東大王 伊沢拓司氏推薦の「テロリストのパラソル」 藤原伊織著 を読んでみました~!著者は1948年生まれですが、2007年、59歳のときに食道がんで亡くなられていました。本書は、1995年に江戸川乱歩賞、直木賞のW受賞作品になります!
「連鎖」に続き、ときどき読む「面白本」でした~!!((´∀`))ワラワラ
著者の藤原氏は1948年生まれ、学生運動華々しい頃の世代。その学生運動をきっかけに、その後、人生はいろいろとあるものですが、テロリストにまでなってしまった「桑野誠」と、学生運動当時は親友であり、その後バーテンとなった「菊池俊彦(わけ合って、島村圭介と名乗っている)」との物語でした。
そして、この二人の間には園堂優子という女性が入ります。
三人共に著者と同じ東大生の設定です。
頭もイイわけです!本書の中でも所々に知性を散りばめているところが、なんとなく鼻に突くかも!?
そして、優子は桑野のテロ行為によって命を落とすわけですが、その後、桑野も追うようにして最期に自殺をします。
学生時代、園堂優子は菊池に好意を寄せていたけども、桑野とからだの関係を結んだことで、菊池の前から姿を消しました。その後、桑野とも別れたのですが、時を経て、テロリストとなった桑野とアメリカで再会する。
そのときの園堂優子の歌が
「殺むるときもかくなすらむかテロリスト、蒼きパラソルくるくる回すよ」
優子と桑野、とくに桑野にとって、しあわせを感じていたひと時だったのでしょう。
しかし、この歌を見つけた菊池は、優子を殺した桑野、罪のない人たちを殺した桑野を追い詰めていくことになる。
桑野はなんでテロリストにまでなってしまったのか・・・
原因は複数あると思いますが、
・学生運動のリーダー的存在であって、血気盛んな性格であったこと
・優子に対する嫉妬心が異常に強いこと
・爆弾をつくる能力があり、作ってしまう行動力があること
・お金で人は動くと考えていること
・人のいのちに貴賤があると考えていること
・海外で捕まったときに、そこの刑務所内で拷問を受け、かつ男に犯されたこと
そんなこんなで、桑野は菊池に、次のように語っています。
「日本全体に復讐がしたかったんだよ。ぼくをこんなにしたこの国にね。この国はクズだ。ぼくはこの国を内部から(コカインを使って)腐らせたい。(コカインは)一つの国を内部から腐らせ、崩壊させる最高の戦略兵器さ。いろんな経験がぼくのことを歪ませたんだろう。それに時間も流れた」
「これが宿命なんだよ、きっと。これがあの闘争(学生運動)を闘ったぼくらの世代の宿命だ」
これに対して、菊池は
「私たちは世代で生きてきたんじゃない。個人で生きてきたんだ。それはおまえの方がよく知っているだろう」
そのまま背を向けた。廊下に立ち、重いドアを背中で静かに閉めた。すぐにひとつの音(銃声)が届いてきた。短く乾いたその音は反響さえ残さなかった。
桑野のこころは分かりませんでした。
人生いろいろあるのは当たり前で、だからと言ってテロリストになってはダメでしょう、と思いました。
菊池のこころは、なんとなく分かりやすいと思いました。著者の藤原氏自身に似ているからなのかもしれません。菊池はアル中の設定ですが、藤原氏も相当な大酒飲みであったとありました。
かつ、ヘビースモーカーでもあり、ギャンブラーでもあったそうです。
ギャンブルで負けた借金返済に迫られて、江戸川乱歩賞の賞金1千万円を獲得するために書かれたそうです。才能もあるのですが、酒、煙草、ギャンブルで藤原氏ご自身も自ら命を削られていたようです・・・
最後に、二人の彼女の優子のこころもよく分かりませんでした。
ずっと菊池のことを思い続けていた設定ですが、まずちょっとあり得ないのでは!?と思いましたヨ!
それが、桑野の嫉妬心に火をつけるわけですが、“女ごころと秋の空”って言いますし、大酒のみで、ヘビースモーカーで、加えてギャンブル好きであったら、女性は好きであり続けられるのでしょうか!?
この点は、藤原氏も女ごころを分かっていたのかしら!?と思いました~!(笑)
まあ自分も分からないですけどネ・・・(;^_^A
ありがとうございました!
m(_ _)m
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