、悪さもしないし、人間もできていくんですね。だから、一所懸命働けとお釈迦さんは言っておられるんです。(稲盛)
感想として、内容はとても良かったです!
一方で、五木氏が政治経済にほとんど興味が無いということを始めて知りました~!
まあ、その手の本は書かれていないですもんネ~!
少なくとも自殺者と経済は相関関係があるわけで、自殺者が3万人を超えたのはバブル崩壊後の1998年であり、その後2011年まで、毎年3万人以上のひとが自ら命を絶たれていました。
そして、2011年は、2008年のリーマンショックから立ち直り始めていた頃であり、そして、2012年には安倍政権が始まり、異次元緩和が始まりました。
お金をバラまき、株価を支えることで、自殺者が年々減少・・・。
どこかで弾ける可能性のある異次元緩和で、自殺者が減少するというのも、皮肉な話になりますが、本書では、命を軽く見てはいけない、大事にしなければいけない、そのためには“情操”が大切だと言われていました。これは、その通りだと思いました!
ありがとうございました!
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